第230話 竜王陛下譲りでは?
お出かけ!
お外にお出かけ!
髪も可愛く結んでもらった! 薔薇の飾りのついたお帽子とかも選んでみた!
ドレスは、フェリス様の瞳みたいな透き通った碧のドレスがあったので、それにして貰った!
謹慎転じての休暇なので、そんなに浮かれるべきじゃないのかも知れないけど、つい、浮かれてしまう。
わりと、フェリス様が、ふんわり、のんびりされてるせいもあるかな~。
フェリス様は毎回、王太后様の御振舞には心理的にかなりダメージ受けるみたいだけど、それ以外の現実的なことは、淡々と目の前の事をこなしていくってかんじ……。
王都で初デート(?)誘って下さったときに、そっと広場での騒ぎを収めてらしたときも、昨日の潜入捜査のときも、外敵には怯まないんだ、てかんじだった。
ああ、でも、人間、誰でもそうだよね。
レティシアも、ディアナ王弟との早すぎる婚姻どうこうより、身内の叔父達に冷たく当たられるほうが哀しかった。
いま、フェリス様がとてもレティシアに優しくして下さってるけど、もしディアナの王弟殿下が、年下すぎる花嫁のレティシアを気に入らなくても、それは仕方ないかも…花も盛りの十七歳の少年が、子守りは嫌かも…、的な気分はあった。
よく知った人からの裏切りや排斥は辛いけど、まるで見知らぬ人にはそこまで望まないと言うか……。
実際には、逢ったこともなかったフェリス様のほうが、血の繋がった親族よりずっとレティシアに優しかったのだけれど。
「レティシア、支度は出来た?」
「はい」
フェリス様が迎えに来てくれる。
気のせいかしら?
なんだか、フェリス様が、愛しくて仕方ないものでも見るような眼差しでレティシアを見つめてくれるの。
昨日、王宮では、宮廷雀たちに勝手な事を言わせぬよう、幸せで仕方ない二人を演じよう、て打ち合わせしてたけど。
(や、それに、フェリス様のおかげで、毎日本当にレティシアは幸せなんだけど……)
ここは、フェリス様のご領地だから、もうそんなにラブラブな二人を装わなくても大丈夫なのでは?
(いや、ラブラブでなくても、とっても仲良しな二人ですけど!!)
「フェリス様、薔薇祭りに行くのですか?」
「そうだよ。ハンナに聞いた? この時期、一か月くらいずっと何かしら催しをやってるから、結婚式の後にレティシア連れて来ようかと思ってたんだけど。今のほうが、薔薇は見頃かもと」
「薔薇の御菓子とかたくさんあります?」
「うん。薔薇の御菓子に、化粧水に、オイル、石鹸……何でもあるよ」
「凄く質がいいですよね。フェリス様のところの薔薇の石鹸に変わってから、レティシアのお肌もつるつるです!!」
「……レティシアは何もしなくてもつるつるしてるかも?」
何かがツボに入ったらしく、フェリス様が笑っている。
「でも、ちょっと荒れてたのです……」
「婚礼の長旅や、諸々の心労のせいかも知れないね。大丈夫?」
レティシアの白い頬を、フェリスの長い指がすくう。にゃー、ほっぺ、ぷにぷにされた……。レティシアもちびフェリス様にぷにぷにしたかった……(さすがにねだり損ねた)。
「は、はい! いまは、こちらの薔薇の石鹸で、ピカピカなのです!」
「レティシアがそう言ったら、きっとまた石鹸のオーダーが山と届くよ。僕が使ってるからて、やたら欲しがる人とかいるから……」
「フェリス様、白磁のようなお肌だから」
「うちの石鹸のおかげかどうかは謎だよ。単にレーヴェ譲りの頑丈な肌なのでは、と僕は思う」
「が、がんじょうなフェリス様の肌……」
頑丈、と、竜王陛下、と、フェリス様の綺麗なお肌、がレティシアの脳内でうまく結びつかなくて困る。
「竜の鱗とか堅そうじゃない?」
「それとフェリス様のお肌はぜんぜん違います……こんなに柔らかいし」
レティシアも手を伸ばして、フェリスの頬に触れてみる。おっきいフェリス様だけど、ほっぺはつやつや。レティシアのお父様とはぜんぜん違うな……(あたりまえ)
「……フェリス様。レティシア様。あの……御二人の仲が睦まじいのはとてもよいことなのですが、いささか、皆がびっくりしているというか……」
レイの控えめな制止の声。
え? え? ……何かダメだったかな!?
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