第12話:深夜探索

 人間が寝静まる頃合いの森は、獣と虫の国だ。レグルスは明かりのない世界を自分の目だけを頼りに歩いていた。空には月があるのだが、覆い茂った森の中までその光はよく届かない。魔術で明かりを作ってもいいが、もし他の人間がいたら厄介だ。レグルスは暗視の魔術を己にかけて、人知れず真夜中の森を散策していた。とはいえ夜の時間をすべて探索に充てているわけではない。夜の11時から4時間ほどを使っているだけだ。

 

「今日はこのあたりで切り上げるか。もう戻らないと……」


 レグルスは探索用の魔術を打ち切ると、集落のほうへ足を動かした。本当はもっと調べたい気持ちがあるのだが、ミーズの森は広い。その全てを調べ尽くすなんて、すぐには無理だろう。コツコツやっていくしかない。


 ――日中も活動できれば違うんだろうけど……フランに知られるのは避けたいからな。

 

 レグルスが森を散策できるのはフランとエマが寝静まった夜の間だけだ。なぜならフランに『一人で森の奥に入らないでね』と言いつけられている。森は獣がいるし、襲われたら誰も助けられない。もし崖になっている場所で足を踏み外せば、そのまま死んでしまうかもしれない。だから森には一人で行くなとレグルスは言われていた。

 つまり一人でなければ行ってもいいということになるが、フランも同行する形になるだろう。ミレイを連れて行っても、フランから見れば一人と大差ないはずだ。要するに森を知らない者だけで行くなという話なのだから。

 だがフランに同行されたら碌な調査はできないだろう。レグルスはかなり遠いところまで行きたいのだ。その移動には魔術が必要で、そしてレグルスはフランに魔術を見せるつもりはまだなかった。となれば夜にこっそり行くしかない。


 ――知られたら怒られるだろうが、その時はその時だ。俺が部屋にいないことはミレイが上手く誤魔化してくれるのを期待するしかない。まあ、夜になったらお互いの部屋への行き来はしないという取り決めがあるから、フランに気付かれる可能性は低いが……。


 フランはミレイも男であるというのを知ってから、少し態度が固くなったのだ。どうやらこの森では歳が近い男女は家族ではない限り一緒に寝泊まりしないらしい。しかしレグルスとミレイの後見人はフランであるため、追い出すこともできない。フランは「絶対に私たちの部屋には入らないでね!」と言っていた。だからフランもレグルスとミレイが使っている部屋には入ってこないだろう。ならば起きだす前に戻れば気がつかれることはない。

 レグルスはフランの家まで戻ってくると、すぐに裏手に回った。家の様子を伺えば、フランとエマの部屋の明かりは落ちていてカーテンも閉まっている。レグルスはなるべく気配を消しながら、自分たちが借りている部屋の窓辺に寄った。そして小さくノックをすると、すぐさまカーテンと窓が開けられる。


「おかえりレグルス」

「ただいま」


 レグルスを出迎えてくれたのはミレイだった。フランに借りた寝間着を身に着け、にっこり笑っている。レグルスは暗視の魔法を解くと、素早く中へ入り窓を閉めた。カーテンは閉めなかったので月明かりが差し込んでいる。この村に滞在し始めたときはまだ細かった月も、最近は円に近づいていた。レグルスは部屋に入ると、まず服と体を魔術で洗浄した。こうすると森を徘徊した痕跡である土埃や泥が一瞬でなくなるからだ。今夜も完全に事を遂行できたとレグルスは満足げに頷き、べッドに腰を掛ける。するとミレイがすぐ横に並んで顔を覗き込んできた。

 

「連日の調査は疲れないかい? レグルスはなんだかんだと日中も動いてるじゃないか。大丈夫なの?」

「大丈夫だ。問題ないよ。大変といえば大変だが……楽しいからな。今夜は西の方に行ってみたけど、また遺跡を見つけたんだ」

「へえ。それって例の古びた神殿ってやつ?」

「ああ、東と南にもあったやつだな。西の遺跡にも神殿と同じ女神像があった。これで見つけた遺跡にはかならず女神像があったことになる。この森の民はかつて『羽の生えた女神』を信仰していたことが濃厚になってきたな」

