第181話 レティシアと同い年の王弟殿下に逢いたい
「私と同い年のフェリス様……私もお会いしてみたい……」
いいなあ。
ここの人達はみんな、レティシアと同い年のフェリス様に逢ってるんだ。
レティシアも逢いたかったなあ。
お母様を亡くしたばかりで寂しかっただろうフェリス様と逢って、二人で好きなだけ、一緒に泣きたかったなあ。
フェリス様のところはどうかわからないけど、レティシアの国では、お父様が亡くなられて、すぐに叔父様が新王として立たれたから、
いつまでも先王の死を悲しむのは不忠だと言われてしまった。
叔父様の即位に不満とかではなくて、ただレティシアは父様と母様の為に悲しんでいたかっただけなのに。
生きている者は、みんな、前に進まなくてはいけないから。
いつまでも後ろを振り返ってはいけない、と言われた。
それはわかるのだけど。
だけど、レティシアはたった一人の娘だったから、他の人は、新王とともにどんどん前に進んでくれてかまわないけど、レティシアくらい、ただ父様と母様の為に泣いていたかったのだ。まだうんと若かったのだ。やりたいこともいっぱいあったと思うのだ。
レティシアは、二度目の人生を生きているというのに、どうしてまた同じことで泣いているのだろう。
どうして大事な家族を、今度こそ守れなかったのだろう……。
「………? 姿だけでいいなら、こんど小さく化身してみようか?」
「……え? そんなこと、出来るんですか?」
レティシアがひどく悲しいことを思い出してたら、何か、フェリス様が楽しいこと言って下さってる。
「試したことはないけど、不可能ではないと思う」
「じゃあ、お暇なときにぜひ! 可愛いフェリス様、逢いたいです!」
それはもうレティシアと一緒に泣いてくれるちいさい王弟殿下じゃないだろうけど、お姿だけでも、とーっても可愛いと思うので逢いたい!!
フェリス様てやっぱり癒し系……(恐らく御自分の意図してないところで)。
「ちいさい僕だと可愛いの? 大きいいまは可愛くない?」
「いまもお可愛らしいですけど……、ちいさい殿下にも、逢ってみたいなって」
何といっても、竜王陛下と真面目に張り合うとこが、可愛らしいです、フェリス様……。
(普通、御先祖の神様とは張り合わないと思うの……)
「フェリス様、いまは皆をねぎらってやって下さい。レティシア様とはあとでゆっくりお部屋で語らわれて下さい」
こほん、とレイが白々しく咳ばらいをしている。
いけない。
レティシアがちいさいフェリス様に逢いたがったりするから、大脱線しちゃった。
「いえいえ。御二人のお仲のよろしさに安堵致しました」
「まことに。好みの難しいフェリス様のお眼鏡に適うような姫君はいらっしゃるのだろうかと、私共、老婆心ながら案じておりましたが、無用の心配でしたようで……」
フェリス様て、好み難しいのかなあ……。
何かと挙動不審なレティシアにも優しくしてくれるから、だいぶ博愛系だと思うけどなあ……。
貌はね、たしかに氷の美貌系だから、実際より、怖がられてるだけだと思の……。
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