第4話 クフォちゃん

ファ〜〜。眠たい。二度寝をしようか悩む。ただ、メフルさんの朝ごはんを作ららないといけないので、二度寝はやめておいた。

なるべくメフルさんを起こさないように布団を畳んでから、キッチンへと向かった。何を作ろうか?

パンとベーコンとスクランブルエッグでいいかな?メフルさんは、喜ぶかな。

とりあえず、スクランブルエッグとベーコンを作った。メフルさんが起きてきた。


「おはようございます。」


『ファ〜〜。おはよう。』


「朝ごはんは、スクランブルエッグとベーコンとパンです。」


『は〜い。』


「『いただきます!』」


「美味しいですか?」


『美味ひぃ〜。』


「それは良かったです。朝はご飯の方がいいですかそれとも、パンの方がいいですか?」


『パン派かな〜。』


「わかりました。じゃあ、朝ごはんはパンにしますね。」


『ほ〜い。』


僕とメフルさんは朝ごはんを食べきった。


「『ごちそうさまでした。』」


「今日は何をするんですか?」


『今日は、一回街に行こかな?』


「そうですか。僕はどうしましょう?街に戻ったら元主様に会いそうですし、このままここにいていいですか?」


『えぇ〜。行こうよ!』


「わかりました。」


『それじゃあ、行こう!』


「はい!」


僕とメフルさんは街を目指して、歩き出した。道には見慣れた薬草や魔物、落とし物などがあった。僕とメフルさんがのんびり歩いていると、突然叫び声のようなものが聞こえた。急いでそこに行くと、子供が血まみれで横たわっていた。


「『!!』」


『大丈夫!?』


(…………。)


「メフルさん、ちょっと魔力を送ってください!」


『わかった!』


完全復活フルリレイズ!」


僕は全魔力とメフルさんから送られた魔力で、血まみれの子供を蘇らせた。体の傷は癒えたが、子供は目を覚まさない。メフルさんが心配そうに子供の顔を見ている。悪夢でも見ているのだろうか、凄く顔がこわばっている。

その後、10分ほどで子供は目を覚ました。起きた途端に、怖がられて逃げられた。


『大丈夫だよ!私は悪い人じゃないよ!』


(………。)


「………。大丈夫ですか?体に違和感はないですか?」


(………。)


「警戒しないでくださいよ。そんな酷いことはしませんから。」


(………。足が痛い。)


「足が痛いんですね。」

炎の癒しファイアーヒール。」


(!?)


子供は驚いて、僕から逃げてしまった。


「足は痛くないですか?」


(………。)


「いきなり魔法をかけたことは謝りますから、足の痛みはどうなったかだけは答えてください。」


(………。痛くない。)


「それは良かったです。」


『あなたは、どこから来たの?』


(………わからない。気づいたら、手錠をされて監禁されていた。)


『そうなんだね。名前はなんて言うの?』


(クフォ。)


『なるほど。クフォちゃんね。クフォちゃんは何歳?』


(8歳。)


『8歳ね。男の子?女の子?』


(女の子。)


『女の子なんだ、一緒だね。そういえば、私の自己紹介がまだだね。私は、メフラドール。呼ぶときは、メフルと呼んでね。』


(はい。)


「僕は、フェクです。一応、男です。」


(??)

(女の子じゃ、ないの?)


「メフルさんが魔法で、僕を女の子にしたんですよ。」


(………。どんまい。)


「気遣い、ありがとうございます。」


『私達はこのあと、街へ行こうと思っているんだけど、一緒に行く?』


(どうしよう。)


『嫌ならいいんだよ。』


「もし、お母さんやお父さんのところに戻りたいのでしたら、探しますよ?」


(親いない。)


「ごめんなさい。辛いことを言わせてしまいましたね。」


(いいの。)


僕はメフルさんと小声で話し合った。


「メフルさん、クフォちゃんは孤児でしょうか?」


『親が居ないということは、そういうことでしょうね。このまま、放っておけないよね。』


「そうですね。クフォちゃんを連れて一旦家に帰りましょうか?」


『いいえ。家には戻らず、街に行ってからクフォちゃん用の服や靴を買おうよ。その後に、食材を買って帰ろうよ。』


「わかりました。そうしましょう。」


僕はクフォちゃんの方を向いて、


「クフォちゃん、一緒に来る?」


と、聞いた。


(う〜〜ん。どうしよう。)


『帰る場所がないなら、私達と一緒に暮らそうよ。』


(………。わかった!一緒に暮らす!)


「クフォちゃん、よろしくお願いします。」


『クフォちゃん、よろしくね。』


(はい!)


「で、どうやって街の人達から、クフォちゃんのことをごまかしましょうか?」


『ごまかす必要あるの?』


「万が一、奴隷商の人達に捕まったら行けないですし、ごまかした方が後々楽にだと思いますよ。」


『そう。クフォちゃんは、私達の子供ってことでいいんじゃない?』


「そうですね。クフォちゃんはそれでいいですか?」


(いいよ。)


『じゃあ、メフルママって、言ってみて。』


(メフルママ。)


『きゃ〜〜!可愛い!!』


「僕は?」


(フェクパパ。)


「なんか、嬉しいですね。」


こうして、クフォちゃんが仲間になった。僕達は、家族ってことでいいのかな?

僕はそんなことを考えながら、本来の目的の買い物へ向かうのだった。

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