5:〈Foggy do|
《Maybe it will be included in the main story……》
滲む月の光 霞んだ解が指し示す
沁み出た悲哀が 麗しさを纏い
静寂の訪れを 空に告げる
覚める頃には 輪郭を取り戻し
晴れゆく黒の彩雲に
絢爛たる珠玉が散りばめられて
雫が境界へ広がる
閃耀は実在を掠めて
混沌とした静寂の中 追憶を辿る
不明瞭な像が結ばれた 確かな夢を探して
深く 深く 霞を行く
そうして訪れた場所。そこにあったのは小さな川。流れを辿り、上流へ、上流へと登った先には滝がある。
しかし……ここの自然は私にとっては不釣り合いな程に美しく感じられる。まだ深い霧で、全容は掴むことができないが。ただひたすらに穏やかで、然れども世界の脈動がそのまま顕現したかのような……静寂と、なんとも形容し難い蠢きのようななにか……そして美しさ。これらが毅然として、霧と共に私を包み込んでいる。
そういえば、滝の近くに不思議な建物があった。荒廃し、長い年月を経て、木々やその他の植物が侵食しているような見た目をしていたが、どうやらもともとそういう造りらしい。その建物に近づいて、詳しく見た訳ではないが、人が居る気配は無かった。しかし、所々に、人が訪れたような形跡があった。しかも、それを見るに、頻繁にここにやってくるらしい。次ここへ来た時は、建物の中へ入ってみようと思う……一体どこが入り口なのか分からないが……
滝の横にある苔むした岩場を登り、また先へ進むと、流れはだんだんと静かに、しかし同時に、どこか自然本来の激しさが感じられるものになってくる。しばらく進むと、大きな木と共に、泉があった。森はこの辺りで終わりらしい。この向こうには、山々に囲まれた温かな平原と、大きな川、そして丘陵があるようだ。そちらに訪れるのは、前か、否、しばらく後になりそうだ。まだ見ていないものも多い。長らくこの森を行き来することになるだろう。しかし……今日という日も、すっかり朝になってしまった――
泉の名はイド
滝の名はコギト
中流か下流か、森が拓けたところに湖もあるらしい
エスは不在だった
ここは何故だかあまり暗くはならない
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