閉じた蕾

 だって、度々自分の言動に毒吐かれるってことは、裏を返せば話を聞かれていないようで聞かれている。


 片隅でも、意識内のどこかには他人ぼくが存在してるってことで。


 それこそ、彼女が自分の世界から僕らを完全に排除むししきれていない証拠だ。


 何なら現に今問い詰られているし………ってあれ? 普通に会話している……?


「あらま。2人して見つめあって、随分お熱いですこと」

「……レイ」

「こりゃ、お邪魔でしたかねぇ」


 高山さんが、面白おかしそうに場を茶化す。


「あ〜もうめんどくさい。好きにすれば」


 桜花ちゃんは大きく嘆息すると、投げやりに言い放った。


 どうやら、お許しが出たみたいだ。僕は心の中でガッツポーズして、そのままドア付近の席に腰を落ち着けた。


「さて、今年の活動内容ですが……何かやりたいことある人?」

「ないでーす」

「同じく」


 桜花ちゃんの問いかけに、高山さんはスケッチブックに落書きをしながら。隅野くんは机に突っ伏したまま、各々好きなように反応する。


 皆、本当に自由極まりないな。


「それじゃ私からも特にありません。以上」


 しかし、桜花ちゃんの方も特に気にも留めずたった一言で締めくくった。


「え?」


(部活動ってこんなんだっけ?)


 ぽかんとあっけにとられる僕に、高山さんがスケッチブックに視線を落としたまま補足する。


「研究部って言っても名ばかりなんだよね。うちはご覧の通り、超ゆるゆるだよ〜。なんなら同好会と言っても過言ではない。もしくはそれ以下」

「そうなんだ……」

「がっかりしたでしょ。ごめんね」

「いや、大丈夫だよ」


 と、答えはしたが、高山さんの言う通り実は少し落胆していた。


 超常現象及び心霊研究部って部活名に耳馴染みがなくて、何やるんだろう? 何か召喚したりでもするのだろうか……?!


 って内心密かに中二病染みた妄想で勝手に盛り上がっていたから。

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