第17話

「だ、大丈夫じゃないわよ……笑い死ぬかと思ったわ……私に喧嘩を売るなんていい度胸してると思ったけれど、貴方達は度胸がある以前の問題みたいね」


「ご、ごめんなさい……私達、助けてもらって、しかも貴女の小屋にお邪魔してるのに……。ほ、ほら、美夏も謝りなさい!」

私は押し出すようにして、美夏を白犬の方へ向かせた。


「わ、分かったわよぉ。ごめんねぇ~。言い過ぎたしぃ~」


「どうか、美夏ちゃんを許してあげて下さぃ~。悪気は無かったのですわぁ~、ちょっとお口が悪いだけなんですぅ」

美咲さんも微妙なフォローをした。


「じ、じゃあ……僕らはこの辺でおいとまします。美夏ちゃんも美咲さんも、充分休めたようですから……」

 明生くんの言葉を最後に、私達は頭を下げて小屋を出ようとした。だが、


「ダメよ。ちょっと待ちなさい」

と、白犬がそれを止めた。そして、


「人の事を負け犬呼ばわりしておいて、このまま只で帰れると思っているのかしら?」

と、言った。


「ほ、本当にごめんなさい……み、美夏、もう一度ちゃんと謝りなさいよ……」

と、私は頭を下げながら、美夏に謝罪を促した。


「ぶぅ~なんでぇ? もう謝ったのにぃ~! チョーしつこいしぃ~!」


「違うわよ。そんな事をしても、もう許さないわ。それよりも、そこのキリンさんにこれから行動で教えてあげるわ。

私が負け犬じゃないって事をね。貴方達が人間に戻れるまで――」


「え? そ、それって……」

白犬の言葉に私は顔を上げた。


「仕方ないわね。ついていってあげるわよ。貴方達を放っておいたら、

欠片の願い以上に世界がもっと酷いことになってしまいそうだからね」

と、白犬が舌をベーっと出しながら言った。


「――あ、ありがとう、白犬さん!!」

私は嬉しくなって、大声でお礼を言った。


「それと、私の名前は白犬じゃないのよ。私は神代紗弥加っていうの」


「――は、はい! よ、宜しくお願いします、紗弥加さん!」

明生くんも嬉しそうにお礼を言った。


「うふふ~~」

それを見た美咲さんも、楽しそうに笑っている。


「ぶぅ~。ついて来いなんて言ってないのにぃ~」

皆が喜ぶ中、美夏だけが嫌そうにブーたれていた。


 ――こうして、ずっと探していた白犬、神代紗弥加さんが私達の仲間になったのだった。

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