独り言-木崎晴翔の場合

 ずっと謙吾が助けてくれていた。

 それは父さんと母さんも分かっていて、俺も感謝している。

 けれど、向けられる感情があの人のものと同じだとしたら、それは違うと思って、理解すると、謙吾の底が知れなくて怖くなった。

 怖いは、好きとは遠いと思う。

 だから、本人に言って良いものか悩んだけれど、あっさりと自分から離れるように言ってきた辺り、正解だったんだと思う。

 謙吾が自分でそれに気が付けたのだとしたら、それはアイツにとっていい事だと思う。

 まだ、好きとか恋とか、愛とか、難しくて分からないけど、その時が来たら、誰かをちゃんと好きになってみたい。

 その誰かは、まだ現れていないかもしれないし、案外、謙吾かもしれないし……まだ分からないことだらけだけれど。

 恋愛って、どんな感じなんだろう。

 好きって、どんな感情なんだろう。

 俺の好きは、誰かを幸せにできるのだろうか。

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