氷の王弟殿下は、姫の推し活充を阻む

「悪い事というか、ときどき、こう……フェリス様は、他の人がしないことを……」


「どんなことをなさってたんですか? 聞きたいです、マーロウ先生!」


きゃふー!

推しの先生と推しのご学友から、推しの学園生活をインタビューだわ!


ちょっと災いの姫扱いされてへこんで、フェリス様の推し活に励めなかったわ!

今日は推し活充する日だわ!


「先生、僕にお話があったのでは?」


あ。ずるい。フェリス様、横やり。


「そうですね、殿下にお尋ねしたいことと、少し気になることが……」


「レティシア。セフォラに庭の薔薇を見せてあげてくれる?」


「……むー、フェリス様、私の推し活充を……」


「ん? オシカツジュウ?」


そんな可愛い魔獣でも召喚しそうなトーンで言われましても……。


「いえ。セフォラ様にお庭を案内します。……先生とのお話に、私、邪魔ですか?」


「邪魔ではないよ。ただ、先生が何か僕の悪さをレティシアに教えないかと心配で……」


微笑してらっしゃるから、いちゃダメとまで言わないけど、私がいないほうがしやすい話もあるのかも?


「わかりました。フェリス様のお話は、お庭でセフォラ様からお伺いします!」


いいもん!

学院時代の話なら、先生よりご学友からお聞きした方が楽しいもーん!


「姫、どうぞ、セフォラとお呼びください。……フェリス様、姫に、私の案内などとんでもない……」


「……でも、セフォラは今日はレティシアに逢ってもらうために来て貰ってるから。レティシアがね、この先ずっと先見を嫌いになったりしないようにと……夢見や先見は本来、レティシアを護る力であって、傷つけたり貶めたりする者ではないと安心させたくて」


「……、……」


うう、フェリス様、いつもながらにお優しい……神……。

推し活充の邪魔いやーとか想ってごめんなさい。


「恋の相談の相手には向かないけど、セフォラは優しくて腕のいい夢見だよ」


「フェリス様。前半の説明は無用です」


「恋の相談なんて予定ないので大丈夫です!」


レティシアが力いっぱい保証したら、何故かフェリス様、マローウ先生、セフォラ、レイが微妙に肩を揺らして笑いを堪えてた。


……何故笑われたのかしら? 


これから結婚する姫なのに、恋愛相談、心配御無用! はダメだったかしら? 


でも、恋の悩みなんてないしな~。




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