第18話 ドラゴンの力?
ピロリン!
『教皇のスキルにより、視覚、聴覚、嗅覚が正常に機能しておりません。また通常スキルと常時発動スキルが封じられています。耐性が発動しないため〈異世界転移〉は絶対に使用しないで下さい。』
『え?それって
地球に緊急脱出できないじゃん。
「あ、痛!」
そうこうしている間に何者かによって床に押さえつけられる。
そして両脇を抱えられどこかに運ばれていく。
目が見えないので正確には分からないが、おそらく目的地は広場だろう。
え?何をするかって?
そりゃあ、判決通り、今から俺の公開処刑をするんだろうよ。火炙りで。
・・・死ぬ。このままだと控えめに言って死ぬ。
痛いのは勘弁してほしい。
ピロリン!
『視覚、聴覚、嗅覚を復旧いたしました。』
『おぉ!』
戻ってきた、五感が戻ってきたぞ。流石エイミーだ。その調子で頑張ってくれ!
「なにニヤけてやがる!」
ドカ!
グハッ!
しまった、思わず顔に出てしまった。
物理耐性が発動しないため、
許すまじ。絶対に許すまじ。
コイツには10倍返ししてやる。
ピロリン!
お、きた!今度は〈火耐性Max〉か?
『スキル〈思考加速1〉を習得しました。』
違う・・・良いスキルだけど今じゃない!!今そのスキル要らない!!
必要なのは耐性だ。
あ〜〜〜〜〜
そうこうしている内に俺はメインストリートをどんどん運ばれていく。
兵士が
そんな俺の心配をよそに準備は着々と進んでいく。
ろくに抵抗することも出来ず、広場の中央に設置された木の骨組みにロープでグルグル巻きにされる。
そして見せしめとしてしばらく放置されたあと、
到底受け入れられる内容では無かったが、まぁこのパフォーマンスはプロパガンダの一種なのだろう。
強いゼアーズをアピールしたいのかもしれない。
ただこれが意外と長かったおかげで、俺にとって良い事が起こった。
ギリギリのところで〈火耐性Max〉〈熱耐性Max〉〈真空耐性Max〉が復旧したのだ。
ピンチな事に変わりはないが、とりあえず火炙りで死ぬことは無くなった。〈真空耐性Max〉もあるので息を止めれば、煙を吸って死ぬこともない。
マヌケな奴らにまじ感謝。
ホッと一息ついていると、いよいよ運命の時が来た。統制のとれた動きでフルフェイスの兵士達が俺の周りを取り囲む。
カランカランカラン!
「これより刑の執行を
そう宣言した兵士が、右手に
メラメラメラ、、、
あっという間だ。あっという間に炎が燃え移る。
俺の足の裏が焼けるのも時間の問題だろう。
ピロリン!
『生命の危機に陥ったため、魂が持つ本来の力に目覚めました。称号≪ドラゴンとして転生するはずだった者≫を獲得いたしました。』
『おぉ!?』
『これによりスキル〈ブレス1〉〈飛行1〉〈竜魂(小)〉を習得いたしました。なお〈竜魂(小)〉につきましてはスキルレベルではなく魔石の大きさに依存します。』
何だかよく分からないが、命の危機を経験したことで、ドラゴンの特色が目覚めたらしい。
これもバグの一種だろうけど・・・クマムシだった俺を転生させてくれた神様どうもありがとう。
♢
クロード教皇視点
その日、クロードは興味深い男に出会った。人間でありながら魔物の気配を放つ男。魔族かとも思ったがどうやらそうでもない。
それに異教徒とは言え、ゼアーズのトップである私を前にしてこのふてぶてしい態度。
裏切り者のアーランド王国ですら表立って我らとは対立しようとしない。それが現実だ。国だけでなく個人でもその状況は変わらない。
にもかかわらず、コヤツはたった今、裁判の中で、当然のことのように異教徒であると宣言した。
ただの馬鹿者だろうか?
