32話

あれから一段落して、3人で家に入ろうとしたら、日作ちゃんが何故か焦りだした。


「どうしたの?」


「...そういえば...もう冷蔵庫に...食べものなかった....」


その言葉に私と白雪くんは同時に日作ちゃんの方を向いた


「「え?」」


「ごめん!今から買ってくる!」


日作ちゃんはそう言うと、走って買い物に行ってしまう。


「ち、ちょっと....」


私と白雪くんがついて行こうとした時には既に姿が消えていた。


「は、はやい...」


「そ、それくらい焦ってたんじゃないかな...?」


私達は困惑してしまって、その場で固まって閉まっていたけど、とりあえずメールで「材料多く買いすぎたら運ぶの手伝うから、その時連絡してね」と送って家の中に入る。

少しして、私と白雪くんは少し気まずい雰囲気が流れていた。


(日作ちゃんが居ないだけで...こ、こんなに気まずくなる物なのかな....いやいや...そ、そもそも...さ、最近いろんなことが起こり続けてるし...)


そんな事を頭の中で色々考えながらも、私と白雪くんは何も言わず、黒玉ちゃんが私と白雪くんの周りを交互にぐるぐる回り続けた。


(そういえば...今なら行けるよね?)


ふと思い出し、席を立ちあがあり白雪くんに提案する


「日作ちゃんの部屋の中にあるやつ、今から確認しよ」


その言葉に白雪くんは同じ事を考えていたのか「いいよ」と返事をしてくれた。

2階に上がって、私が最初に日作ちゃんの部屋に入る。人の部屋に勝手に入るのは少し罪悪感があったけど...


(し、下着とか落ちてないよね...)


電気を付けると、部屋は綺麗に片付けされており、棚には様々な本やフィギュアが置いてあっていかにも日作ちゃんぽいなと思った。


「入って大丈夫だよ」


私がそう白雪くんに言うと、白雪くんがゆっくり部屋に入る。


「うん...日作さんぽい部屋だね」


「同じ感想だね」


2人でそう言ってクスッとお互い笑いあい、ジロジロ見たらあれだなと思い、そそくさと日作ちゃんのベッドの下を探る。


しばらくして探っていると、何かがベッドの下の側面に貼られている事に気づいて私はそれを剥がして見てみる。


「見つけた?」


「う、うん」


そこには、おばあちゃんの字で「木空ちゃんへ」と書いてある古びた封筒だった。

とりあえず、ここで読むとあれなので、電気を消して、2人で私の部屋に向かう。


「...これ、君のおばあちゃんの?」


「うん...昔見た字と似てる...」


私がそう言って封筒の後ろを見てみると、歴史の授業で見た絵のタッチで白いキツネと黒い球体の絵が書かれていた。


「...月狐くんと....黒玉ちゃん...?」


私と白雪くんは疑問に思いながらもその封筒の中を確認するのだった。

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