「ふふふ、レグルスが楽しそうで良かったよ」

「うん」

 

 レグルスはワクワクしながらミレイに発見を報告した。探しているミーズ神の居場所は森の北側に位置する池の向こうと推測しているが、折角なのでレグルスは森全体を散策していた。ミレイは楽しそうにしているレグルスに満足しているのか、『骨』の進捗は気にしていないようだった。取り戻し方についてはレグルスに一任している状態なので、結果として自分の手元に戻ってくればいいのだろう。笑ってレグルスの話を聞いている。


「それで西の方の散策は明日もするの?」

「うーん。そうだな……まだ調べたいことは山ほどあるが、大体の地理は分かったから、明日からは北側に行ってみようかと思う」

「北ってことは、池の向こう?」

「ああ、そろそろミーズ神の居所を探そう」


 東、南、西と森の中を探してみたが、やはりミーズ神の姿はない。最初に出会った時と同じように偶然の邂逅も期待していたが、その機会も訪れなかった。やはり北側に向かうしかないと思いながら、レグルスは上着とブーツを脱ぐ。


「寝るのかい?」

「ああ。夜明けまで三時間あるからな。夜のためにも眠っておくよ」

「うん。じゃあ、おやすみレグルス」


 ひとつしかないベッドで寝ころんだレグルスに、ミレイは微笑んで頬を撫でてきた。ミレイは寝ないのだろう。ミレイは神ゆえに人間と睡眠のサイクルが違うのだ。長い間起きていられるが、睡魔が来ると長い時間を眠る。今はまだ、その時ではないのだろう。レグルスは瞼を閉じるとすぐに眠気がやってきた。寝ようと思うとすぐに入眠できるよう調整されている体は便利だ。


「いい夢を」


 眠りに落ちるとき、ミレイの声が聞こえたけれど、レグルスは夢を見たことは一度だってない。いつも瞼を閉じて、次に目を開ければ朝なのだ。


 



 *******

 


「……寝てたのか?」

 

 いつも通りの目覚めだったが、毎回眠っている実感が薄いので、レグルスは周囲の変化から睡眠をとったかどうかを確認している。顔を窓の方に向ければ、朝焼けが見えた。階下からは人が活動する聞こえるので、エマが起きているのだろう。レグルスは時間の経過を確認し、自分がちゃんと眠ったのだと理解した。起き上がって腕を伸ばして筋肉をほぐせば、隣から寝息が聞こえてくるのに気が付く。


「ミレイ?」

「…………」


 ミレイは横向きになり、膝と背中を軽く曲げて丸まるように眠っていた。声をかけても反応がないので、レグルスはそっとこめかみも撫でてみたが、身じろぎすらしないので熟睡しているのがわかる。

 

「……眠っているのか」


 レグルスは眠っているミレイに少し困ってしまう。なぜならミレイが眠っていると、自分の魔力が枯渇してしまった際に魔力の供給が受けられないからだ。


「今夜から北の森に行こうと思っていたが……どうするかな」


 ミレイが起きている時のほうがいいだろうかと思うが、レグルスの『調べてみたい』という好奇心は強かった。万が一を想定するならば、ミレイが起きていた方が安全だろうが、いつだって万全な時に事が起こるわけではない。レグルスはどうするか考えながら身支度を済ませると、階下に降りていく。すると夜が明けて間もないのにエマがキッチンで仕事をしてた。


