2話目 平凡なピエロ
普通の世界に突如として能力を持つものが現れた。
少数であるが、人々からは熱狂に愛され、とても重宝されていた。
それは、経済、生活、に深く浸透して次第と娯楽にも必要不可欠な存在となった。
その後、能力を持つ者だけが入学許可を持つ学校が成立。
その学校では基本教育は勿論、能力の制御を目指した近代的な学校であった。
今では、能力を持つものが内閣総理大臣に任命され、日本の未来を背負っている。
これからの時代は能力者と共によりよい未来を歩んでいることになるだろう。
本を読みながら電車に揺られる。
顔を上げて
今はサーカスの拠点に自分の住む場所を移し替えるため日用品を持って目的地に進む。
少し荷物が大きすぎるせいで隣の人が押しつぶされてる、すまん
「次は、白山、白山です」
電車からアナウンスが聞こえる。
ここが、僕の降りる駅。
白山駅を降りるのは初めてだな…。
名前の知らない駅だと田舎という印象を持ってしまうが何と言っても東京都だ。そんな事は無いはず。
因みに自分が配属されるサーカス団は【東京タッチサーカス団】である。
電車が停まって改札を出ると少し古い町並みが見える。
ここでサーカスをするのか…
昔はもっと都会で運営していた、やっぱ廃れてる。
いやいや、今更感が半端ない。
それも理解したうえで入団したのだから、
でも何か寂しさを僕は覚えていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねーそこの君?サーカスを見る気はないかい?」
公園近くで、
ぼーっと歩いてい時に急に声を掛けられた。
ビビったわ。
顔を上げると奇抜なファッションに笑ってる仮面、
ピエロだ!
「…えっと。どこのサーカス団ですか?」
「ん?【東京タッチサーカス団】だよ?」
あーそれ僕の仕事場だわー。
もうカミングアウトするしかないかあ。
自分的にはピエロの存在は観客にとっての遠い存在であり寄り添ってくれる存在だ。
そんなイメージを仕事のメタ話のせいで通行人の夢を壊したくないのが事実。
よし、黙ってやり過ごすかあ。
「サーカスに興味出てきた?」
「あーはい。ありますあります(棒)。とにかくそのビラ欲しいです」
近づいてくんな!
その笑顔怖いっつーの。
まあ、人集めるのに必死なのは分かるけど子供泣くぞ?
はい、ビラ頂戴、ってあれ?引っ込めたけどこのピエロ、
「興味を持ってほしいから僕頑張っちゃうよ!」
するとさっきまで目の前にいたピエロは少し三月から遠いところに移動して蛇口付近の石に手を置いた。
…ん、これまさか!
三月が何かを悟ったように目を開く。
次の瞬間、ピエロは蛇口の建造物の上に手を置いた状態で逆立ちをした。
「これは準備体操だよ!」
ピエロはそう叫ぶと片方手を離した!
しかしピエロのバランスは全く崩れない。
まるで鉄柱でも体の真ん中に通っているみたいだった。
「うわああああ、マジサーカス…」
三月は感激した。
これサービスとか、このサーカス団まじで期待できるわ!
これからの生活に胸躍らせている自分がいた。
そしてピエロは浮いている手を空中で振る素振りを見せる、
するとその手の中には一枚のビラは収められていた。
「この技を見て考え直してくれたかな?」
少し誇らしげな口調で三月に問いかける。
これから同じ場所で働く三月だったが完全に心を奪われていた。
こうやってサーカスは人々に夢と希望を与え続けていたのだろう。
日々の鍛錬が日々の表現が
マジサーカス最高、ビラ受け取っておこ。
そう三月は思ってピエロのビラを握られている手に三月の手を近づけた。
すると、
「あっつーい。ギブギブ!いったん休憩させて!」
と、周囲から声が聞こえる。
声の先をたどると一人の小学三年生ほどの男の子だった。
その子は水道に近づくと噴水型の蛇口に手をかける。
「あ、ちょま…」
その男の子は蛇口の建造物で逆立ちしているピエロには気づかなかった。
そのまま男の子は蛇口をひねる。
ジョバーーーーー
「オぼぼぼぼ…」
ピエロの顔面にストレートで水がかかる。
その後数回せき込んで倒れた。
なんか幻想的だったけど言わないでおく。
「っ!大丈夫ですか?」
僕はピエロに駆け寄って安否を確認している。
「ゲホゲホ、う~ん水かけられるとは僕驚いちゃった!」
無事っぽい。
でも、仮面にはインクが施されているため少し滲んでしまっている。
あーこれ作り直しかも…
「ピエロのお兄さん、ごめんなさい、気が付かなくて…」
男の子が必死に頭を下げて謝っている。
なんか謝っている理由が複雑だなあ。
ん、あ!ピエロさん待って!今の顔のままだと…。
「大丈夫だよおお!!」
インクが滲んでピエロの笑みが凄まじいことになってる。
怖い。
そして喉もやられてガラガラ。
「ぎゃあああああああ!」
子供は逃げて行った。
そんな姿を残念そうにピエロは見ていた。
「あの…すいません、【東京タッチサーカス団】で働くことになった橘三月です」
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