第56話 推しのジェネリック
「あ! くまちゃーん、私の部屋にも竜王陛下の絵、欲しいな」
(ディアナ人は竜王陛下が大好きですので、誰の部屋にも竜王陛下の絵があるのですよ)
午前中の授業をしてくれたセドリック伯爵夫人がそう教えてくれたけど、衣装替えを手伝ってくれながら、サキもそんな話をしてた。
「あの竜王陛下のタペストリーの前にいると、なんか落ち着くし……」
いいかも。レティシアも、これから、ディアナの人になるのだし。
サリアの女神様は何も悪くないけど、どんなに女神の神殿で祈っても、父様も母様も元気にならなかったという哀しい思い出がある。
「それに竜王陛下、フェリス様にそっくりだから……」
部屋に推しのポスター(この世界では肖像画だけど)なんて、推し活っぽーい!
あれ? フェリス様自身の肖像画じゃないと、推し活とは違うか。
推しそっくりの神様の肖像画じゃ、ジェネリックかな?
でもなんか、竜王陛下のお話してるときのフェリス様が、ふだんほど大人びてないっていうか、年相応、何ならちょっと歳より幼いくらいで、可愛い。仲のいい兄弟とか、悪友の話でもしてるみたいで、自然な感じ。
フェリス様、この世の人じゃないみたいな、浮世離れした美貌だから、ああいうくだけたかんじでもお話して下さると、安心する。
「うん! 明日、フェリス様に、竜王陛下の肖像画、お願いしてみよー」
(え。それはどうかな。どうなのかな~)
竜王陛下の肖像画希望に大乗り気のレティシアを、フェリスが贈ったくまのぬいぐるみが、
それは、うちの御主人、嫌がるのでは…? と言いたげに、心配そうに見ていた。
レーヴェが聞いてたら、
(ほら、オレ、望まれてるだろ? やっぱりフェリスに直接言いにくい話とか、オレが聞いてあげなきゃ)
とおおいに威張りそうな話ではある。
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