「エマ、おはよう」

「あ、おにいちゃんおはよう!」


 声を掛けると振り返ったエマに挨拶され、レグルスは頷いた。この家に滞在するということが正式に決まってから、エマはレグルスのことを『おにいちゃん』、ミレイのことを『ミレイちゃん』と呼んでいる。ミレイのほうは分かるが、レグルスを『おにいちゃん』と呼ぶのかは当初分からなかった。しかしもじもじとしながら「おにいちゃんって呼んでいい……?」と言ったエマは勇気を振り絞った様子だった。そんなエマの頼みを断ることはレグルスにはできない。それにパトロンであるフランの家族を不快にさせるのは良くないだろう。だからレグルスは『おにいちゃん』という意味が分からずともその呼称を承認したのだ。

 けれどこの集落で一週間過ごし、周囲を観察した結果によって今はその意味が推察できている。恐らく『おにいちゃん』とは兄や若い男を呼ぶスラングなのだ。恐らく一定以上の親しみを持って呼ばれるものなのだろう。それに付随して『おねえちゃん』という単語の意味も推察できた。こちらはきっと姉や若い女を呼ぶスラングだ。誰かに確認したわけではないが、これでほぼ間違っていないはずとレグルスは思っていた。


「フランはまだ寝ているのか?」

「おねえちゃんはお寝坊さんだからね。朝起きるの本当に苦手なんだから~」


 やれやれと言わんばかりに首を振るエマだが、口元は笑っている。エマの言う通りフランは朝が苦手なようだった。だいたいは朝食ができた頃、一番最後に起きだしてくる。本人としては早く起きるつもりがあるらしいが、少なくともレグルスがこの家で世話になり始めてから遂行できたところを見たことはない。「ごめーん!また寝坊しちゃったー!」という第一声を出しながら、階段を下りてくる姿ばかりだ。

 

「あれ? ミレイちゃんは?」

「ミレイは眠っている。たぶん2、3日の間は起きないし、起きていても半分は眠っているような状態と思う」

「え? それって大丈夫なの?」


 しばらく眠っているだろうという報告に、エマは驚いたような顔をしてから眉を下げた。おろおろとする様子は心配をしているのだろう。確かに24時間以上を超える睡眠は異常を感じてもおかしくない。エマの不安は真っ当なものだった。

 

「にわかには信じられないかもしれないが、体質の問題なんだ。ただ睡眠が必要なだけで、病とかではないから心配はいらない」

「そうなの?」

「ああ、大丈夫だ。ミレイが動けない分、手伝いは俺がするよ」

「ええ~そんなの気にしなくていいのに。あ、でも……いまちょうどお手伝いしてほしいことがあるんだった」

「なんだろうか?」


 衣食住の提供を受けているので、できる限りの協力はしていきたい。その気持ちを伝えるため、レグルスは自分よりだいぶ小さな位置にある頭を撫でた。頭を撫でるのは子供にすることだとフランは言っていた。だからエマの頭は撫でても大丈夫だろう。現にエマはくすぐったそうに笑うと、レグルスに「あのね」と話を切り出した。


「ショーンさんの牧場で卵とミルクを貰ってきてほしいの。朝食に使いたいから……お願いできる?」

「大丈夫だ。場所も把握している。交換するものは何を持っていけばいい?」

「えっと、燻製肉がこの袋に入っているからこれと交換で」

「わかった、すぐに行ってくる」

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

 パッと笑ったエマの前には鍋と食材が並んでいて、どうやらスープの仕込みをしているようだった。レグルスは燻製肉の入った袋を手に取ると、エマに軽く手を振って玄関に向かう。外へ出ると夜とは違う朝の空気がそこにあった。ノットーで吸った朝の空気も嫌いではなかったが、朝露の匂いがより濃く感じられるミーズの森のほうがどちらかというと好ましい。レグルスは軽い足取りで川に架かる橋を渡り、集落のメインストリートへと出た。するとそこには仕事を始めている人々の姿がちらほら見受けられた。


