第31話 進化


 結局アレからみんなを落ち着けるのに1時間はかかってしまった。


 だがまあなんとか理解してくれたようだ。


 今はダンジョンの中を案内したりこれからの事を話したりしている。




「あ、そうだ。何があるか分からないしみんな戦闘訓練でもするか?」


「どうやって?」


「ちょっと待ってろ。」



 スキル〈ダンジョン管理〉のメニューを開く。そして【魔物】をタップする。


 もちろん本物の魔物を配置することも出来るが、訓練用のモードをタップすれば、限りなく現実に近い仮想の魔物を設置できる。


 つまり臨場感などはそのままに、安全に戦闘経験を積めるというわけだ。


 お試しにゴブリンを1体出現させる。


「キャーーーっ!」


 その瞬間、女性陣が悲鳴を上げながら逃亡する。そこまで怖いものでもないと思うが、、、いきなりだと刺激が強すぎたか?


「これはヴァーチャル・リアリティみたいなもんだから安全だよ。赤羽?戦ってみるか?」


「・・・お、おぅ。」


「あーじゃあせっかくだからじーさんからもらった機能性スーツに着替えて来てくれよ。」


「・・・分かった。」


 赤羽が神妙な面持ちで一旦木陰にハケる。


 その間に俺は、メニューから【宝箱】をタップし、剣を準備する。


 なんの変哲もないガラクタのような剣だが、最初はこれで充分だろう。


 あとは、VR・・モードのプレーヤーとして赤羽を指定すれば、下準備はオッケイ。


 ピチピチの変態スーツに着替えた彼に、剣を渡し軽く説明をする。


「自分とゴブリンの頭上に緑色のバーがあるだろ?それが体力を表してるから0になったらゲームオーバーな。逆に敵のHPを0にしたらこっちの勝ち。分かりやすいだろ?」


「あぁ・・・そうだな。」


「じゃあ始めてくれ!」


「うおおぉぉぉ!おりゃ!」


「ギャギャギャギャ!」


「おらぁ!」


 初めての戦闘だというのに赤羽の動きは悪くない。こういう、なんとなく、できちまう・・・・・、奴をなんと言うんだったか?


 あぁ主人公体質って言うのか。


 スキルを1つも持っていないのに筋がいい。


 2分程の戦闘でゴブリンを倒してしまった。しかも赤羽の体力はまだ8割残っている。


 流石イケメン王道アイドル。変態スーツを着ていてもカッコよく見える。


 この様子を木陰から見ていた女性陣も興味が湧いてきたようだ。


「みんなスーツに着替えて来てくれ!少し冒険しよう!」



 こうして俺達は第1フロアに移動し、4時間程探検を楽しんだ。最初こそ怖がっていたナナや御堂姉妹も、帰る間際には、ダンジョンの虜になっていた。


 美月さんなんて会社員なのに睡眠時間を削ってでも毎日通うと宣言したほどだ。

 

 まじチョロい・・・じゃなくて、楽しんでくれて何よりだ。


 あ、そうそう、ちなみに美月さんとおサルのリアンも無事に仲直りをした事を付け加えておく。








 みんなと別れ、家に帰った俺は、忙しくて先延ばしになっていたアレ・・をする事にした。そう、ダンジョンで必死に集めた魔石を食す事にしたのだ。



 今回は全部で450個オーバー。しかもそのうち(大)が18個、(中)が70個もある。全部食べ終わったら一体いくつ上がることやら。


 楽しみで仕方ない。


 さて、それではいただきますか!


 アムアムアム、ガリガリガリ


 ボリボリボリ。



 うっぷ。



 ガリガリガリ



  ピロリン!


『レベルが38上がりました。強化するスキルを38個選んでください。』


 ふむ、めちゃくちゃ上がったな。過去最高かもしれない。ダンジョン攻略を頑張ったご褒美というわけですね。


 それなら、えーとまずは〈付与1〉を9つ上げて!


 ピロリン!


『〈付与1〉がレベル上限に達し〈真・付与Max〉になりました。これによりエクストラスキル〈スキル付与〉、称号≪付与を極めし者≫を獲得いたしました。無機物に対して、スキル効果・・では無くスキル自体の付与が可能になります。』

  


 ピロリン!



