結婚探知機
昨今、少子化問題が深刻化してきた日本ではあるが、その深刻な現状を打破しようと研究者たちはある画期的な物を発明する事に成功した。
それは結婚探知機という製品で、自分との相性がいい人には青色。相性が普通であれば黄色。相性が悪いと赤色になるという優れ物だ。
この製品が日本に出回ってから五十パーセントの離婚率が数パーセントまで下がったのだ。相性が良い夫婦が増えた事により、子供の数も増えて少子高齢化という言葉は消えつつあった。
そんな事もあり、現代を生きる若者たちには無くてはならない物となっていた。
しかし、誰もが幸せな家庭生活を築けるわけでは無い、ある男は未だに相性の良い女性を見つける事が出来ずにいた。
「国が主催している婚活パーティーに行ったけど、また相性の良い相手は見つからなかったか…」
公園のベンチに一人佇む男。
彼は結婚探知機を購入してから三年も経つというのに、未だに相性の良い女性を見つける事が出来ずにいた。
「どうすれば良いんだ…この公園に相性の良い人でもいないかな」
半ばやけくそになり、結婚探知機の電源を入れると青色に光っている事に気付く。
慌てて辺りを見回すも、公園にはランニングをしている男性や散歩をしている年配の女性しか見当たらない。
「故障でもしたのか…?」
そう思い、結婚探知機を叩いたり振ったりとしてみるが、色は以前青色のままだった。すると、突然結婚探知機が青色に点滅し始めてしまう。
「えっ?故障じゃない!?」
青色の点滅をする場合は、相性の良い相手が自分から離れているという意味だ。機械の故障でない事に気付き、慌てて立ち上がり探そうと走り出す。
すると、先程まで高速点滅を繰り返していた機械が、徐々にゆっくりと点滅していき、ついには点滅を止め青色に光りはじめる。
「はあ――はあ…この近くに俺の相性が良い相手が居るって事か」
機械の光を見ながら走っていたので、男は周りをあまり見ていなかった。ふと、周りを見るとそこには一人の女性の後ろ姿が見える。
「やった…俺にもやっと相性の良い女性と巡り会えたんだ!!」
その人に近づき事情を説明すると、最初は驚き戸惑っていた彼女であったが、すぐに美しい笑顔を見せてくれた。
「私も相性が良い男性が見つからなくて諦めてたところなんです」
どうやら悩んでいたのは彼だけではなかったようだ。その事に安堵しながらも、彼女と結婚を前提のお付き合いをする事になる。
しかし、彼女との幸せな時間は長くは続かなかった…。
それは彼女がニューハーフだったからだ。
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