6話目 僕はなぜ非凡なのか
「っおおおい!三月ぃ!」
小学校からの帰り途中にいきなり声をかけられた。
そしてランドセルをバシバシと叩かれる。
考える時間を与えなかった事だから僕は驚いた。
「うわあ!」
我ながらに腑抜けた哀れな返事だったと思う。
しょうがないじゃないか、いきなり僕の名前を叫ぶとは何事だ。
ちょ、ランドセルに重心乗せないで…ずっこけそう。
「三月、俺だよ!**だよ!本当にお前ってビビりだよなあ」
「**かよ。ビビりじゃねえし。怖かっただけだし」
「おねしょしちゃった?うわー三月汚い~」
「っ!マジで今日という日は許さん!」
してるわけないだろこの野郎!
**は俺が一番目ぐらいに仲良くしている友達だ。
親友とは呼びたくない、ウザいから。
でも、何があっても助けてくれるような安心感がある。
学校生活でもし**が居なかったら何回も友達に嘲笑いされてただろう。
なんか助けてくれる変人=**
「きゃー怖ーい。三月ちゃん!」
「歯食いしばれ!この…」
いつもの様にふざけ合う。
それが一緒にいる限り永遠に続くと思っていた。
「キャー!!車が歩道に!!」
別の悲鳴が聞こえる。
後ろを振り返れば車が迫ってきていた。
ガードレールなんてここの歩道にはなかったから猛スピードで僕らのところの迫ってきていた。
運転席を見れば一人の男性が胸を押さえながらハンドルを握っていた。
また胸を押さえている手にはタバコが握られていた。
…これは助からないかもしれない。
車の迫力に目を瞑ってしまう。
あぁ、もう駄目だあ…
「三月!車道に!」
すると突然**が僕に向かって叫んだ。
直ぐに僕の腕はあいつに握られて引っ張りあげられる。
その時に暴走した車が僕らの元へ通りかかる。
ギリッ
僕の足の先がタイヤに踏まれたことは覚えている。
途轍もない痛さに恐怖感すら微塵も感じない。
「ああ!!」
「安心しろ!車は避けたって…あ…」
車を避けた矢先にもっと大きいエンジン音が僕らの元へ迫ってきていることに気付いた。
なんだよこれ…痛えよ。
ぼんやりする視界にとらえたのは青色のトラックだった。
「**」
運転席が高いせいでだれが運転しているのかが分からない。
でもそんなの関係ない。
僕は死ぬのだろう。
…不意に怖くなくなった。
あぁ、別に僕なんかトラックに轢かれたら一瞬で絶命するんだし、もういいや。
僕は別にいいや
…だったら。**は?
隣を見ると今にも泣きそうな顔の**がいた。
今まで僕は彼のおちゃらけた表情しか見ていなかった。
でも今は絶望に打ちひしがれていた表情をしていた。
「…」
僕は自然に**の前に立った。
トラックの騒音で周りの声は聞こえない。
あぁ、怖い
怖すぎるよ!!
僕の親友が死んでいなくなるなんて怖すぎるよ!!
そのとたんに音が遮断される。
鼻の先に何かがある。
僕は宙に向かって手を伸ばした。
直後、トラックの前方があり得ない形でひしゃげた。
嫌な金属音を響かせながら、
そして、足先から血を流している僕と、ちびった**がお互いに息をしていた。
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どうも!夏孤九条です。
一話では挨拶できなかったので改めてよろしくお願いします。
読者さんを置いて行かないことをモットーにしているので、
「分かり易い!」という声を頂けたら嬉しいです。
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