7話目 なぜ非凡は

「…っぷ!お前がちびってたじゃん!」


「し、知らねえし。それよりほら、足は大丈夫なのか?」


自分の失敗を責められたくなくて話題を変えようとしているのか本当に心配しているのかが分かんないな。

まあ、**顔が真っ赤だしやり返した感がある。

あー爽快、爽快。

やっぱ生きている甲斐があるね。


「大丈夫ここ病院だし、なにあっても対処できるから。」


「そうか、、ていうかお前能力持ちだったんだな!?」


能力、僕はよく知らないけど特別な力の事。

まるでヒーローみたいだ。


「三月学校に行ったらヒーロー扱いだぜ!」


「それは嬉しいよ!ていうか事故が起きた時の周囲の顔とか傑作だよな!」


「全員おまえの能力に驚いていたもんな!」


後々聞いた話だと、自動車に乗っていた人はシンキンコウソクが原因で事故を起こしたらしい。

今はここの病院で治療を受けている。

トラックの方は自動運転を試していたらしい。

そしたらイレギュラーな状況で機械が暴走してしまった。

と親に言われた。


「よく分かんないけど、俺たちめっちゃ不運だったってこと?」


「そういうこと」


お互いに納得。

よし、問題は解決。

後は僕のけがが治ればいつもの日常に戻れる。

友達と馬鹿みたいに騒いで、笑いあう。


「ふふ」


少し前の光景を思い出して笑みがこぼれた。

勿論、**にはキモいと言われた。

知ったこっちゃない。

漏らしてたくせに。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おはよー。戻ったよ!」


教室のドアをスライドして中に入る。

このクラスは相変わらず賑やかだ。

僕にとってはうれしいけどね?だって病院は静かすぎて怖い。

というか**とうるさくしただけで親に叱られるし。

とにかく僕はこの空気が好きなんだ。


そんなことを思いながら周囲を見渡していると、一人のクラスメイトが僕の存在に気付く。

まるで信じられないようなものを見た顔で僕のことを見る。

えー。そんなに欠席していることが珍しかったのか?

あ、違うかも。能力のことだ。

多分僕が欠席中に誰かが僕の能力を広めたに違いない。


ヒーロー扱い。

生まれて初めてのことだ。

どんな眼差しでこれから僕のことを見てくれるのだろうか。

楽しみだな!


口元が薄く笑う。

しかしそんな僕の様子を逆に怖がるかのように周囲がざわめく。

あれ?いつも間にか誰もが僕の方に向いている。

しかも顔が真っ青で…


いつもと違う雰囲気の教室。

そして少しの沈黙の後、誰かがボソッと呟いた。


「…人殺し」

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