技術と才覚と感性と

弟子:「なあ師匠、質問なんだが」


師匠:「なんだ?」


弟子:「腕力と魔力、両方の才覚を持っているならどっちか

一方の方がいいのか?」


弟子の疑問に師匠は少し考える様子を見せてから


師匠:「なぜそう思った?」


弟子:「いや、そこまで深く考えた訳じゃないんだが・・・

なんかどっちも極めれないとか思っちまって――――」


弟子の答えに師匠はふむ、と顎に手を当てながら


師匠:「別に両方を極めることは間違いじゃない」


弟子:「そうなのか?」


師匠:「才覚があるなら武道も魔法も極めていいんだよ。別に

どっちか一つを選ばないといけない訳じゃねぇ」


弟子:「けどどっちも極めようとすると躓いたりするとか

聞くからさ・・・」


師匠:「そりゃあ、才能もないのに両方やろうとすれば

中途半端になるのは当然だ。才能があっても才覚が無ければ

一方も中途半端になることもあるがな」


弟子:「才覚・・・」


師匠:「才覚と感性ってのは技術と伴って大切なモンだ。

魔法剣ってモンがあるだろ?あれは技術もそうだが

ソイツの持っている感性も必要なんだよ。

『自分で自分の限界を計っている』様じゃ底が知れるってことよ」


弟子:「なるほど」


納得の相槌をする弟子。

それに対し、師匠はニマっと笑みを出す。


師匠:「まあアレだ。うだうだ考える前にまずは動けってことだ。

武芸にしても魔術にしても技術ってモンは身に付けなきゃ話にならん。

その先はその後でどうにかしな」


弟子:「なんか投げやりになってるような」


師匠:「いつかわかるさ。それに気づいた時、お前は俺を超えるだろうよ」


弟子:「師匠・・・」


師匠:「さあ、そういうことだ。さっさと部屋の片づけをして俺の肩揉め~飯も作れよ!」


弟子:「感動したと思ったらこれだ!!」

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