第2話 土地を買いました。

現代日本にファンタジー冒険者酒場をオープンする。

そんな夢を実現するべく、俺は早速動き出した。


なにはともあれ、先ずは店舗用地の確保だ。


ここはいっちょ、都内の一番いい場所に店舗を構えてやろうか。

いやいや、それとも都心から少し外れた郊外に、広大な敷地でも確保しようか。

選択肢はそれこそ無数にある。


なんとも贅沢な状況だと思う。

しかし自重していても仕方がない。

金なら唸るほどあるのだ。

ここはドカッと使ってしまっても別に構わんだろう。



悩んだ末に俺は、とある都道府県の郊外にだだっ広い土地を確保することに決めた。


個人所有できる島の購入とちょっと迷ったが、近くの都市から地続きの郊外にした。

通販も届くしな。

その土地、なんと総面積60万平米。

めちゃくちゃ広い。

かのディズニーランドが51万平米だから、それより広いのだ。


なぜこれほどまでの土地を確保することにしたか。

それには理由がある。


その理由とは、俺は先々この場所に、ファンタジー冒険者酒場以外にも色んな施設を作っていきたいと思ったからだ。


例えば武器・防具屋や道具屋なんかがいいだろうか。

魔道具屋なんかもあればもっと良いな。

ファンタジー感があればあるほど良い。


もちろん現実的には、武器も防具も魔道具も売れない……というか手配出来ないわけだが、外見を真似てそれっぽい小物を売るだけでも楽しいだろ?

何とも夢が膨らむじゃないか!


これはつまりロマンである。

俺はこの地に目一杯のファンタジー風ロマンを詰め込んでいくつもりだ。


となると広い場所が必要になろう。

だから今のうちに広い土地を確保した。

都内の一等地とか、よくよく考えればどうでも良かったわ。


こうなるともはや、異世界の街を現代日本に再現するみたいなもんだな。

ワクワクが止まらない。

だがあくまでこの地の中心は冒険者酒場。

だって俺は酒が好きだからな。



土地の確保には多額の資金が必要だったがケチる気は更々ない。

これにより俺の持つ全財産の半分がぶっ飛んだが、気分は爽快だった。


俺はこの場所を『聖シャリエッタ教国』と名付けた。

命名に深い意味はない。

単なる思い付きだ。

強いて言えばお米の国だからシャリである。


そしてもちろん実際に国という訳ではない。

教国とか言っても、特定の宗教もない。

いっちゃえばムツゴロウ王国みたいなもんだな。


でもほら。

なんか異世界ファンタジーの国っぽくて楽しくなってきただろ?


次はお待ちかねの冒険者酒場を建造していこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る