第231話 殿下の乳母の言う事には
「レイ。私、何か見苦しいところがありましたか? 婚約者のほっぺをぷにぷにするのは淑女として、ダメでしたか?」
いけない。
ちったいフェリス様のほっぺにそうとう触りたかったみたいで、もうおっきなフェリス様に戻ってらっしゃるのに、つい欲望に負けてしまった……。
何か淑女として、ダメな振る舞いだったのかも知れない。
『淑女とは』という本も借りて来たのだが、まだ読めてない……。
「ぷにぷ……いえ、とんでもありません、レティシア様。レティシア様には何も問題ありません。我が主は普段が普段なので、皆に驚かれますよ、と御忠告しただけで……」
「僕が大事な婚約者の健康を心配して何がおかしいんだ? こんな小さなレティシアの肌が荒れたと聞いたら、気にするだろう? いかに僕でも、もとからそこまでひとでなしではないぞ?」
「フェリス様はひとでなしじゃないし、わたしはちいさくないです……」
前半は真実だけど、後半はうそ。
ホントは、ちいさい。
けど、何だか小さい扱いに反論!!
「フェリス様の乳母でもある私の母が……レティシア様のお世話をしているサキのことですが、子供のときに子供らしく過ごせなかったフェリス様を、レティシア様がまるで育てなおして下さってるようだと申しておりました」
「私は何も……だけど、サキはフェリス様の乳母だったの」
レティシアが育てなおすなんて、とんでもない。
前世でも、赤ちゃんも育てたこともないのに(それ以前の問題…)。
それにしても、サキ、フェリス様の乳母だったんだあ。
それで、他の女官とは、フェリス様のサキへの接し方が少し違うのね!
ふにゃー。昨日の今日なのに、サキ逢いたいな。
それこそ、サキ、お母さんぽい安心感なんだよね…。
「……レイよ。まるで僕がよほどの発育不全に聞こえるじゃないか」
「いえ、どちらかというと、フェリス様は子供の頃から優等生過ぎて、いろいろと子供らしい遊びを、他の方より損された感ですね」
レイとフェリス様は、いつもながらに可愛い。
乳兄弟でもあるなら、レイにとってフェリス様は心配で仕方ない弟みたいなかんじなのかな?
「レティシア、馬車より馬の方がよく見えるから、騎乗で行こうと思ってるけど、僕と二人で乗ってくれる? レティシア一人で乗せるのは、祭り時期で外部からも人も入ってるから、心配なので……」
「あ……、はい」
レティシアの背中ががら空きにならないように、安全上、心配して下さるのかな?
でも、そんなのお伺いすると、フェリス様の背中も心配だなー。
(レティシアは、密かに竜王陛下の血を濃く受けたフェリス王弟殿下が、ディアナというか大陸でもおよそ最高峰の魔力の使い手で、お夜食前にレティシアに内緒でよその神殿壊してるなどとは夢にも知らず、いつも優しい婚約者殿が、誰かに傷つけられないか、大真面目に心配している。傍から聞いたら、何とも可愛らしい心配であるが、レティシア本人は真剣である)
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