第36話 選択科目
「おっはよーグレンくん!一緒に行こ!」
学園に向かっている際、ふいに背後から声をかけられた。振り返ると、そこにはきらびやかな金髪を靡かせ、手を振りながらこちらへ走ってくる少女の姿があった。
「ああ、おはよカレナ」
昨日も感じたが、カレナは朝からテンションが高い。朝から夕方までそのテンションで疲れないのだろうか。
「てか、やけに視線を感じるな」
ここは既に学園内の通学路だ。
当然周りを歩く人間は学園の生徒なわけだが、なんだかやけに視線を感じる。
いやまあ、この学園に来てから視線を感じることなんて何度かあったわけだけど、ここまで注目を浴びていると何か悪いことでもしたような気分になって嫌だ。
「多分、私たちがA組だからライバル視してるんだと思うよ。ほら、先生が言ってたでしょ?A組は他の生徒たちの目標だって」
「なるほど、そういうことか」
向けられている視線は、決して心地良いものじゃない。絶対超えてやると、執念に近い力を感じる。
「追い抜かれないよう、気を引き締めなくちゃな」
「だね」
この学園に来ている生徒は、大半が魔法学校を主席で卒業した人間たちだ。気を抜けばすぐに追い抜かれ、俺は退学へと追いやられる。
周囲から向けられるプレッシャーによって、今日からの授業に向けて更に緊張感が高まったのだった。
※ ※ ※
「というわけで、今日から本格的な授業が始まるわけだけど―――――」
HRは、今日から始まる授業についての説明から始まった。先生の説明の内容をざっくりまとめるとこうだ。
まず、学園生活を送る上で必ず規定数の授業を受けなければならない『必修科目』があり、それに加えて更に、生徒個人が自分に合った授業を選択して受ける『選択科目』に別れている。
「授業スケジュールに関しては午前が必修科目、午後が選択科目となっているわ」
この学園は午前の授業が4時限で、午後の授業が2時限。
みんな普通そうな反応をしているので当たり前のことなのかもしれないが、選択科目よりも必修科目の授業の方が多いようだ。
ずっと1つの魔法を追求してきた身からすると、全員強制の必修科目よりも、個人の良さを伸ばしやすい選択科目の授業を多くした方が合理的に感じた。
「選択できる授業は最大2つ。授業によって移動する学園内の施設も変わるから気を付けてね。選択授業の種類はこの紙にまとめておいたから、しっかり読むようにね。提出は今日までだから、出し忘れないようにね」
そう言ってトリルエル先生は、手に持っている紙を風魔法で飛ばして、生徒1人1人に送った。
(選択授業か……)
これは慎重に選ぶべきだ。
選択する授業によって、俺の評価点は大きく変動することになる。手元に来た用紙を見つめ、俺は食い入るように授業の種類を見つめた。
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