第5話 もしかして
「いったい、どういうことかしら? ポチャ」
自宅の天蓋付きベッドに飛び込むと、まぎかはポチャに呼びかけた。
顔の真横の空気が歪み、ぐるりと渦が回転し、ポチャが現れる。
「サア? もしかしてあの炎は、魔法少女とは関係なく現れた、怪奇現象とか?」
やはり、のんびりとした口調で言う。まぎかは首を振った。
「そんなわけないでしょ。あんなの、聞いたことないもの」
「そう?」
ポチャがスマホをつんつんと叩くので、まぎかは検索にかけてみた。すると、驚いたことに自然発火現象や人体発火現象などの記事がヒットした。
ブラックリンは人ではないが、何が何やら分からない物質なので、自然に発火することもないとは言えない……のかもしれない。
「いやでも、あの場所の近くには魔法少女がいたんでしょう? それに、あの子の近くから炎が発生して、トルネードのようにブラックリンを襲ったのよ? やっぱり、あれは魔法よ」
「ウン、マア、僕もその可能性の方がはるかに高いとは思っているよ。でも、あの子はやっぱり違うと思うし」
「そうね……」
二つ結びの少女から、魔法が放たれたとしか思えない。しかし、二つ結びの少女ではない。
「……ねえポチャ、念の為の確認なのだけれど、魔法を使うときには魔法少女にならないといけないのよね」
「もちろん、そうだよ」
「魔法の有効範囲はどれくらい?」
「そうだねぇ……。その子の能力にもよるけれど、長くて50メートルくらいかなぁ」
それが絶対条件。まぎかは炎に目隠しされて、二つ結びの少女が魔法少女になるところを目撃できなかったと思っていた。
しかし、そもそも魔法少女に変身して、再び変身を解除するには、時間が足りないのではないか。
やはり、彼女は魔法少女ではない。だとしたら——。
「そうか、炎」
まぎかは呟いた。
そして、一心不乱にスマホに向かい、調べごとを始めた。
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