第287話 夢の中の小さな王弟殿下
「王宮だと流石にちょっとだけど、ここなら問題ないよ。僕自体は、レティシアの歳から、ずっと似たような暮らししてるから、小さな僕が采配してもシュヴァリエの者は不思議がらないよ」
「めっ。ちっちゃなときから働きすぎです」
レティシアがくまのぬいぐるみと共に不満を述べる。
ちなみにレティシアはくまのぬいぐるみを抱いて寝ていて、そのレティシアをフェリスが抱いて寝ていたので、二人の間にはくまのぬいぐるみがある。
「……フェリス様?」
あ、またフェリス様がフリーズした。
いまの何がツボだったの?
フェリス様のスイッチ、相変わらず、謎……。
「フェリス様、何がツボだったのかわからないけど、笑っていいですよ」
綺麗な背中が震えてるんだもん。
「ほんと? 何だかね、さっきのレティシア、可愛すぎて……」
「可愛すぎて大笑いってどーなんでしょう……? まあでもフェリス様くらいです。私でそんなに楽しくなる人は」
「僕のレティシアはいつも可愛くて楽しい」
「超個人的なツボですね、きっと……」
「レティシアがね、悪夢を見たら祓ってあげたいな、と思って、僕、昨夜、一緒に寝てたんだけど」
「そうなのですか? 寝ているときまで、お手数を……」
やはり、ただの笑い上戸の美人さんではなかった……。
「でも、いままで誰かの夢に干渉したことなんてなかったから、……なんで僕ちっちゃくなってたんだろう? レティシアのなかの僕のイメージなのかな?」
フェリス様も万能ではないらしく不思議がっている。
「あんなにちっちゃなイメージではないですが、私のフェリス様は」
私の推しは、いまのこのままのフェリス様だなー。
推し活も長くなってくると、あの頃の推しが一番なの! とか複雑な心理があるらしいんだけど。
いま目の前にいて、四面楚歌だった私を助けてくれた、このフェリス様が、私の推し!!
「私のフェリス様てどんな人?」
「あ……! 御本人に、すみませ、」
「いや、ただ聞きたくて、レティシアのフェリス様ってどんな人なんだろう? と」
「優しくて、美しくて、賢くて、……でもなんか損しそうなタイプの方です。器用そうなのに不器用というか」
「後半のがあたってるな。確かに僕は不器用だ。何事もそううまく行った試しがない」
「そんなことないです。たくさんいろんなお仕事ちゃんとされてるけど、……御自分のことは下手というか……」
「……レティシア」
「フェリス様?」
「朝から心臓持っていかないで。起き上がれなくなる」
「……私は一日ゴロゴロしててもよいですが、シュヴァリエの方々はフェリス様待ってるかも?」
一緒につきあうから、フェリス様も、暇な時に一日ゴロゴロしたらいいよねー。
いまはちょっと御領地シュヴァリエの一番大きなお祭り期間中だから無理だろうけど。
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