魔法使いは歴史を語る

「魔法使いは歴史を語る」


 何気ない日常をから非日常へ。そんな経験をしたいと思ったことはありますか?そういう体験をしたいあなたは疲れています今すぐ癒やされに行きましょう。とかいう看板を見つけてなるほどなぁと思いました。

「ねぇメイさんや」

「なんだいガロンさんってかなんであなたはいつもここにいるんですか受付嬢の私よりいますよね?きちんと仕事してますか?」

「そ、そんなことは、な、ないさ!きちんと仕事だってしてるしさ私は疲れてるようん」

「本当かなぁ……」

「そ、そんなことより何気ない日常ってどういうことだろうね」

「え?どういうことですか?」

「んーとさ、そんな看板を目にしたんだよ。何気ない日常から非日常だってさ」

「あーそういう看板ありますよね。私もいつか旅行したいなぁ」

「え。メイさん冒険者時代に色んな国へ行ったんじゃないのかい?」

「そりゃ、色んな国々を回りましたけど私達冒険者ですよ?歓迎される国なんてこの世界にこことハイレン国くらいですよ」

「そーなのぉ?」

「何を今更……」

そう、この世界はわりかし冒険者にとっては生きづらい世の中である。冒険者は親が冒険者である。それか、どこの職にもつけなくて最終的に冒険者になるくらいの簡単な職業である。かく言う私も魔法使いの冒険者である。若いときはいろんな「冒険」をしたきたが今じゃその志はない。今を生きれればいいと思っている中堅魔法つかいである。しかも、冒険者になれば最後。新しい就職はかなり難しいと来た。そう私はつんだ……。例外は転がっているが目の前に受付譲をしている元冒険者がいる。

「誰が例外じゃ」

しまった声が出てしまっていた。

「いや、悪い意味じゃないよ」

「わかってますよガロンさん」

受付嬢はニッコリと笑った。笑ってれば可愛いのに……って冗談はさておき、この国の話をしようかと思う。

この国は案外冒険者を対等に見てくれる国であると先ほども言ったが、なぜ冒険者が下にみられるのかということだ。これは大分昔の話で不確かではあるが、奴隷制度に関係していると言われている。人を人として扱うことをしない、それが奴隷だ。国の安全を保っていくために、送り出される奴隷。対害獣や、他国との戦争。国が一丸となって奴隷を管理する。その奴隷はどこから来るのか、自国で犯罪を犯したもの、その家族の二親等まで。戦争時に負かせた国民。それぞれあるが、それが奴隷となって身を粉にして働き、戦争をしてきた。一方普通の市民は国のなかで裕福な暮らしをしている。まるで関係がないというような平和を築いていた。もちろん国にも武力組織はあるが、自衛がメインであり、ほぼ機能は指定なく、いざとなれば奴隷が駆り出されていたのだ。それが数百年と続き、ある程度国々はいろんな協定や平和条約を結び、国境が確立した。そして各国、奴隷廃止宣言を掲げたがそれは建前で、奴隷から冒険者という名に変わったという話だ。ただ、昔みたいに戦争へ駆り出されたりなどはせずに、冒険者は、市民様の言うことを聞くのが当たり前だという共通認識が出来冒険者たちは昔と変わらない生活を行なっていった。各国は頭を悩ませ、その結果、冒険者ギルドという場所を作った。このギルドは国の公営という形で動いており、各国の冒険者ギルドで情報を共有、市民はそこへ依頼などを行うという形をとった。しかし、公営とは言うものの、ギルドで働く人々は元冒険者が多い。できれば関与したくないという現れだった。事実上第三機関であることには変わりなかった。

 そして、なぜこの国は市民様と冒険者が対等でいられるようになったかと言うとすごい冒険者さんのおかげだと言うことである。



これはまだ、奴隷制度が冒険者制度に成り代わったはじめの頃の話である。市民様と冒険者の仲はもちろん最低最悪である。そこにある男性がそれを改革するんだと意気込んでいた。その男の名を「バラン」という。

バランは、所謂犯罪者の子であった。自身は何も悪いことをしていないのに生まれたときから奴隷という最悪の人生だった。しかし、奴隷制度が廃止という明るいニュースを青年期に迎えた。しかし、状況はすぐさま変わるということはなく、つらい日々は続いた。何が冒険者だ。名前が変わっても俺達の待遇は何も変わってないじゃないか。少し良くなったとしたら、戦争に行かなくてよくなったくらいだ。こうして仲間が見送られることはなくなった。