 ――もう働いているのか。


 夕方ぎりぎりまで働いているフランは朝寝坊しているが、エマは朝早くから起きて家の仕事をしている。集落の人間もその様で、共同の畑の方へと向かうらしい人の姿もあれば、洗濯をしている人の姿もあった。レグルスは今日も精を出して働いている人々を眺めながら歩き、広場へと差し掛かった。すると「おや、レグルス」と誰かに話しかけられて振り向く。


「おはようさん、朝早くからどこ行くんだい?」

「ああ、ネリー。おはようございます。俺はこれからショーンさんの牧場へ、卵とミルクをわけてもらいに行くところです」

「お使いか。偉いねぇ」


 話しかけてきたのはネリーだった。この一週間でレグルスは村の人間の顔と名前をだいぶ覚えられた。全員に会ってはいないだろうが、それでも面識ができた人物については全て記憶している。しかしネリーの後ろには子供がいて、レグルスはその人物に会った記憶がなく、おやっと思った。生まれて1、2年だろうか。小さな子供はネリーの足にしがみつきならがレグルスをじっと見上げている。


「ほら、ご挨拶しな」

「…………」


 促された子供は恥ずかしそうにネリーの後ろに隠れてしまった。それに「あらら~。ごめんなさいね~」とネリーは言うが、嬉しそうな様子だ。子供をとても愛しく思っているのだろう。ネリーからは幸せという気持ちが見て取れた。


「いえ、気にしてません。ネリーのお子さんですか?」

「いや、孫だよ孫。ルークって言う名前さね。私の娘の子供だよ」

「ああ、娘さんもいらっしゃるんですね」


 数日前、フランに集落を案内された時はネリーの息子と言う人物とは会ったが、娘とは会わなかった。単純にレグルスはそう思って言ったのだが、ネリーは少しだけ表情を曇らせて諦めたように笑う。


「いや、もういないのさ。この子を残して死んじまってねぇ。……まあ、体が弱い子だったから……」

「そうなんですか……」


 『産後の肥立ちが悪かった』というやつだろうか。レグルスはネリーに頷き返すと子供を見た。子供は林檎のように赤く、ふくふくと柔らかそうな頬をしていた。髪の色も肌の色もよく、栄養状態がいいのだろう。実に健康的な様子だった。


「ルークはとても健康そうですね。素晴らしいことです」

「そうさね。それだけが救いだよ」


 ネリーはふふっと笑うと子供の頭を撫でた。そして「ああ、引き留めちまったね。お使いに行くんだろ? またね」と言ってルークの手を引いて歩いて行く。どうやら仕事というよりも、朝の散歩のようだった。レグルスはルークがよちよちと歩くその姿を興味深く眺めていたが、お使いの途中だったことをもあって目的地であるショーンの牧場へと向かうことにした。


 ――子供はノットーでもよく見たが、ああいう子供が幸福そうというものなんだろうか。


 ノットーでは、幼年期の子供は一か所の施設で育つ。そこから優秀なものは賢者としての番号を正式にもらえるが、それ以前はみんな連番が振られるだけだ。そんなことを思い出しながら、レグルスは集落を行きかう人々とすれ違っていく。まだ狩りや畑仕事に出かけていないからか、集落に人が多いように見えた。レグルスは投げかけられる挨拶にひとまず答えながら歩いていたが、ふと、あることに気がつく。


 ――そういえばこの集落、老人がいないな。


 年嵩の者を見かけても、老齢期に入るあたりといった感じで、明らかに高齢という者はいない。エマの話では司祭は怪我や病が治せるということだが、死に至るようなものは対価も大きいだろう。支払いきれずに高齢のものは自然に淘汰されていくのかもしれない。


 ――命の巡りとしては順当な流れだが……ここまで少ないのはおかしいな。風土病でもあるのか? 土地柄的に長生きできない理由があるのかもしれない。


 レグルスは考えながらもショーンの牧場へ到着した。牧場にはヤギや羊、牛にトナカイがいてそれぞれ自由に過ごしている。レグルスは放牧されている動物の種類の豊富さに疑問を感じつつも、ショーンを見つけて頼まれたお使いをこなした。ここへ来るのも3回目なので、何も問題なく物々交換を経て、エマに頼まれていた卵と牛乳を受け取る。


