第140話 竜王の魔力を制御しているのは

「僕がレティシアに力を分けたことは、魔法学の先生にも内緒ね。……レティシアの魔力を食べた訳ではないけれど……、レティシアと話してたら、じゅうぶん、元気もらったよ。魔力も湧いてきた」


そう言えば、さっき、生きる気力が湧いてきた、と仰ってた。


「魔力て、気力なのでしょうか?」


魔法の事は少しもわからない。

レティシアの元いた世界には、本やゲームや創作物の中にしかなかったから。


「うーん。気力とは違うけれど、頭がはっきりしてないと、いろいろ制御できない……魔力に限らずだけど……何だろう、こう……軽く拾えるはずの球も、気持ちが落ちると拾えないと言うか……」


「ルーファス王太子様が、フェリス様の魔法は凄く他の人と違うって……」


「それはたぶんレーヴェ譲りの竜の血のせいじゃないかと……」


竜王陛下の血の成せる業なのかあ……。それはレティシアには無理そうだけど。


「私もフェリス様に魔法習えますか?」


「うん。もちろん、レティシアが望むなら。でも、基本の授業はちゃんと先生から教わってね」


「嬉しいです!」


わあい。フェリス様から魔法習うの楽しそう。


「……でも、僕、教えるのうまくないよ」


「優しそうな先生に見えますが」


「先生には向かないみたい。魔法で何かするときに、あんまり考えてやってる訳じゃないからだと思う」


「意外と理論系でなく、本能系の方なのですか?」


「……うん。そりゃあ…、先祖があの人だし……」


もごもご言ってるフェリス様が可愛い。


こんな可愛いうちの推し様を、何でもかんでも闇雲に悪役扱いするって、

どういうことなの、お義母様!!


ぜったい、王太后様、カルシウム足りてないと思う!!

もっと小魚とか牛乳とか摂ってもらいたい!!


栄養もだけど、ふわっと感覚で処罰決めないで、ちゃんと密偵とかも雇って、街の噂も正確に調査して処罰して貰いたい!!


「フェリス様。謹慎中は、妃も何かしてはいけないことはありますか?」


きっと連帯責任で、レティシアの行いは、フェリス様の行いになっちゃうだろうから、気をつけなければ。


「ううん。特にはないと思うけど……、王都で出歩くなくらいの謹慎だと思うし。いっそ、レティシア連れて、領地に引き上げて、うちの花祭りにでも行こうかな」


「………!? 謹慎中に大丈夫ですか?」


「ダメだけど、流石に僕も気分を害しておりますよ、という示威行動かな」


レティシアを見下ろす笑顔も、レティシアの金髪を撫でてくれる指も優しいけど、

突然の謹慎処分には、静かに怒ってらっしゃるのかも知れない……。



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