22話

「ごめんね...教科書とかは僕が何とかするから...」


白雪くんは直ぐにいつもの調子の戻して話す。


「....私が荷物取って来ようか?」


「え?」


「えっと...白雪くんが会いたくないのなら私がとってきた方がいいかな...って...」


(迷惑だよね...)


私はそう思いながら言う。しかし、いまさっき見た顔が無理している顔に見えてしまったから私はそう提案したのだった。


「...何かあったら叫ぶから待ってて」


「えっ..?」

私はそう言ってエレベーターの開くボタンを押して出るのだった。


「すいませーん」


私はそう言いながら305号室のインターホンを押す。


「はーい...」


そう言って白雪くんの母親が出てきた。


「し...白雪くんのか....かっ...わりに荷物取りに来ました...」


少し緊張しながらもそう言う。


「わ...わかったわ...どうぞ入って...」


そう言って白雪くんの母親はドアを開けて入ってくるように促したので私は緊張しながらも入る。


「あの子の部屋はあっちだから入っていいわよ...あ、荷物多くなるかもだから少し大きな袋用意するわね...」


「わか..りました...」


白雪くんの部屋だと言われた所に入ると白雪くんとゲームしてる時に見た部屋だったので安心して、教科書などを出していると扉から男の声がかかってきた。


「あの子の友達でいてくれてありがとう」


たぶん白雪くんの父親かな?と思いつつ返事をする。


「とても優しいし大丈夫ですよ」


今回は緊張せずに言う事が出来て少し喜んだけど、すぐさまその心を覚まして作業に戻る。


「...その...親御さんとかがダメならいいんだが白雪を君の家で泊まらせてくれないか?」


「え?」


私はびっくりして持っていた教科書を落としてしまう。


「きゃ...」


「すまない...今言うべきじゃなかったな、絆創膏とか」


「いえ大丈夫ですよ」


実際私には運良く当たらなかったのでそう言う。


「な、ならいいんだが...」


少ししてある程度準備が終わったので部屋から出ると白雪くんの母親が少し大きな袋を渡してくれた。


「これぐらいしか見つからなかったの、ごめんなさい...」


「いえ、大丈夫ですよ」


私はそう言ってその紙袋に荷物と白雪くんの洋服を入れ終わると少し重いけど荷物を持ち再び部屋からでて、白雪くんの父親が話しかけてきた。


「そ、それで白雪を停めてあげてくれないか?」


「大丈夫ですよ」


白雪くんもそっちの方が安心とかすると思ったりしたので当然その答えが出た。


「ありがとう...その...しばらく白雪をよろしくな...金関係はその...」


「そ、そういうのは後回しで大丈夫ですよ」


「すまない....」


そう言って白雪くんの父親は頭を下げて私から離れていく。私は玄関えと向かって2人に頭を下げて「ありがとうございました」と言いって玄関を開ける。後ろから小さく「本当にすまない...」という声が聞こえて来たが私は後ろを振り向かずに外に出てドアを閉めるのだった。

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