「ありがとうございます」

「いやいや、こっちこそ燻製肉ありがとね!」


 ショーンはそう言って穏やかに笑った。ショーンは二十代後半の青年だ。がっしりとした体躯を持ちながらも、ふわふわとした赤茶の癖毛で、優し気な風貌をしている。レグルスは笑みをうけて、当初感じていたこの森の排他的な雰囲気は何だったのかと不思議になった。フランに「集落の新しい仲間だから」と紹介されて以降、排他的と思うことがない。皆が穏やかに、親切にレグルスに接してくれる。


「フランはまた朝寝坊かい?」

「はい。おそらくまだ眠っていますね」

「ははっ。相変わらずだ。でも君が来てくれたから、フランとエマはぐっと楽になっただろうね」

「そうだといいですね」


 ポンポンと肩を叩いてくるショーンに頷き返すと、レグルスは早く帰ろうと来た道を戻る。レグルスと同じ用件なのか道すがら、ちらほらとすれ違う人がいた。レグルスはやっぱり掛けられるだけの挨拶に返事をし、時には自分からも挨拶をした。心証は良くしておくに越したことはない。この場所にどれだけ滞在するかは分からないが、特にこだわりもないのに人と対立や軋轢を生む必要はないという判断だった。しかしのんびり立ち話をする余裕はないので挨拶だけに留めて、レグルスは家に戻る道を早足で進んでいく。


 ――さすがにそろそろフランも起きてくる頃だろう。早くエマに届けないとな。


 そうしてフランの家の前に架かる橋まで戻ってきたレグルスだったが、そこに誰かが佇んでいるのを見つけて歩みを緩めた。立っていた人物は白地に黒い刺繍が入ったローブを着ており、目深にフードを被っていて顔は見えない。だがレグルスが知る限り、あの出で立ちは神殿で出会った神官しかしていないものだ。つまり彼はあの時の神官だろう。こんな場所で何をしているのだろうかと思いながら、向かう先にいるのでレグルスは近づいていく。すると神官はレグルスの方を振り返り、穏やかな声で挨拶をしてきた。


「おはようございます。どこかへ出かけられていたのですか?」

「はい。所用で」

「そうですか。この森にはもう慣れましたか?」

「住民の方々が良くしてくれるので、だいぶ慣れました」


 神官はレグルスに世間話を振ってきた。早朝にこんな場所で何をしているのかと思ったが、ここにはフランの家しかない。余所者の様子を伺いに来たのだろうかと考えながら、レグルスは聞かれることに対して素直に答えた。実際にここの住民たちはレグルスによくしてくれている。神官の探りに身構えて、わざわざ嘘をつく必要はなかった。


「神官殿はどうされたんですか?」

「ああ、私ですか。村の皆さんはお元気かと思いまして……気分転換も兼ねて集落を散策しているんですよ。普段は神殿に籠りっぱなしですから」

「なるほど、そうでしたか」


 二人はにこりと微笑みあった。レグルスは微笑むべきだろうと判断して、さきほどのショーンの笑みを真似てみただけであるし、神官は神官で目元が隠されているので本当に笑っているのかは分からない。なんとも不気味な空気が間に流れたが、さほど長居するつもりはなかったのか、神官は「……それでは」と言って集落の中心部のほうへと去っていった。


「…………」


 レグルスはその後ろ姿を見えなくなるまで見送ってから家に戻った。玄関を開けるとすぐ、エマの「おかえりー」という声とフランの「おはよう、おつかいありがと~!」という声が聞こえてきて、レグルスはホッと息を吐く。


 ――なんだったんだろう。


 考えても分かるはずがない。レグルスはひとまずエマに頼まれたものを私に行こうと、キッチンの方へと向かったのだった。

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