幕間 侍女の手紙 その1

 かれこれ、書き始めて10年ほどでしょうか。

 あなたの娘もついに14歳です。

 しかしまあ、ルリはあなたにそっくりですよ。活発で元気で、でもどこか冷静沈着で。

 血は争えない、とはよく言ったものです。まったく、あなたの遺志はしっかり受け継がれています。

 そういえば、今日、ルリに貴方の託したものを渡しました。おかげで私の、無数にある重荷の1つがが減りましたよ。


 しかし、あの指輪を私は以前どこかで見たことがあるような気がします。幼い頃、誰がつけていたのかは思い出せませんが、似たような指輪を見た気がします。

 私もあのように美しく輝く指輪は他に見たことがありません。上級層の王国の宝石店にも、同じ代物はないでしょう。


 あの指輪にはきっとあなたが宿っているのでしょう?

 そうでなければあの星空のような透き通る青色にはならないでしょう。

 しかし、不思議なものです。紅色の旅人と呼ばれたあなたが、星空の指輪をプレゼントするなんて。

 

 変だとは思いません。でも、そうですね。もうルリにはあなたの色が受け継がれていますね。


 


 また近いうちに、お手紙をお送りします。



 では。



 エイリス=アイ=シュゴート

 

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