第3話 花仙子


花族の始祖であり、花能の生みの親と言われた人物がいた。

その名は花仙子かせんこである。

彼女は頭から一種類の植物しか開花できない花能者とは違い、彼女は両手から様々の植物を生み出すことができた。


ある日、彼女は幻島の浜辺に漂着する。

孤島にはラーディカ族という民族が居住していた。彼らは金髪に青い瞳、褐色肌に丈夫な体躯を特徴として持ち、海に囲まれ海の脅威と共に島で生きてきた彼らは雨や水を司る龍神を長年崇拝してきた。

また彼ら一族の特徴として特筆すべきことは単一民族であるが故に海向人を警戒する傾向があることだった。


そのため花仙子は島に流れ着くと、直ぐにラーディカ族のものに捕まり、殺されそうになった。

しかし彼女の息根を止めようとする刃が振り下ろされる直前、ラーディカ族が崇拝する水龍が突如顕形した。


天覆い尽くし波打つ蛇のような体躯、清水のように清純な気を纏い、青光りする鱗。金色に光る眼が二つ。頭には鹿のような白い角が生え、口元には髭が伸びていた。

神々しい姿で現れた龍神は花仙子をラーディカ族の人々から花仙子を救い出すと、『傷つけることなく慈しみ守るように』と命じそうだ。


神命により花仙子は一命を取り留め、彼らの中に混じり生活することを許された。

やがてその島に永住しラーディカ族のひとりと結ばれ子が出来た。

その子孫こそが花族の始まりである。



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