第36話 天上位階論
神造兵器?
これまた、なんともファンタジーなワードが飛び出したもんだ!
最高に厨二心をくすぐられる。
ワクワクが止まらん。
さあ次のアクションは何だ?
もっと俺を楽しませてくれ!
期待に胸を膨らませる。
けれども『アリスマギア』と名乗った天使さんは、俺の真ん前で突っ立ったままだった。
じっとこっちを見ている。
ん?
あー、なんだ。
……えっと、これどうすれば良いんだ?
俺は戸惑った。
もしかして命令待ちしてんのか?
なんかさっき、勢いで「俺がマスターだ!」とか言っちゃったしなぁ……。
でも特に命令することなんかないぞ?
反応に困る。
そうしていると――
「そこの人! フウタローさんから離れなさい!」
プレナリェルが現れた。
ガンガンに殺気を放ちつつ、手には弓を構えている。
来た途端にやる気満々だ。
というか、どうしてエルフはいつもこう、無闇に好戦的なんだろうなぁ……。
プレナリェルに続いて、他のエルフたちも次々と集まってきた。
「どういう状況?」
「覚えのない気配を感知したから来てみれば、……また誰か転移してきたのね」
「あの子、羽根が生えてますよ!」
「ん、食べれそうにない」
プレナリェルが
「貴女、何者ですか! その人から離れなさいと言っています!」
矢を
「そこのフウタローさんは、この地を統べる王です! 居なくなったら、もうお肉貰えなくなるんですよ! 大事な、大事な人なんです! もし危害を加えようものなら――」
言うが早いか、プレナリェルは矢を放った。
って何で撃つんだよ⁉︎
先に警告だろうが!
というかそれ以前に、まだ俺なんもされてないだろうが⁉︎
渾身の突っ込みを入れるも、エルフにスルーされる。
こいつらの長い耳は飾りか!
「総員、かかれー!」
止める間もない。
エルフたちは天使さんに総攻撃を仕掛けた。
無数の矢が飛んでくる。
こ、こいつら、無茶苦茶だ……。
獣人たちにトラウマを与えた絨毯爆撃の再来。
って待て待て!
これ、俺まで攻撃に巻き込まれるパターンじゃねえか!
◆
沈黙していたアリスマギアが動いた。
「マスター。お下がりください」
一歩前に出て、俺を背に庇う。
かと思うと、背中に生えた三対六枚の翼をバサリと天に広げ、何事かを呟き始める。
「術式展開。――
空間が輝く。
アリスマギアを中心に巨大な何が出現した。
それは複雑な紋様で編まれた陣だ。
光陣は円環状に幾重にも重なり、俺たちを包みながら多層構造の結界を形成していく。
矢が結界にぶつかった。
激しく爆発する。
しかしエルフの矢は一本残らず防がれた。
結界は微塵も揺らいでいない。
驚愕するエルフたちに向けて、アリスマギアが話し掛ける。
「先ほど誰かと問いましたね? 私は個体識別ネームをアリスマギアと申します」
アリスマギアが結界を解いた。
話を続ける。
「私は、神の
ほぉん。
そうなのか。
でもここには悪魔も悪竜もいないけどな。
まぁ竜ってだけならフィンがいるけど、あれはめっちゃ善良なドラゴンだし。
「エルフの子よ、攻撃を中止して下さい。人もエルフも神の
エルフたちが驚く。
「決戦兵器?」
「熾天使型?」
「あっ、それってもしかして――」
知っているのか、雷電。
「……ライデン? なんですか、それ?」
すまん、話の腰を折った。
続けてくれ。
◆
エルフたちは話す。
それは以前、悠久を生きる
エルフたちの生まれ育ったファンタジー異世界には、かつて神や悪魔に加え、多数の竜族が存在した。
いわゆる神話の時代だ。
神と悪魔と竜は、地上の覇権をめぐって大戦を起こした。
世界を三つに割る、熾烈な争いだったらしい。
長年に渡り、流された血で天地が赤く染まる。
結果、神と悪魔の陣営は消滅した。
共倒れだ。
更には力ある古代竜も、そのほとんどが死に絶えてしまったとのこと。
でもなんでそんな大戦が起きたんだ?
「えっ、知りませんけど」
「ガンでも飛ばされたからじゃないです?」
そんな、昭和のヤンキーでもあるまいに。
っと、まぁ良い。
いま重要なのはそこじゃない。
ともかく、太古のファンタジー異世界で血で血を洗う終末戦争が勃発し、そこで神陣営の戦力として投入されたのが天使型の兵器だという。
えっと、これで間違いない?
アリスマギアが応える。
「はい、間違いございません。加えてご説明致しますなら、天使型決戦兵器には天上位階論により定められた九つの位階がありまして――」
それは下位階に分類される、
『
『
『
中位階に分類される、
『
『
『
最後に上位階、
『
『
『
「そして私は、その最上位。光輝の六翼を授かりし
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます