第35話 貧乳は...
「おはよう、エルダさん」
結局一睡もできなかったわ。
寝る間も惜しんで悟様を見続けてしまった。
「おはよう…悟様」
「駄目だよ、約束したでしょう?」
「悟さん?これで良いでしょうか?」
「う~ん、それでも良いけど?!可能なら悟くん、もしくは悟って呼んで貰えると嬉しい」
「それじゃ…悟くん…これで良い?」
「うん、その方が嬉しい」
男性からこんな笑顔を向けられた事はないわ…
本当に、好かれているんだ…今ならそれが嘘でないのが良く解る。
「そう…それなら悟くん、これからはそう呼ぶ事にするわ…その私は奴隷なんだけど…本当にそう呼んで良いの?」
「勿論…あれっエルダさん目に隈が出来ている…もしかして眠れなかった? 俺が抱き着いちゃったからかな? ごめん」
「謝る事はありません…それこそ夢の…いえ生殺し状態で…あそこから先を妄想し…あははははっ何でもないです…気にしないで下さい」
大体私は男性にちゃんとした女と扱って貰った事は無い。
抱きしめられた状態で興奮するなって言うのが無理だわ。
あんな状態で興奮しない訳無いし…眠れるわけがない。
「そう? 良く解らないけど、眠そうだから、もう少し寝ていて良いよ!もし起きるならお風呂に入ってから、ぼーっとしていても良いんじゃない?」
「それで悟くんはどうするの?」
「俺は朝市に行って朝食に良さげな物を買ってくるから、休んでていいから」
「あの…私奴隷です」
「そんなの気にする必要は無いから、それじゃ出かけて来るからゆっくりしててね! 行ってきます!」
「行ってらっしゃい…」
行っちゃった…
流石に眠いわ…
一晩中、悟くんの顔を見ていたから…
しかし…可笑しなものね…
奴隷の生活は地獄だって言うけど…今の生活が今迄の中で一番楽しいなんて…嘘みたいな話だわ。
◆◆◆
俺は気になった事があり、再び王城に訪れた。
勿論、地煞七十二変化を使い虫となり侵入して、侵入してからは執事っぽい人間に変化した。
狙いは鈴木だ。
鈴木のあだ名は『エロ木』というあだ名で女子の前でも平気でエロイ話ばかりしていた男子には面白がられる反面女子からは…まぁ嫌われ者だ。
そして…大の巨乳好き。
『胸の小さい女って価値が無いよな…小さい胸なら自分の胸触っても同じじゃん』
そんな事を平然と言っている奴だった。
件の話を調べるのに持ってこいの人物だ。
「鈴木様、そろそろ専用の侍女をお付けしてお世話させる話があるのですが…」
「へぇ~それは良いね~」
「それで、どんな子が好みか聞きたいのですが…胸の大きい子と」
「ちょっと待って! 俺の侍女は胸が大きいのか? それは勘弁してくれ、平原の様なまっ平が理想だけど、無理なら精々Bカップ以下に頼むよ…」
「解りました」
これで確実だな…
ちなみに、俺の元居たクラスには松戸恵子という巨乳の子が居たんだが…改めて見ると…へこんでいた。
どう見てもぺったんこ胸だった。
あのクソ女神…解らないように男は貧乳を好きになる様にして、女は貧乳にしていたのか…確定だ。
解った所で…今は何もする事は出来ないな。
◆◆◆
「エルダさん、ただいま~」
「お帰りなさい」
「今から、食事の準備をするから待ってて」
「え~と悟くんが作るの?」
可笑しいな…私奴隷なのに…
「エルダさんが料理下手なの知っているから」
「あははっそうだね」
確かに、前に依頼を受けた時にやらかしたもんな…
それにしても…悟くん意外にエロい…
部屋着にエプロンをして料理する姿が無防備で思わず抱きしめたくなるわ。
「…」
「どうかした? 急に見つめてきて…」
「いや、何でも無いんだよ…本当に…」
そう無垢そうな目で見られたら…思わず顔が赤くなっちゃうよ。
「それじゃ、ちょっとだけ…」
そう言うと悟くんは私を抱きしめてきた。
男の子特有の良い臭いがした…
「ああつああっ悟くん」
「少し、エルダさんの成分の補給をね…それじゃすぐに食事の用意するから…」
「…うん」
冷静にそう答えたけど…心臓がバクバクして…悟くんの顔が…見れないよ。
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