「おい、代表。なんとかならんのか……」

俺らが相談できるのは、冒険者ギルドの代表だけだった。俺もその代表の右腕として働いた。

「今はまだ機ではないな。こうやって第三機関が設立できただけでも善処だ。俺らは奴隷から労働者に変わったことをまず喜ぶべきだろう」

「それはそうだが……それでも市民様からの扱いはひどすぎるぞ……依頼単価が低すぎるだろ。こんな危険な依頼でも銅貨一枚とか、無理がありすぎる」

「しかし今後いつか絶対市民と対等で生きていける世の中を俺らは目指す。だから俺はここの冒険者ギルドの代表になったんだ」

代表は、市民と呼び捨てにする。その理由は国家公務員様であるのだ。この奴隷制度をなんとかしたいと思っている人である。いち早く名乗りあげ冒険者ギルドの代表となった。しかし、国家公務員様がこのようなことをやっていることが表立つと色々面倒くさいという理由で身を潜めている。だからこのバランが右腕となって表舞台に立っている。

「お前は本当によく働いてくれている。このまま報われるといいな。どうせなら冒険者なんてやめて私の秘書になってほしいくらいだ」

「それはそれで嫌だな俺は色んな国を見て回ってみたいんだ」

「その夢に向かってお互い頑張ろうな」と二人は腕をがっしりと組んだ。

それからというもの、地道に市民に訴えかけていった。

「我々はもう奴隷ではない。あなた達と対等に行きたいと願っていいる。あなた達市民様が出来ない事を我々は進んでやっているのだ。だから、その対価はいただきたい」

「なんで奴隷だだったお前らに対等である必要があるんだよ」そういってつばを吐かれたときもある。

とにかく一生懸命だった。そんな一生懸命さを王子様は見ていたようだった。

「バランさん」とある青年に声をかけられた。

「なんでしょうか」

「あなたはなぜ僕たちと対等でいたいと考えるのですか?私達はあなた達をまだそんな目では到底見れないんです」

「それは同じ人間ですからね。過去になにかしてしまったのは事実です。俺は親父が罪を犯してしまったが為に奴隷に落ちました。ただぼくも被害者なんです。でもそれが今じゃ奴隷制度は廃止された。なら、僕は声を高々にあげ対等を宣言したいです。市民様から冒険者になりたいと思う人もいるかもしれない。国を出て冒険がしたいという方もいるかもしれない」

「確かに……」

「それに、あなたがた市民様は私達がいないと隣国へ行けないでしょう。ある程度の魔法が使えても戦闘向きじゃない。害獣に襲われる、山賊に襲われるリスク。それを回避する術が僕らにはあります。それを提供するのが僕らです。」

「なるほど……わかりました。そうしたら僕もお手伝いしましょう」

そんな、声も多かった。賛同してくれる人も多かった。

そして、王権が変わった時それは訪れた。

「ここに宣言する。この国は、冒険者を職業と認め、我ら市民からも冒険がしたいものはなれるものとしよう!!己の力を磨くのもよし。それで稼いで大金持ちになるのもよしだ」

そうやって、私達の国は冒険者が対等になっていったのだった。



「こんな感じで認められていったんだって」

「ほえー声を上げることって大事なんですね」

「まぁでも今でも反対派存在してるんだけれどね。奴隷とは関わりたくないって思う人も少なからずいるし、もし冒険者になってしまったらもう市民には戻れないしね」

「確かに、冒険者から市民になったって聞いたことないわね」

そう。未だかつて冒険者から市民になったものはいない。あの活躍したバランと言う人物も最終的にはギルドマスターになったが、市民権は得られなかったと言う。まぁでも対等であるから市民様と同義であること自体がすごいことなんだけれどななんて思いながら平和を噛みしめる魔法使いAである。


※まだ色々歴史等の設定があやふやな為読み応えはないものになります。こういう物語の歴史的背景を作るのが苦手なものでして……いずれ固まったらまた修正をかけていきますので更新かかったら軽く読むくらいの気持ちでお願いします。

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魔法使いの憂鬱 柊木 深月 @story_in

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