推し活の奨め 3
「はい。レティシア様。これからは、フェリス様の御心は、ただ御一人の大切なお妃レティシア様の御許にあります」
「え?」
あれ?
いつのまにそんな話に?
「レティシア姫と過ごすフェリス様を御覧になれば、我が主がどれほど愛情深い方であったかを、ディアナの皆様も知るでしょう」
「フェリス様が面倒見がいいことは伝わるかも」
フェリス様はレティシアが運命の乙女だって言って下さるけど、いや、運命の乙女にしては、小さ過ぎない? とレティシアは想ってしまう。
フェリス様のことは大好きだから、できるかぎり一緒にいれたらいいなーとフェリス様といたいなーと想ってるけど、欲深にならずにいたいの。
あんまり贅沢なこと想って、いざフェリス様の本物の運命の乙女が現れた時、フェリス様のお邪魔になりたくないの。
フェリス様がレティシアを大切にして下さってることは、凄く凄く感じてるんだけど……。
「ディアナ王家の方が最愛の方を得るという事は、こういうことなのだな、と私も幼い頃からずっと見て来たフェリス様が変わっていく様子に、日々驚かされます」
「フェリス様が? ちゃんと、真面目にごはん食べてるから?」
フェリス様はレティシアの望みに逆らえない事と、やはり年長の自分がよくない食生活ではレティシアの教育に悪い、と想って、食べるの頑張ってるみたいなの。
だいぶ可愛い。
「佇まいが穏やかに、優しくなられ、とても幸福そうです。レティシア姫が来られるまでは、お貌も曇りがちで、少し厭世的になっておられたのですが……」
「一緒に薔薇祭見物してたときに、フェリス様がね、レイ」
「はい」
「そこの花売りの娘にも、パン屋の店主にも、薔薇農家の者にもみんな生活があって、その生活を少しは僕の手で守れてるのかと思うと嬉しかった、僕には何も、守りたいようなものがなかったから、て言ってた」
「……、……」
とっても立派な領主様の御言葉なのに、淡々と語るフェリス様の孤独が哀しくて、この結婚でサリアに豊かさを、と考えたレティシアの寂しい気持ちとも似てて、フェリス様を抱き締めてあげたくなった。
「これからは僕にもレティシアを守っていく楽しみが出来た、って……だから、私、フェリス様にいっぱいお世話をかけなきゃダメなの。フェリス様がお仕事より、私のことで忙しいくらいに」
「そうでございますよ、レティシア様。フェリス様に、大切な妃となられる方の為に、何かさせてあげて下さい」
でも、とりあえず、サリアからの花嫁交換のお話で、フェリス様にもご迷惑かけまくったので、今月分の負荷はもうかけすぎだと想うの。
陛下と王太后様への御礼の御手紙だけじゃなく、レティシアもフェリス様の為に何かできることないかしら?
フェリス様にも御手紙書こうかしら?
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