中編 ~残酷な現実、広がる犠牲~
火) 「おっ、全員起きたな。今からルールを説明するぞ。」
日) 「火浦先生、待って下さい。何故、私達を気絶させて運んだのか、説明を求めます。」
火) 「うーむ、全員車に押し込んで運んだ方が楽だったから?
今はそんな事どうでも良いし、日向もきちんと説明聞けよ。」
おかしい。今の言葉で説明できる程、軽い問題では無いのに。
これから、何か不味い事が起こる気がする。
火) 「今から、三対三に分かれて、ドッチボールをしてもらう。
そして、勝利したチームのメンバーは、次の大会のベンチ入りが確定する事とする。」
月) 「何でドッチボールなんですか?あたし達はハンドボール部なのに。」
火) 「月見の言う通りだが、正式な試合をするには人数が足りない上、俺が見たいのは個々の資質だ。
誰かに頼って偶然勝った奴をベンチに入れたって、意味無いからな。
それに、ハンドコートの半分を使い、ボールも試合球だから、無関係では無い。」
月) 「へぇ、それはかなり、あたし向きの内容だね。」
火)「俺が今言ったチームに分かれて、試合を始めるぞ。
月見、金崎、土井のAチーム vs 日向、水嶋、木ノ下のBチーム、試合開始!」
始まった、ボールはコートの中央に置いてあるから、取りに行って一人当てよう。
私は、瞬発力を生かし、周りより速くボールの元へ到達した。
日) 「よし、取った。」
そして、少し可哀想だけれど、Aチームで最弱の金崎に狙いを定める。
日) 「えいやっと!」
投げたボールは真っ直ぐ金崎の太もも辺りへ飛んで行く。
金) 「あわわ、どうしましょう。避けるか、キャッチをしないと。
そんな事を考えている内に、ボールが来ちゃいました。間に合いませ〜ん!」
"ボンッ、ブシュッ"
日) 「えっ、金...崎?」
金崎にボールが当たった瞬間、彼女の首と胴体が離れ、大量の血飛沫が辺りに舞った。
日) 「いやぁぁぁぁ!金崎が、金崎がぁぁぁ」
月) 「ひうらぁ! どういう事だよ!今、金崎が着けてた首輪が、首を切断したように見えたぞ。
一体あたしらに、何をつけたって言うんだ!」
火) 「あっ、月見に言われて思い出したよ。この首輪は、装着者がボールに当たると首を切断する様にプログラムしたんだ。」
月) 「なっ、何だよ...それ...」
水) 「嫌だ、死にたく無い、逃げなきゃ、逃げなきゃ。」
気が動転した水嶋がドアの方へ向かうが、何故かドアは開かない。
火) 「あぁ~ダメダメ。そのドアは指紋認証式だから、開かないよ。」
土) 「つまりぃ、決着がつくまで、ここから出られないってことぉ?
うちもまだ死にたく無いよぉ〜。」
火) 「土井の言う通り、片方のチームが全滅し、決着が着くまでここから出られない。
無論、試合を棄権したら、機械を起動させるけどな。
ほら、次、Aチームからだぞ。」
その後、両チームとも沈黙が流れた。当然だ、ボールを当てた相手が死ぬ状況で、投げられる
火) 「はぁ〜、
火浦がボールに手を伸ばすが、月見が寸前で奪いとった。
月) 「
火)「だって、お前達がやろうとしないから。...そうだ、時間制限をつけよう。
十分以内に決着が付かなければ、両チームとも全滅な!」
状況が更に悪化した。もう、両チーム共に生き残る手段は無くなった。つまり、生き残るためには、敵チームを殺るしかないのだ。
月) 「くぅぅ、今のままじゃ、どの道全滅だから...悪いな、許してくれぇ!」
月見がそう叫びながら、パニック状態の水嶋を狙う。水嶋は硬直して、避けようとしない。
日) 「水嶋ぁ、避けてぇ!」
私の声が届いたのか、ボールに反応した水嶋。しかし、運悪く脇腹に
水) 「あはっ、あははぁっ!」
"ブシュッ"
断末魔とも取れる声を上げながら、彼女は散った。
木) 「嫌ぁ、水嶋先...輩、どうしてぇ?うわぁぁぁん。」
日) 「木ノ下...
今は私達側にボールがあるけど、次相手側にボールが渡れば、今度は貴女が当てられるかもしれないの。
だから、お願い。立って!」
木) 「ぐすっ、ううっ、分かりました。」
日) 「それと、今、ボールを投げることは出来そう?」
木) 「無理...です。人を犠牲にしてまで勝ち残るなんて、自分にはとても...」
日) 「分かった。それなら、私が投げるね。」
どちらを狙うべきかは決まっている。全滅が条件なら、強い人を残しておくべきではない。先ずは、月見を当てる。
それに、私は、
日) 「はぁっ!」
月見に向かって、全力でボールを投げた。軌道は、真っ直ぐに。球速は、速く。
けれど、月見は私の全力のボールを、意図も簡単にキャッチしてしまう。
月) 「よっと」
そして、キャッチしたボールを、木ノ下に目掛けて投げた。
日) 「木ノ下!しゃがんで...避けて!」
木) 「えっ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます