ドクターと(現)猛虎会メンバーとの邂逅(草草の草案くらい)

Chlomatic Overture#2 ドクター過去編&(現)猛虎会との邂逅編


*注意*

このお話には暴力表現や犯罪、薬物に関する表現、差別的表現が含まれている可能性があります。読み進める際は自己責任でお願いします。

……なんてね、嘘だよ。お前ら好きだろ?暴力。

最後までしっかり読んでくれるととっても嬉しい……


《〈このせかいでは、たいていどうにもならないことばかりが、どうにかしなければならないことだ〉β;{Elphis,B,Liz-Eldorado/Rewikst,A-E,Nostarhv}

半端な知性と社会性が作り上げた構造が、世界に創発する"本当の力"を抑圧して我々の進歩を妨げている。上辺ばかりの綺麗事が盲目的に賛美され、愚者が大衆となってしまった今、目指すべき個の集合と共存の形である社会が、本質を履き違えた薄っぺらな激情により否定され、本来の理想から乖離、破壊されつつさえある。今一度、そんな歪んだ思想の濁流を止めるべく、かくあるべき世界について問い、皆で考え直していきたい……が、悲しいかな、そんな願いも今となっては、このどうしようもない世の中で、圧倒的大多数である愚者により淘汰される無力なものになってしまった。

この世界は往々にしてクソです。私の知識はこの世界を壊す為にある……自分はこの世界をただす為にここにいる……その為にここまで来たのですから……》


Urkeh G-Fronzzeir ■■■■■■■■-■■■■■■■■

生年月日:A.C.2003-■■-24 (7-■■)

性別:■

出身地:不明

現■■■■在住


2018年12月18日火曜日[18:46] [■■■■■■■■■■■■]



「誰がおめぇみてぇなの食わせてやってると思ってんだ。下手こいたらぶっ殺すからな。分かってんだろうな」


「……」


「返事ぐらいしろやクソガキ!!耳ついてる?それとも喋ることもできねえ?脳に障害あんじゃねえの?ああ?」


「ん……」


「おいあんま乱暴なことはやめとけって……」


「ちッ……気ッ色わりぃガキだなほんと」



 痛い。痛い。うるさい。うるさい……。邪魔。嫌い。憎い。今すぐ殺してやりたい。でも、こいつらがいなくなったら……自分はまだ子供。盗みをして生きていくなんてのはできれば避けたい。

 外に出たい。自由になりたい。ここじゃみんなこんな調子だ。大人も子供も。こんなことばかりだ。こんなことしてても誰も咎めないし、誰も助けてくれない。ここはそういう場所だ。


 今日も学校が終わったらこれだ。いつも通りポン中のクズ共のためにこうして違法な薬物の合成をする。法に触れることしてるってのは分かってる。でもこれをすれば食べていける。きっと明日も、明後日も、ずっとこう。たまたま知識があって実験とかが好きで……でもどうしてかそれがバレて、そこに目をつけられてこんなことさせられてる。だけど別にこれ知識に対して悪くは思っていない。だってこれ自体に罪はないし、なによりこれ自体はすごく好きで面白くて、楽しいから。


 こんな場所だけど、自分は昔からいろんなことに疑問を抱いていたりして、知的好奇心?って言うのかな……そういうのがすごく強くて、本とかあんま読める環境じゃないけど、なんとかできる範囲で興味もったことはわりとしっかり調べたりして……特に宇宙とか科学とかそういうのが大好きで……こんな環境で抱く夢じゃないんだけど、なんか研究者みたいな?そんな存在に憧れてて将来そんなことできたらいいなとか思ってたりもして……。


 この辺りの治安はあんま良くなくて、大人も嫌いな奴ばっかだけど子供も大概でさ、学校とかでもこの調子で、知識とか学術とかそういったコンテンツはみーんな興味ないどころかむしろ馬鹿にされて、おまけに自分の気質もこんなんだから、それでいろいろ合わなくて浮いちゃってて、どうしても周囲とは馴染みづらかった。


 周囲の子供たちはグループとかでまとまって、よくわかんないことやって"遊んで"た。こんなんだからしょっちゅう自分も"遊び"の標的になったりしてた。正直、頭よくないとこんな感じに成長していって最終的にああいう大人になるんだろうなってバカにしてた。そういう奴ら全員殺せばもうちょっと世界はよくなるのにな、とか思っている節さえあった。あと自分みたいな境遇に置かれる子どもとかも減るだろうし。


 こんな大儀めいたこと考えてはみるけど……本当のところは自分が自由に、そして幸せになりたかっただけ。自分本位な考えってのは重々承知してる。


 これぐらいの年になって、ちょっとだけ外の世界に触れられるようになって分かったんだけど、ここはけっこう劣悪な環境で、外ではこんなことしなくても楽しく幸せに暮らしていける奴らが普通らしくて、内心羨ましく思っていた。あとこれはただの私怨だけど、そういう奴らが憎いとも思っていた。なんでこんなことしなきゃ、されなきゃいけないんだろって、なんも知らない奴らは外でのうのうと生きていて、こういう環境や"外に出たい"みたいなのを見て、かわいそう、とか、助けてあげたいとか綺麗ごとほざき始めたり……これならまだマシだけど、酷いとなんでなにもしないのとか、努力が足りないとか、お前が悪いだとか言い始める奴までいる。堪ったもんじゃない。こんなこと言われたりしたらこうも思うよ。


 こんなんだから世界はクソだなって最近ずっと思ってる。おまけに物心つく前から人間は嫌いだったし……悪くないものはたくさんあるんだろうけど、世界そのものまで憎いと感じるようになってしまった。とっととこんなところ離れてやりたいことやって……研究とかもやってみたいし……なんでこんなこと考えてるんだろう……でも楽しいことできたら……自分のやりたいように、ヒトを離れて"自分"を生きることができたら……



「おいまだできねぇのか?いい加減終わっただろ」



 ああ……これがなくなれば自分は自由になれるのかな……



「……まだ」


「ンだ?その態度?舐めてんのか?」


「やべぇな……あと少しで取引先の客が来る……」


「早くしろ。ソツるぞコラ。あんま大人舐めんなよクソガキ」


「ッた!!……」 


「おいだからあんま手だすなって!」



 今日はちょっとだけ外に出たい気分。

 こいつら殺してここから出れば……でも外にも大人が居るしこの部屋のヤツなんとかできたとしても……そもそも力で勝てる気はしないし……でも



「死ねよ……」


「ッ?!……てぇなガキ!!」


「おい!!やめろって!!」


「うるせえ!!コイツが手ぇ出したんだろ!!」


「ったく、話んなんねぇ……」



 あーあ、やっちゃった。でも、ちょっと楽しいな。もっと……死ななければこれができるのか……


 手に残る感触は不愉快だ。動悸がする。でもなんだか気持ち良い。恐怖と高揚感とがせめぎ合う不思議な感覚。満たされる。もっと、もっと――――


――――もう一回。



「ッ?!……マジでぶっ殺す!!」


「チッ……ったくしゃあねぇ、死なない程度にしとけよ……まだ使うんだから」


「関係ねぇ!!殺す!!」


「あーもう……」


「オラッ!!死ねやクソガキ!!」


「いッ?!……」



 痛い。痛い。嫌だ。痛い。いつも通りの……いや、いつもよりちょっとだけ痛い……いつ殺されても問題ないとか思ってたけど、死ぬのやだな……もっと楽しいことしたいな……

 できる限りの抵抗はしてみようかな。



「オイ!!お前?!……」


「フフ……どーん」


「うガッ?!」



 どーん、あたった。ナイスショット……なんてね、まさか目に刺さるとは思わなかったけど。このクズに視力なんていらない。まあそんなことしなくてもシャブだガンジャだなんだって言って薬物常用してたらそのうち目も見えなくなるんだろうけどさ……これ、ちょっと楽しいじゃん。



「痛っってぇ!!調子こいてんじゃねぇクソガキ!!今すぐ殺す!!絶対殺す!!!!」


「ふふ……ざーこ……」


「おいガキ……ちと調子乗りすぎだ……」



 懐から出てきたのは……拳銃だ。あーね……流石に無理か。期待した自分が馬鹿だったかな。面白いぐらいつまんない、クソみたいな世界でのクソみたいな生涯。この先もし生きてたとして希望はあったのかな……あーあ、銃口がこっち見てるよ。これが今わの際ってやつね。知ってたよ、後悔せずに死ぬことなんて不可能だってことぐらい。いやぁ、こういう捨て台詞みたいなの考えられたのと調子乗って煽ったのはちょっとだけ面白かったかもな……死にたくないなー……



「研究者、なってみたかったなぁ」


パパンッ



 引き金にかかった指、その遥か後方から聞こえた二回の破裂音。知ってる音。銃声。でも音の出どこはおかしい。おまけに自分はまだ無事ときた。



「誰じゃコラァ!!」


「オイどういうことだ?なんで発砲音が」


「とにかくまずガキを殺せ!!じゃねぇと……」


ダンッ



 考える間もなく扉が開いた。



「とにかく!!……」


パァンッ


「は?……」



 何か飛び散ってきた……



「うわ汚……」



 何が起こったのかは全くもって理解できない。今飛んできたのは多分……脳みそ……それぐらいしか分からない。目の前で音もなく縦に真っ二つになるわ頭が吹き飛んで脳が飛び散るわ……本当になんなんだ一体。でもなんか無事だ。助かったってこと?……いや……



「でーここが薬物作って売りさばいてるって施設の……というか……こどもがなんでこんな場所に……まさか人身売買も」



 虎?……と狼?…………しかし、きれいだな……自分もこんな風に美しく――――

 いやいや!そんなことより!ヤバい!多分ここ潰しにきた何らかの組織!絶対殺される!どうにかして……いやどう考えても無理!!普通人間縦に真っ二つにならないって!!てか射撃精度どうなってんのあんな軽々撃って頭当たらないって!!正面の扉以外逃げ道ないし抵抗できる気しないし……いや、そういや『できるできないじゃない、やるんだよ』ってクズ言ってた!!大人しく殺されるよりかは幾分か……



「……ッ!」


「ちょ?!」



 無理。そりゃそうだ。まず装備違うし、多分……近接戦闘術?みたいなので組み伏せられたし。希望ってのはどうして、焦りを生むもんなんだろう……さっきなら大人しく殺されていただろうに……多分。



「あ゛ーー、クソがよ……死にたくねー……」


「ちょっと待ってちょっと待って……大人しく言うこと聞いてくれれば君に危害は加えないから」



 は……?どういうこと?……いやそれより、この言葉の通り従うしかないのは確かだ。じゃないと多分余裕で殺される。どんな疑問を抱いても絶対口に出してはならないやつだ。



「おいガキンチョ、正直に言え。このクソ共は何をしていた」


「違法薬物を売りさばいてた。合成したメタンフェタミンと抽出したTHCと」


「いい、分かった、落ち着け。お前はこのクソ共の仲間か?」


「……多分……違う」


「じゃあなんでお前みたいなガキンチョがこんなとこにいるんだ」


「知識あったから目つけられてここに連れてこられた。このへんで知識あるやつなんてそうそういないもんで」


「なるほど……薬物を作ってたのは君で間違いないんだね」


「まあ……」


「親は?」


「……あんたらだったらだいたい察しつくでしょ……って、あ……」



 やっっちまった!……ついつい質問の回答以外を口走って!……



「おい落ち着けって!なんもしねぇよ」


「……それでもう一度訊くけど親御さんは?」


「居る。……けど」


「まあ、言いたくなきゃ言わなくてもいい」


「そうだな……君、年齢は?」


「15」


「すんませーん、時間なんすけどー、ブツの受け取り来たんすけどー」


「誰だ」


「なんか知ってるか?」


「多分……取引先の」


「月之介、行くぞ」


「ちょっとだけ待っててね、すぐ戻ってくるから」



 返事をする間もなく外へ出てった。多分ヤク取り来た奴も殺されるんだろうなってのは分かったけど……一体何者なんだろ?あの感じ見てると多分軍隊とか特殊部隊とかそういう系統のやつっぽいけど、ワッペン付いてたし……なんでそんなのがここに?……いや、なんか外部の反社組織とかなら分かるけど……考えてみりゃこの辺り犯罪者とかそういうのばっかだから思い当たる節しかなくて逆に余計分からなくなってきた。……てか生き残ったはいいけどこれからどう暮らしてけばいいってんだよ。なんかもうあの時点で諦めて殺されるつもりだったのに……後のことなんて考えてるわけないだろ……でもこれって……



「ごめんごめん、待たせて悪いね」



 なんの音もしなかったけど、多分来た奴は死んだだろうな。



「あのさ……訊きたいことが山ほどあんだけど」


「……」



 コイツら、とっとと引き上げるつもりだ……マジで自分は生き残っちゃうってか、ここに取り残されるっぽいけど……それにしてもいろいろと困ったな……



「そうだな、少しだけ時間あるし……分かった、答えられる範囲で答えてあげるよ。それで、質問は?」


「あんたら何者なの?」


「傭兵……って言って伝わるかな?」


「一応分かるよ……そんじゃあ、なんでこんな場所に?」


「まあ詳細はいろいろあるけど……」


「こんな田舎に、ましてや治安が良くなくてちょっとした犯罪の温床ってだけで特に大きい組織とかは何も」


「依頼。それ以上でも、それ以下でもないよ」


「……分かった。じゃあ次、外に居た奴らも全員殺したの?」


「ああ」


「あんたら二人?二匹?だけなの?」


「ああ」


「そっか……これから自分はどうなる?」


「どうなるって、どうなるもこうなるも……どうもならねぇよ」


「でも自分はあいつらの言いなりになってここで犯罪の片棒担いでたわけで……」


「何が言いたい」


「いや……」


「お前はクズ共の仲間じゃねぇんだろ?」


「そりゃそうだけどさ……」


「それなら我々は何もしないよ。それにこんな環境で一対多数、半ば監禁状態で……しかも君まだこどもでしょ?もしそうだったとしても情状酌量の余地は十分あると思うよ」


「なんか他に言いたいことあんだろ、正直に言いな。何度も言ってるけどお前に危害を加えるつもりはない」


「……分かったよ……あのさ、食ってけないんだよね。こんなんだったけど一応収入源で……家はあってないようなもんだし行く宛てもないしで……正直どうすればいいか困ってて、さっきもまさか生き残っちゃうなんて思ってなくてさ。だから」


「だからって死に急ぐのはオススメしないよ。我々だってこどもを手にかけるなんてことはできる限り避けたいのさ。しかし、難儀なもんだね……君確か15歳だっけ?」


「うん」


「タイミングも微妙だけどなぁ……」


「まあそうだな。しっかしガキの感性してねぇな……本当に15かよ……ま、こんな環境にいたらこうもなるか……そういや月之介」


「ん?ああ、報告は済んでる。そうだね、そろそろ時間だ」


「……あのさ」


「何だよ……ガキのお守りは俺らの仕事じゃねぇっての」



 ああ、帰っちゃうんだ。やっぱダメだったかー……ほんと希望的観測って精神衛生に良くないよね。しかし、これからどうしよっかな……



「ったくしゃあねぇなぁ……本当に困ったらここに書いてあるのに連絡しろ」


「え?……」


「あーあと、その時は■■■■■■■■■■って必ず言うように」


「は、はぁ……」



 マジかよ。え?ってことは……



「というわけで、我々はこれにて」


「本っっっっ当の本っっっっっっ当に困ったらにしろよ!!」


「あ……うん」



 なんか……面白いことになってきたかもしれない。





 あとがきだよ


一応どくたの一人称でお話進んでます。

ドクター過去編&(現)猛虎会メンバー月之介&メラクコンビとの初邂逅ものがたり超草案です。こっから肉付けしてくからまあ、多少はね……

いといろと文体というか、けっこう思考の流れというか心の声というか……そういったのをそのまんま出力してやさぐれクソガキ若かりし頃のドクターの感じを演出してみようとかなんとか試みてみました。なんでそこそこ説明が足りない描写とかあると思いますけどもね……わかりづらいとか要望があればどんどん追加していきます。

まあこれからちょくちょく書いてくかもなんで読んで下さるとありがたいデス。感想くれたり宣伝してくれたりしたらもっとありがたいデス……(傲岸不遜)

今後とも何卒よろしくお願いします

p.s これ意識を2段階で分割して地の文書いてるとこあるけどわかるんかな…

Das ist eine historische Tatsache, die mir tatsächlich erzählt wurde oder die man mir manchmal erzählt hat.

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