フェリス様が一番!
「フェリス様。私、お店のグラスを……」
「そう。レティシア眠ってても離さなくて。久しぶりに触れたサリアのものが嬉しかったのかな」
あれ? ちょっとフェリス様が寂しそうな顔してるような……。
「私いつもサリア王宮に行くと、早くフェリス様のおうちに、竜王陛下のところに帰りたいと思ってます。お父様とお母様とサリアの女神様が呆れるかも……」
「僕のじゃなくて、僕とレティシアのおうちだよ。ここがレティシアの家だから」
「あ、はい」
レティシアはフェリスの言葉にこくんと頷く。
まだここがレティシアのおうち! て実感まではないけど。
でも、早くディアナのおうちに帰りたいー、て想うのは本当。
「このグラスお返ししなくて、大丈夫でしょうか?」
「うん。号外が欲しい事とレティシアのグラス代も計上してくれ、と伝えるよ。……号外もだけど、神殿の者がねだってた僕達の肖像画の画家も依頼しないとだね」
「私とフェリス様の肖像画」
そうだった。サリアのレーヴェ神殿の方がレティシアとフェリス様の姿絵を欲しがってらした。
「私のお部屋にもフェリス様の肖像画欲しいです!」
「え? レティシアの部屋に僕の肖像画? レーヴェのじゃなくて?」
「はい! 私のお部屋にも飾れたら、いつもフェリス様と一緒で素敵です!」
推し活充だわ!
「……僕本人がいつもレティシアといるけど? 絵もあったほうがいいの?」
「はい!」
元気いっぱいお返事!
絵のフェリス様なら、フェリス様綺麗ーってずっと眺めてても失礼じゃないと想うー素敵ー。
「レティシアはレーヴェの絵を欲しがってたんじゃ……?」
「はい。竜王陛下は、フェリス様に似てて素敵です! でもやっぱり、御気性が違うので、同じ造形でも違いますよね、表情とかが……」
ああ。フェリス様の可愛らしい表情を写し取って頂くのは、よほど絵師の方がフェリス様と親しくないと無理かもー。竜王陛下はね、御本とか読んでても、表情豊かな方って言うのが伝わるから、絵師さんも描きやすいよね、きっと。
「……? 僕に、レーヴェが似てるの……?」
なんだかとてもフェリス様に驚かれてしまった。
何故?
「あ、竜王陛下の血を継いでるから、フェリス様が似てらっしゃることわかってるんですが、私、つい、フェリス様に似てらして慕わしいなー竜王陛下と想ってしまって……」
いけない。
竜王陛下に不敬だったかな。ごめんなさい、竜王陛下。
御二人ともこの世で一番素敵……! と想ってます……!
「レティシアはレーヴェより僕が好きなの?」
「……? はい。竜王陛下にはディアナの守護神として敬意を抱いてますが、私の推しはフェリス様ですので……」
どうしてそんなことを? と想ったけど、なんだかフェリス様は凄く驚いてるみたいだった。
……?
ディアナだと、婚約者や夫より竜王陛下が好きな人もいるのかな?
竜王陛下、頼り甲斐あるし、かっこいいものね!
でも、レティシア的にはフェリス様が一番なのー。
竜王陛下といえどもはそこは譲れない!
うちの推しが一番!
「前にも、レティシア、王宮で、僕にそう言ってくれた。僕に似てるから、レーヴェが好きって」
そう言えば、王宮でそんなお話したときも、フェリス様、凄く驚いてた。
そんなに珍しいかな? ディアナの人、竜王陛下が好き過ぎるから?
「私の推しはフェリス様ですから、フェリス様が一番です! あ、ご、ごめんなさい、竜王陛下……」
「こんな可愛い僕の姫を、僕の花嫁としてディアナに来るのを赦して下さったサリアの女神に心から感謝するよ」
フェリスはオレに似てるって百万回言われ過ぎなんだよなあ、可哀想に。
よかったなあ、時空を曲げて、フェリスにオレが似てる、て言ってくれる娘が来て、
とレーヴェが可愛らしい花嫁の言葉に和んでいるとも知らず、レティシアは朝から号外もゲット出来て、さらにはいつかフェリス様の肖像画も! と大御機嫌だった。
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