34話
...ここは何処だろう...?
「...お腹...すいた....」
小学生ぐらいの白髪の男の子が、お腹を押えながらそう言って部屋の隅でうずくまってる...
服装はおそらく、袴かな...?
でも..所々ツギハギでボロボロだし...貧乏なのかな...?何か食べ物持ってきてあげないと....
私がそう思って振り向いて動こうとしても体が動かない、視線を下にやって自分の体を見ようとしても何も無く、ただそこには畳があるだけだった。
(夢...?にしてはリアルだよね...?)
そう思っていると、ガタッと何かが音を立てて開く音がする。
再び後ろを振り向くと、そこにはカゴいっぱいのみかんを持った、綺麗な浴衣を着た長い黒髪の女の子が扉を開けて立っている。
「大人の人から沢山貰っちゃったから一緒に食べよう!」
「...いいの?」
「だって、多いいんだもん」
2人はそう言って、カゴの中のみかんを1つづつ手に取り食べ始めた。
少しして白い髪の男の子がゆっくり話し始める。
「...なんでいつも僕のところに来てくれるの...?大人の人達から言われるでしょ...?僕は神様から...嫌われた人間だって...」
黒髪の女の子はその問いにゆっくりと答える。
「私が村の人達に反抗したいからなのもあるんだけどー、うーん、私が君と遊んでて話してて楽しいから!」
黒髪の女の子はそう純粋に答える、だけどね白髪の男の子はその答えに、納得がいかないのかこう言った。
「神様に嫌われるかもよ...?」
「そもそも私、神様嫌いだし!なんで頬に黒い点があるぐらいで好きになる神様なんか好気にならないといけないの!?こっちから願い下げよばーか!」
そういう彼女の頬には確かに黒い点..つまりはホクロがあった。
そして、白髪男の子は少女の答えに納得したのか、ゆっくりこう言った。
「確かに...僕も嫌い...見た目で決めつける神様なんか大っ嫌い...」
「ならなら!嫌いなら一緒に叫ぼうよ!『神様の大バカ野郎!』って!」
「それって...大丈夫なの?村の人たちから...」
「いいの!いいの!村の人達なんて大っ嫌いだし!」
黒髪の女の子がそう言って、白い髪の男の子の手を掴み手を引っ張る。
白い髪の男の子はびっくりして、食べていたみかんを慌てて飲み込み黒髪の女の子について行く。
小さなボロボロの小屋から2人は出ていき、山道を掛け走る。そして少し山をのぼり2人は大声でこう叫んだ。
「「神様の大バカ野郎!」」
と...
私は、この光景を見たことがある...いや、確かに私はそんな事を言ったし...白い髪の男の子を知っている...私を特別扱いしない唯一の男の子で...初恋の...相手を....
「ん...」
私が目を覚ますと、目の前に白雪くんがいた。
「あぇ?!わ、私寝てた!?」
私が慌てて離れると、その反動で目が覚めたのか、白雪くんの目が開き私の方見る。
「僕...寝ちゃってた...?」
「「...」」
2人の間で空気が流れる。
だ、だって!抱きついて寝ちゃってたし...ど、どう反応すればいいのか、分からないし...
私がどうしようか一生懸命考えていると、扉が開く。
「木空さん、白雪くん、ご飯もうそろそろ冷めちゃうから起きな...あれ?起きてた?」
日作ちゃんが扉の隙間からそう言って入ろうとすると、私たちの姿が見えたのかほっとする。
「ご飯冷めるから早く食べて欲しいんだけど...」
「「わ、わかりました」」
「なんで敬語?まぁ、とりあえず下降りてきてね?」
日作ちゃんはそう言って、扉の隙間から顔を引っこめて下に降りていく。
私と白雪くんは微妙な雰囲気のまま一緒に階段をおりるのだった。
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