第19話 魔法習得



 上手いこと逃げ出した俺はグリゴロ大森林に足を踏み入れていた。



「それにしても森の中ってのは物騒だな。」


 〈夜目1〉のおかげで、暗闇でも普通に物を見ることが出来るとはいえ、流石にルンルン気分ではいられない。


 いっそのこと、〈飛行1〉で飛んでいってしまおうかとも思ったが、魔石を食べてスキルのレベルを上げておきたいのでこのまま進む。


〈真・剣術Max〉


 ザシュッ!


 今切り伏せたのはこいつで10匹目になるワイルドボア、まぁつまりイノシシの化け物だな。突進力はあるが、逆に言えばただそれだけ。感情的で動きが読みやすい。


 こちらから攻撃しなくても、木に突っ込んで勝手に気絶したりもする。


 しかも肉が美味いらしい。まさにいいカモだ。


 あぁ、でも普通の人間がコイツらの突進をまともに食らったら、骨折したり、内臓破裂は避けられないだろうから注意は必要だけどね。


 ん?


 おっと、もう1匹いたみたいだな。それなら今度はこれを試してみよう。


〈ブレス1〉



 その瞬間、俺の口から炎が吐き出される。そのさまはまるでドラゴンそのもの。中二病心がうずく、、と思ったのだが、、


 ・・・


 よく考えればドラゴンではなくて大道芸人にしか見えないかもしれない。



「フゴッ!フゴッ!」


 そうだ、そうだ!と言わんばかりにワイルドボアが直進を続ける。


 ダメージはあるようだが致命傷には至らなかったようだ。


 仕方が無いのでタイミングを見計らいヒラリとかわす。


 するとエイミーからアナウンスが入った。



 ピロリン!


『〈見切り1〉を獲得いたしました。常時発動スキルに分類されます。』


 ふむ、見切りということは、、、反射神経が上がるというわけだ。これは意外とチート能力かもしれない。育てればける。


「サンキュ。」


 イノシシ君ありがとう。そしてさようなら。


 魔石ものちほど美味しくいただくよ。


 スパッ!





 さてさて、次だ、次の相手は何かな??


 って言ってるそばからゾロゾロとゴブリンが湧いてきやがる。


 1に魔石、2に魔石、3.4も魔石、5に魔石。


 とりあえず目についた魔物を間髪入れずに狩っていく。

 

 そうして3時間ほど狩り続けたところで、一息休憩を入れる。






 現在手に入れた魔石の数は、大3個、中25個、小100個。流石に森の中でノンストップで頑張っただけのことはある。


 ということでモチベーション維持のためにもここらで全部食べてしまおうと思う。


「いただきます!」


 アムアムアム!


「うぇ」


 やっぱりゲロマズ、、、



 ピロリン!


『魔石のレベルが21上がりました。強化するスキルを21個選んでください。』


 うーむ、今回は悩む。どの属性の魔法を先に覚えようか?定番の火や水も捨てがたいし、、、土もいい。なにせ家とか作れちゃうし。


 でも、やっぱり最初はこれとこれか・・・?


 まぁどうせ遅かれ早かれ全部のスキルをMaxまで上げるつもりだから最終的に大差は無いと思うけど、、、むむむむ。


「よし、決めた!光魔法と回復魔法をMaxまで上げて、あまった3つを身体強化に割り振ろう。」


 ピロリン!


『スキルレベルが上限に達したため〈光魔法1〉が〈真・光魔法Max〉に、〈回復魔法1〉が〈真・回復魔法Max〉になりました。』


 ピロリン!


『条件を満たしたため2つのスキルが統合し〈神聖魔法Max〉となりました。これによりエクストラスキル〈蘇生〉を習得いたしました。』


 ピロリン!


『称号≪聖なる魔法を極めし者≫を獲得しました。これにより、神聖魔法発動時の魔力消費が0.8倍、魔法威力が1.2倍になりました。』




【種族】ヒューマン

【名前】黒宮 レイ 

【性別】男

【魔石】小 レベル42(26/42)



スキル〈真・剣術Max〉〈神聖魔法Max〉new!〈格闘術1〉〈火魔法1〉〈水魔法1〉〈風魔法1〉〈土魔法1〉〈闇魔法1〉〈空間魔法1〉〈重力魔法1〉〈気配察知1〉〈気配遮断1〉〈夜目1〉〈遠視1〉〈身体強化6〉up!〈真・詠唱省略Max〉〈魔力操作1〉〈解体1〉〈解錠1〉〈チギュウ共通語〉〈付与1〉〈擬態1〉〈威圧1〉〈飛行1〉〈ブレス1〉



常時発動スキル〈麻痺耐性Max〉〈毒耐性Max〉〈睡眠耐性Max〉〈熱耐性Max〉〈火耐性Max〉〈氷耐性Max〉〈水耐性Max〉〈雷耐性Max〉〈絶食耐性Max〉〈絶水耐性〉〈絶塩耐性〉〈真空耐性Max〉〈物理耐性Max〉〈圧縮耐性Max〉〈臭気耐性Max〉〈仮死耐性Max〉〈石化耐性〉〈血液耐性1〉〈不快耐性1〉〈殺気耐性1〉〈思考加速1〉〈見切り1〉new!


