第286話 あなたを守れる人になりたい
なんだか怖い夢を見てた……。
でも途中からフェリス様が出て来て、可愛かった。
フェリス様、小さくてもフェリス様(なんというか由緒正しい王子様なの)。
あの大真面目なのに天然なとこもフェリス様……。
フェリス様がいらっしゃると怖くない。
叔母様も叔父様もアレクもアドリアナも。
フェリス様は、私を気持ち悪いとか、不吉って言わないから……。
私が何か、おかしなこと言っても、嫌わないでいてくれるの。
人間て不思議だよね。
ずーっと不吉だとか不気味だとか言われてると、そんな気になって来るの。
ぐすん。フェリス様、大好き。
いっぱい優しくしてくれる御恩に報いられるスーパー(?)レティシアになりたい。
レティシアも強くなって、フェリス様をお守りしたいの。
「……ん、ん……」
レティシアが瞼を開けると、物凄く整った貌が目の前に逢った。
レティシアの小さな身体を抱き締めて、フェリスが眠っている。
「おっきいフェリス様……」
レティシアはそっと手を伸ばしてフェリスの白い頬に触れてみる。
眠るフェリスはまるで名工が刻んだ神殿の彫像のようだ。
「とてもチョコレートを夕食にしようとする人には見えません、フェリス様」
レティシアの美しい婚約者。自慢の推し。
「にんじんが苦手な人にも」
「……レティシアが食べさせてくれたら食べるよ、人参も」
「きゃ……!」
白い瞼が動き、晴れた空の色の瞳がレティシアを見つめる。
「フェリス様、おはよう、ございます……?」
「おはよう。レティシア、魘されていたけど、いやな夢を?」
「怖い夢を見ましたが、ちいさなフェリス様が守ってくださいました」
レティシアは正直に応える。
「ちいさな僕が?」
「はい! 私と同い年くらいのフェリス様でとっても可愛かったです!」
「レティシアと同い年くらいの僕がいい?」
「……? ちいさいフェリス様可愛かったけど、いつものフェリス様のほうが好きです」
大人のフェリス様のほうが優しいかんじかも?
「ほんと? レティシアが、ちいさい僕のほうが好きなら、ずっと小さく化けておくよ?」
「楽しそうですが、みんなが困りそう……」
コナン君みたいに、ちいさなフェリス様があれこれ皆を差配してたら可愛いすぎるけど。
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