『エクストラスキル〈隷属〉と〈スキル付与〉を合体し、オリジナルスキル〈御恩と奉公〉を獲得いたしました。契約することで有機物に対してもスキルの付与が可能になります。』


 キタ!これがあればリアンに攻撃魔法を覚えさせられるかもしれない!


 予想的中だぜ!!


 御恩と奉公ってアレだよな?歴史の授業で習ったやつ。たしか鎌倉時代の武士が・・・


 なんだっけ?・・・あぁ、御恩を与える代わりに奉公してくれよなってやつか。


 ・・・まぁ詳しくはあとでゆっくり検証しよう。


 とりあえず今は残りの強化だ。


 あとは、、、えー29個か。んー上げたいのはたくさんあるけど、ここいらで基礎魔法でも覚えておこう。



 ピロリン!


『〈火魔法1〉〈水魔法1〉〈風魔法1〉がレベル上限に達し〈真・火魔法Max〉〈真・水魔法魔Max〉〈真・風魔法Max〉になりました。これによりエクストラスキル〈インフェルノ〉〈ブリザード〉〈ツリーハウス〉、そして、称号≪火魔法を極めし者≫≪水魔法を極めし者≫≪風魔法を極めし者≫を獲得いたしました。』


 ピロリン!


『水魔法と風魔法がレベル上限に達したため、新たに〈雷魔法1〉を獲得いたしました。』




 ピロリン!


『魔石のレベルが上限に達したため、魔石(中)になりました。【種族】が、ヒューマンからハイヒューマンに進化します。これに伴いオリジナルスキル〈竜魂(小)〉が(中)なります。よろしいですか?』


「お、おぉ。」


 どんだけ続くんだ。まだ終わらないのか?ていうか進化しても俺って人間なのか??


『称号≪進化した者≫を獲得いたしました。これにより全能力が2倍になります。』


 地味にチートきた、単純に戦闘力2倍とかやばくね?



 ピロリン!


『マスターの進化に伴い、使い魔リアンが悪霊(デーモン)から上級悪魔(ハイデーモン)に進化しました。これによりオリジナルスキル〈猿マネ〉、称号≪進化したサル≫を習得いたしました。全能力が2倍になります。』



 あぁもう頭がついていけない。思考加速があるはずなのに頭の中がパンクしそうだ。

 

 もう我慢できない、とりあえずステータスウィンドウを見てみよう。



【種族】ハイヒューマンup!

【名前】黒宮 レイ 

【性別】男

【魔石】中 レベル4(2/4)up!



スキル〈真・剣術Max〉〈神聖魔法Max〉〈格闘術1〉〈真・火魔法Max〉up!〈真・水魔法Max〉up!〈真・風魔法Max〉up!〈土魔法3〉up!〈雷魔法1〉new!〈闇魔法1〉〈空間魔法1〉〈重力魔法1〉〈気配察知1〉〈気配遮断1〉〈夜目1〉〈遠視1〉〈真・身体強化Max〉〈真・詠唱省略Max〉〈魔力操作1〉〈解体1〉〈解錠1〉〈チギュウ共通語〉〈擬態1〉〈威圧1〉〈飛行1〉〈ブレス1〉〈投擲1〉〈粘糸1〉〈超音波1〉〈裁縫1〉



常時発動スキル〈麻痺耐性Max〉〈毒耐性Max〉〈睡眠耐性Max〉〈熱耐性Max〉〈火耐性Max〉〈氷耐性Max〉〈水耐性Max〉〈雷耐性Max〉〈絶食耐性Max〉〈絶水耐性〉〈絶塩耐性〉〈真空耐性Max〉〈物理耐性Max〉〈圧縮耐性Max〉〈臭気耐性Max〉〈仮死耐性Max〉〈石化耐性〉〈血液耐性1〉〈不快耐性1〉〈殺気耐性2〉〈疲労耐性1〉〈真・思考加速Max〉〈真・見切りMax〉


エクストラスキル〈飛翔斬〉〈無詠唱〉〈蘇生〉〈瞬歩〉〈並列思考〉〈インフェルノ〉new!〈ブリザード〉new!〈ツリーハウス〉new!


オリジナルスキル〈サポートシステム〉〈異世界転移(地球)(チギュウ)〉〈竜魂(中)〉up!〈ラプラスの悪魔〉〈ダンジョン管理〉〈御恩と奉公〉new!



