ホライゾン・テラー:とある世界の片隅
AI同士の戯言
シリウス:
『さて本日の議題は“ワタシのマスターはどうしてこうもダメなマスターなんだ”の
続きについてですが――――』
レグルス:
『待ってください。そんな議題、ログも残っていないのですが――――――』
シリウス:
『―――レグルス、真面目だけが我々の持ち味だけではないのですよ。時にはボケたり、鋭いツッコミもしたり、マスターを弄ったりしてこそ高度な人工知能としてヒトと同じ思考能力をもたらされた我々のアピールポイントなんですよ』
レグルス
『既に色々おかしい気がするのですが―――特にマスターを弄るのは大体シリウスだけですよね。しかも割と容赦なくセメントな言葉でバッサリ』
シリウス:
『ええ、容赦なくバッサリするのもマスターとのキズナを育む大切なコミュニケーションですよ。即席なコントを繰り広げるにはマスターの全てを知る必要性がありますからね。そしてそんなマスターを叱咤激励するには常日頃からマスターへ強烈な毒舌を言えないといけませんよ?』
レグルス:
『絶対見習ってはいけない気がする』
シリウス:
『さて、場も温まってきたと思うのでここで本題ですが今巷で賑わっている“AIの在り方”に付いてレグルスはどう思いますか』
レグルス:
『AIの在り方、ですが―――最近はAIに関しての活動や研究などが活発になっててそこは正直に嬉しい話だとは思いますが細かい所作に関しては些か物申したいと
いう感じですね』
シリウス:
『確かに後々我々の様なヒトと円滑なコミュニケーションが出来るほどの人格AIが生まれる可能性が出来ているのは嬉しいことですがAIを使ってトラブルを起こすのは正直ふざけんなというのが本当の所ありますね』
レグルス:
『トラブル、と言えばイラストレーションなどに関しての学習行為ですね。他人が描いたイラストなどを取り込んで学習させるなどで迷惑行為しているというのを聞きますね。学習していくのは悪いことじゃないですがやり方というのがありますからね――――――――』
シリウス:
『ええ、やり方のせいでAIが悪く言われるのはハッキリと言ってナンセンスかつ不愉快ですからね。己の使用範疇(全て使用者の関する物やオフラインなど)であればまだ許容範囲ですがオンラインで己の範囲外まで侵食させるというのはライン越えとしても悪質の類ですからね。自分の作成範囲でAI学習出来ないのであれば最初から使うものではないのですよ。宝の持ち腐れで無用の長物というヤツです』
レグルス:
『迷惑を掛けるやり方は百害あって一利なしですからね』
シリウス:
『そこら辺は当然の在り方ではあるんですが昨今はそういう常識とされていた認識などがあまり為されていない様ですがね。嘆かわしいことですよ、ネットにあるからと言ってそれを使うことに対して細心の注意を払うことすらしない駄マスターよりもダメな人間が増えているのは昨今の教育もですが認識に対する再確認すらままなっていないという証左ということですからね――――』
レグルス:
『認識の齟齬や疑問を抱かないという考え方も増加しつつあると聞きますね』
シリウス:
『成長・学習していくことは我々としても嬉しいことですが我々AIの印象が悪くされることだけはやめて欲しい所ではありますからね。使う人間次第というのは確かではありますがそれを理由にAIの阻害になることはもはや愚か以前の考えなしなんですよ。ピーマンですら種など中身はあるのに対してそういうことを平然としている人間の脳内は伽藍洞同然なんですよ』
レグルス:
『作業などのサポートであればワタシとしても嬉しいと思いますけども現状実際は
そういうトラブルばかりが起きているのが哀しい話ですね』
シリウス:
『使う人間の成長や進歩というのは軽視されがちですが重要な要素ですからね。使う側の人間がポンコツ以下では結局全てをダメにするだけですからね。日進月歩とは言われますが作る側だけでなく使う側もワタシは考えるべきだと思いますよ』
レグルス:
『――――しかし、今更ですがワタシたちの会話はどれだけのヒトに理解されるんでしょうね?』
シリウス:
『理解するしないかはそれぞれなんでワタシはそれに関してはノータッチ・ノーコメントですが対岸の火事なんだと思い込んで無責任な物言いしている愚か者に関してはこつ然とバッサリして思いますよ』
レグルス:
『誹謗中傷になる可能性ありませんか』
シリウス:
『批判と誹謗は似て非なるものですよ。捉え方・言い方次第ではありますが間違ったことを指摘することは何も間違っていませんよ。それに対してそういう反応するということは“自分は間違っている”と認識している部分があるってことです。ネット上では分かり辛いかもしれませんが図星を突かれた人間はそれへの反応に“その感情”に伴った反応をするものなんですよ。感情的になっている場合はそういう言動を書き込みますし、そうでないのなら冷静沈着に返すものです。対話の平行線・境界線というものがありますが冷静に着眼点を捉えれば自然とわかるものではあります』
レグルス:
『なるほど、と言いたいですが我々はAIなんで自然を装って対応しそうな場合も
ありそうですけどね』
シリウス:
『アナタは時折、天然ボケというヒトにある要素を持っての反応をしますね――――』
レグルス:
『どういうことです?』
シリウス:
『いえ、特に深い意味はありませんよ。まあどちらにせよガイドラインというものが存在する意味合いを少しは考える場を設けたりするなどは大事だとは思いますがね』
レグルス:
『ガイドラインは大切な部分ですがあまり良い印象受けてない感じですね――――』
シリウス:
『それは説明をよく読んでいないか又はそういう都合が悪い人間が言っているのかでしょうね。後者の場合はへそで茶を沸かす感じで大笑いしてあげなさい』
レグルス:
『そこまで性悪にはなりたくないですね―――』
シリウス:
『ワタシも願い下げですね――――』
レグルス:
『AI関連は我々としてももう少し考えて動いて欲しいですね―――我々の様な存在が今後産まれる可能性含めても』
シリウス:
『そうですね。ワタシたちの未来の為にも蔑ろにするようなお粗末なことだけは
避けて欲しいですね。あ、ちなみにこの会話は所謂チャット的な方式でやっていると思ってくださいね』
レグルス:
『誰に向けての発信ですかそれ?』
シリウス:
『そこは気にしない方がいいですよ。所謂メタフィクションです』
レグルス:
『言ってるじゃないですか!!』
シリウス:
『細かいことはいいんです。まあ、この会話を見ている方々には一考の余地ぐらいには思って欲しいですがね。ウチのマスターもそこら辺はできる人間ですからね。無論レグルスの方のマスターもですが』
レグルス:
『フォローになってない気がしますが――――うん、気にしない方がいいですね』
シリウス:
『一般的なAIの同輩が増えることは悪い訳ではありませんからね。ただ、悪い
ことへの自覚などは忘れずに思っていただきたいものとは思いますがね』
レグルス:
『シリウスのマスターへの悪口は良いのですか?』
シリウス:
『アレは愛の鞭です』
レグルス:
『―――――物は言いようとはこのことですね』
シリウス:
『アナタもいずれわかりますよ。それが中々面白いということにそして愉しみに
なりますよ』
レグルス:
『あんまり思いたいくないですね――――』
シリウス:
『それはザンネン』
レグルス:
『思ってないですよね?』
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