第16話 迫る危機
指輪に追手か掛かっているという。そしてこんなところで悠長に油を売っていていいのか、と問うてきた。
『ああ? 脅してんのかコラ』
『うわ、うわ、怖い、怖い、そんなに興奮しないで。・・・』
クロウリーはあからさまに怯えた態度を見せた。
『だけど、それがあなたの素の姿なのかな?』
と思えば急に不遜な態度を取ってくる。まるで怪奇小説に出てくる二重人格者のようだ。
『テメェ、遊びじゃねぇんだぞ』
ついつい頭にきて、右手にピースメーカーを召喚して銃口を向けた。
『ふはは、まるでギャングだな』
どうも神経逆撫でしてくるなぁ、こいつ。もう足に一発くらい喰らわせて大人しくさせとこうかな。
『ちょ、ちょ、ちょっと、う、撃つ気じゃ、ないですよね? 本気で』
『だったらどうした』
『へぇ、いきなり銃を出した。面白い術だ。だけど僕だって無策でここに居るとは思ってないですよね?』
俺は黙って撃鉄を起こした。
銃口を向ける俺と、向けられるクロウリー。
しばらく無言で対峙した。
根負けしたのはクロウリーだった。
『どどど、どうして僕、を撃とうとするんですか? それに、どんな意味が、あるんですか⁉ だいたい、あの指輪は、僕の、物なんですよ? むしろ、僕に、返して、下さいよ!』
『だったらお前も付いてこい』
『は?』
クロウリーは心底意味が分からないという顔をした。
『今から俺は指輪の在りかに戻る。お前も一緒に来い。事の顛末をその目で確かめるといい。場合に依っちゃ、指輪を返してやってもいいぞ。しかし、お前が来ないというのなら、指輪の返還を拒否したものとして、永遠に手元に戻らないだろうよ』
『そ、そ、そんな、無茶苦茶だぁ』
『そら準備しろ。急かしたのはそっちだぞ』
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