エクストラスキル〈飛翔斬〉〈無詠唱〉〈蘇生〉new!


オリジナルスキル〈サポートシステム〉〈異世界転移(地球)(チギュウ)〉〈竜魂(小)〉



称号 《生き残りし者》《唯一無二の存在》《剣術を極めし者》《詠唱を極めし者》《ドラゴンとして転生するはずだった者》new!《聖なる魔法を極めし者》new!





 ・・・〈蘇生〉はやばいだろ。絶対に軽々しく覚えてはいけない魔法だと思うんだが。



 まぁ使うけど。

 


 ふむふむ、あ、でも使用するには条件があるみたいだな。対象が死んでから10分以内、なおかつ頭部が残っていなければならない。


 ふむ。


 しかも、効果があるのは1人1回まで。同じ人物を何回も生き返らせることは出来ない。


 そんなところか。



 うん、十分チートだな。


 んで神聖魔法の中身はこんな感じか


回復魔法

レベル1  ヒール

レベル2  解毒、解呪

レベル3  ハイヒール、エリアハイヒール

レベル4  体力回復

レベル5  魔力回復

レベル6  エリアヒール

レベル7  リジェネ(体力)1時間持続

レベル8  リジェネ(魔力)1時間持続

レベル9  病気治癒

レベル10  欠損回復



光魔法

レベル1 光球

レベル2 フラッシュ

レベル3 ホーリショット

レベル4 浄化

レベル5 プロテクト

レベル6 インビジブルカーテン

レベル7 反射

レベル8 輝剣

レベル9 聖炎

レベル10 ホーリーレイ



 回復は特にスキルレベル7からが凄まじい。リジェネをしておけば疲労や魔力を気にしなくても良くなりそうだし、病気や欠損が治せるのもいい。まさに医者いらず。特に病気治癒なんて日本で使用すれば神と呼ばれるかもしれない。影響の大きさを考えると秘匿案件だけど、微力ながら救える命はあるかもしれない。


 うん。


 で、光魔法は、、、流石のラインナップだね。ビーム出ちゃうし輝剣作れちゃうし。やっとまともな武器が使えるよ。


 あぁそれと、レベル6のインビジブルカーテンっていうのはアレだな。使用すると任意の場所に2メートル四方の膜を作れて、そこに隠れれば透明になれる。ロマンに溢れているけど、アンポンタンが良からぬ事に使えそうな魔法だね。



 まぁ、そんなかんじ。




「よっしゃ!」


 1回日本に帰るか。


「〈異世界転移(地球)〉!!」






日本



 現在の日本は土曜日のちょうど昼過ぎ。電波が入ったことで携帯に大量の着信とメールが届く。その数128件。


 差出人はほぼマネージャー。


 事前に、電波の届かない場所に行くとあれ程言っておいたのに、またしてもこの惨状。


 やはりあの女にはストーカーのがあるのかもしれない。


 適当に謝りつつ、適当に頷いておいた。内容はあまり聞いていなかったが、、、



 それから、お風呂を沸かしてからゆっくりと湯船に浸かる。もちろんここはタワマンなので、お風呂のレベルも高い。俗に言う、ジャグジーってやつだ。


 おまけに外の景色がよく見えるようにガラス張りになっている。


 この物件の唯一良いポイントかもしれない。


「あ〜〜〜〜」


 思わずオヤジのような声が漏れる。



 あまりにも気持ち良かったので30分は余裕で入っていた。


 日本人に生まれて良かったな。うん。



「さてどうしようかな。」


 風呂から出てベットに腰掛けながら漠然と今後のことについて考える。


 テレビのコードを繋がなければいけないし、ご飯も買ってこなければいけない。


 あぁ、それと図書館に行って、エイミーに内容を全部スキャンさせたい、、、


 やることがいっぱいあるな。


 うーん、とりあえず外食がてら外に出かけよう。テレビは緊急でもないし帰ってきてからゆっくりセットすればいい。


 うん、そうしよう。




 近くにある牛丼チェーン店でご飯を食べてから、その足で都立の図書館に入る。


 かなり大きな建物で蔵書数は日本で2番目ぐらいに多いらしい。一説によると500万冊を超えているとか。


『エイミー?準備はいいか?』


『もちろんです。』


『今回は青白い光が漏れないようにやってくれよ?防犯カメラもあるしスタッフにも不審に思われるからな。』


『心得ております。』


『うん、それじゃあ片っ端からスキャンしていくぞ!』


 目の前の棚は旅行系雑誌だけど、、、今後なにが役立つか分からないからな。


 もちろん小学生の計算ドリルから大学の受験関係、司法書士、判例集、六法全書、医学書、建築、全てだ。


 1冊につき10秒もかからない。ていうかたぶん一度に何冊かまとめてスキャンしている。


 俺はただ本棚の前で突っ立っているだけだが、我がサポートシステムは超絶優秀なのだ。



 こうして俺は5時間ほどかけて、1階から3階まで、図書館にある本を全て制覇した。



 そして天才となった。





 まぁ・・・いちいちエイミーに答えを聞かないと分からないが。




 あぁそうそう、それと帰り際に都の募金箱に20万入れてきたことだけ付け加えておく。


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