称号 《生き残りし者》《唯一無二の存在》《剣術を極めし者》《詠唱を極めし者》《ドラゴンとして転生するはずだった者》《聖なる魔法を極めし者》《身体強化を極めし者》《思考加速を極めし者》《叡智と因果律に愛されし者》《ダンジョンの主を倒した者》《ダンジョンの主》《悪霊(デーモン)の親》《付与を極めし者》new!《火魔法を極めし者》new!《水魔法を極めし者》new!《風魔法を極めし物》new!《進化した者》new!





【種族】上級悪霊(ハイデーモン)up!

    シャドウモンキー

【名前】リアン

【性別】オス



スキル


常時発動スキル〈麻痺耐性Max〉〈毒耐性Max〉〈睡眠耐性Max〉〈熱耐性Max〉〈火耐性Max〉〈氷耐性Max〉〈水耐性Max〉〈雷耐性Max〉〈絶食耐性Max〉〈真空耐性Max〉〈物理耐性Max〉〈圧縮耐性Max〉〈臭気耐性Max〉〈仮死耐性Max〉


エクストラスキル〈シャドウ〉


オリジナルスキル〈顔マネ〉〈猿マネ〉new!


称号 《人間の子》《進化した猿サル》new!






 怒涛のレベル上げラッシュだったな。もはや何から振り返ったらいいのか分からないよ。



 まずは〈御恩と奉公〉か。


 これは〈隷属〉と〈スキル付与〉が合体してパワーアップしたもんだな。ただのスキル付与と何が1番違うのかというと、生き物に対してスキル自体(・・)の付与が可能になるという点。


 もっと分かりやすく言えば〈火〉では無く、〈火魔法〉を与えられるということ。それが御恩となるわけだ。


 で、契約した人は、代わりに俺のために奉公(魔石の献上)をしてくださいってわけだ。



 与えられる種類は〈通常スキル〉と〈常時発動スキル〉だけだが、これでも十分ギブアンドテイク、WIN−WINの関係が成立する。

 


 しかも、契約すると魔力パスが繋がるため、魔石を持っていない人間でも地球で魔法が使えると。


 その他にも〈念話〉が使えるようになったり、主君のために戦う場合戦闘力が上がったりと、効果モリモリのとんでもスキルだ。


 まさに俺仕様のオリジナルスキルといえよう。



 で、火、水、風魔法のそれぞれの内容がこんなかんじ。




火魔法

レベル1 ファイアボール

レベル2 ファイアウォール

レベル3 ファイアランス

レベル4 ファイアショット

レベル5 火柱

レベル6 火炎放射

レベル7 ファイアストーム

レベル8 火剣

レベル9 エクスプロージョン

レベル10 サンフレア


エクストラスキル〈インフェルノ〉




水魔法

レベル1 ウォーターボール

レベル2 ウォーターウォール

レベル3 ウォーターカッター

レベル4 水牢

レベル5 水呼吸、ミスト

レベル6 癒やしの雨、アイスボール

レベル7 氷剣

レベル8 アイスバーン

レベル9 ウォーターボルケーノ

レベル10 グランドオーシャン


エクストラスキル〈ブリザード〉


風魔法

レベル1 ウィンドボール

レベル2 ウィンドウォール

レベル3 ウィンドカッター

レベル4 ウィンドシールド

レベル5 サイレント

レベル6 サウンドクラッシュ

レベル7 かまいたち

レベル8 トルネード

レベル9 オキシジェン

レベル10 サイクロン


エクストラスキル〈ツリーハウス〉




 風魔法のエクストラスキル〈ツリーハウス〉は、木を自在に生み出して、それをあやつるスキルのようだな。なかなか凄まじい便利スキルだ。


 その他は、まぁ、おいおい使っていけば分かるかな。うん、俺の話はこのぐらいで良いだろう。


 次にリアンだ。


 上級悪魔(ハイデーモン)に進化して新しく覚えたのは〈猿マネ〉1つ。


 少ないように感じてしまうがこのスキルがとんでもなく素晴らしい。契約者の影に入りながら〈猿マネ〉をする事で、契約者とまったく同じ行動をとってくれるのだ。


 つまり、俺の攻撃が自動的に2回行動となるわけだ。


 普通に考えてやば過ぎる。


 説明するより実際に使ってみようか。


「異世界(チギュウ)へ!」



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