・・・いや、そうではない。
我々に放った飛ぶ斬撃と剣術は、まさに血の
ありえない攻撃力だ。
異教徒である
そう判断し速やかにスキルを放つ。
「〈見えざる牢獄〉。」
これは代々教皇に就任した者だけに受け継がれる特別なスキルだ。
視覚、聴覚、嗅覚、そして通常スキルと常時発動スキルを封じ込めてしまう。
このスキルの前では誰もが赤子同然になる。それはコヤツとて例外ではない。
「すぐに処刑の準備しろ。」
「「はっ!」」
それから1時間後。
クロードは自分の執務室でゴブリンと対峙していた。目的はもちろん奴隷として働かせるためだ。
ゴブリンには3歳児程度の知能がある。おまけに
産まれてからすぐに成長するのも奴隷にはもってこいの性質だ。
まぁ人間と比べれば頭が悪いため、痛みを伴う
と、そんなことを思いながら首を絞められて苦しむゴブリンを見下ろす。もちろん絞めつけているのは教皇自身だ。
「フフフ、、、フハ、、フハハハハ!いつの日か魔族どももこの手で支配してやるからな、、、ハッハッハッハ!」
クロードの瞳孔は開き、顔は
しかし、そんな至高の時間を台無しにする
ガシャガシャと鎧の
「きょ、教皇様〜〜ー!!」
兵士が慌てた様子で駆け込んでくる。
「どうした?」
不機嫌さを隠すこともせず威圧する。
「はっ!そ、それが例の処刑予定の冒険者が逃げ出しました!」
部下の報告を聞き、ピクリと眉が上がる。そんなはずは・・・
「どういうことだ?奴には〈見えざる牢獄〉を施していたはずだ。詳しく話せ。」
「は、はい、問題が起きたのは
「飛んだ?空をか?」
「はい!」
「・・・・フハハハハ!」
〈見えざる牢獄〉は既存の通常スキルと常時発動スキルにしか効果はない。まさかあの魔法を受けてから新たにスキルを獲得したのだろうか?
それとも、何らかのオリジナルスキル、もしくはエクストラスキルで脱出したのだろうか。真相は闇の中だが、あやつがただ者ではないという直感は当たっていたことになる。
「これは愉快、愉快。ハッハッハッハッハ!」
「あ、あの・・・どうされたのでしょうか?」
突如笑い出した教皇に兵士は困惑しながら尋ねる。するとクロードの顔が急に無表情になる。
そして有無を言わせぬ圧で
「指名手配をしろ。」
「ひっ、、、は、はい、すぐに!」
♢
いや〜よく分からないが新しく覚えたスキルが有能過ぎる。〈飛行1〉は言うまでもなく空を飛べる。まぁまだ自由自在というわけではないが、それでもこれは使える。
そしてなんと言っても〈竜魂(小)〉
これを発動すると。底知れぬ力がグツグツと湧いてきて、右腕が白いオーラに包まれる。
逃げる時に試しに兵士を殴ってきたけど、何人か再起不能になったと思う。
威力が強すぎて取り扱い注意だ。まさに竜の攻撃力を右腕に宿しているといってもいいかもしれない。
魔力消費と体への負担はでかいけど、最高のスキルだ。ピンチの時の切り札にしようと思う。
そんなとこかな。
【種族】ヒューマン
【名前】黒宮 レイ
【性別】男
【魔石】小 レベル21(17/21)
スキル〈真・剣術Max〉〈格闘術1〉〈火魔法1〉〈水魔法1〉〈風魔法1〉〈土魔法1〉〈回復魔法1〉〈光魔法1〉〈闇魔法1〉〈空間魔法1〉〈重力魔法1〉〈気配察知1〉〈気配遮断1〉〈夜目1〉〈遠視1〉〈身体強化3〉〈真・詠唱省略Max〉〈魔力操作1〉〈解体1〉〈解錠1〉〈チギュウ共通語〉〈付与1〉〈擬態1〉〈威圧〉〈飛行1〉new!〈ブレス1〉new!
常時発動スキル〈麻痺耐性Max〉〈毒耐性Max〉〈睡眠耐性Max〉〈熱耐性Max〉〈火耐性Max〉〈氷耐性Max〉〈水耐性Max〉〈雷耐性Max〉〈絶食耐性Max〉〈絶水耐性〉〈絶塩耐性〉〈真空耐性Max〉〈物理耐性Max〉〈圧縮耐性Max〉〈臭気耐性Max〉〈仮死耐性Max〉〈石化耐性〉〈血液耐性1〉〈不快耐性1〉〈殺気耐性1〉〈思考加速1〉new!
オリジナルスキル〈サポートシステム〉〈異世界転移(地球)(チギュウ)〉〈竜魂(小)〉new!
エクストラスキル〈飛翔斬〉〈無詠唱〉
称号 《生き残りし者》《唯一無二の存在》《剣術を極めし者》《詠唱を極めし者》《ドラゴンとして転生するはずだった者》new!
『よーしエイミー!もう夜だけどスキルも全て戻ってきたしグリゴロ大森林に行くぞー!』
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