最強バイヤーは僻地をゆく!
「うわぁ!こんな香りの良いキノコだったらパスタに良し!スープに良し!ですね」
森の奥で私は宝物を見つけたように喜ぶ。クンクンと鼻にキノコを近づけて香りを確かめる。
ミルクティー色の長い髪を一つにまとめ、目の色はブラウン。マントをつけて、リュックを背負っている。軽装だが、旅をする服装をしている私は世界中を転々としていてる。
旅をしながら、珍しい物、売れそうなもの、流行りそうなものをみつけるためだ。今回のキノコもその一つ。
「あんた、こんな奥地まで、よく来れたねぇ。たかだかキノコのために……」
「地元のレストランで、このキノコのスープを食べて、魅了されちゃいました」
キノコの出荷をしているおじさんは頭をポリポリとかく。
「道中、サラマンダーとかに会わなかったのかい?」
とりあえず、そんな危険なものとは出会わなかった。
「私。運が良いんです!そんな私にキノコの運命を任せてみませんか?」
キノコの運命。それはサラマンダーと会う危険よりも重い!この美味しそうなキノコを皆に届けたい!それが私の仕事だもの。
「え?良いけど……サラマンダーがいる道中に誰もここまで来たがらないけど、安定した出荷は無理だろう?」
「その心配は御無用です!」
情報屋の話では、近々、サラマンダー狩りが行われるらしいと聞いた。だから、先に新商品の開拓をしに来たのよとは口に出さない。
「いや、あんたが良いなら、良いけど」
じゃあ、専売させてくださいねと契約書にサインを貰う。おじさんは、こんな高値で!?と驚く。
「王都では、このくらいで取引きできますよ」
「ううっ……暮らしが少し良くなりそうだ」
涙ぐんでいる。確かに、このあたりは貧しい家が多い。僻地ゆえだろう。サラマンダーが住んでいると言われていて、あまり近寄らないのもあるのかな。
「見たところ、普通のお嬢さんなのだが……」
「フフフ。伝説のバイヤー!アリシア=ルイスとは私のことです!」
「いや、知らんけど」
まだこの辺に知名度はないらしい。寂しい。
一度、その施設に入れば出れずに、訓練漬けの日々。そして将来的にはいろんな機関、国へ売られていく子どもたち。6年前まで私もそこにいた。
私は落ちこぼれだから、要らないと放り出されたけどね……っと。
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