第24話 1年A組

 みんな知っていると思うけど、この学園にいる生徒たちは常にランキング付けされている。あなたたちA組の生徒たちは、入学試験での評価の高かった上位30名の生徒なの」



 この話は、事前に配られていた入学案内に書いてあったことだった。一学年、A~Eにクラス分けされており、成績ランキングが良ければ良いほど上のクラスに行けるという、騎士団序列と似たようなルールになっている。



「学年のトップであるA組は、他のクラスの目標になるクラスよ?そんなクラスが、他のクラスと一緒に予定通りに行動だなんて片腹痛いわ!」



 トリルエル先生の熱弁を聞いて感動したのか、カモニダくんは先生に対して羨望の眼差しを向けていた。



「なるほど!要約すると、最上位のクラスにいることに誇りを持って、常に一歩先を行けということですね!」



「その通り!よく分かってるわねカモニダくん!」



 トリルエル先生も生徒の理解力が高くてなんだか嬉しそうだった。



 とりあえず説明に一段落がついた。A組の面々は概ね理解しているような面持ちだった。俺も、なんとなくだが理解できた。



「それじゃ、早速更衣室に行って戦闘服に着替えてきてちょうだい!校舎玄関に集合だから!」



 そう言って、先生は足早に去っていった。先生にも準備があるのだろうし、急いで行く気持ちも分かる。



 だけど何か忘れられている気がする。



「更衣室ってどこだ?」



 ※ ※ ※



「あの先生、受験の時は繊細な魔法使うな~とは思ったけど、意外と大雑把だな……」



「まあいいじゃないか。カレナが更衣室を見つけてくれて、俺たちは戦闘服に着替えられたわけだし」



 クラスのみんなが動揺しながら教室から出ていたところ、先行していたカレナが偶然更衣室を見つけてくれたおかげで事なきを得た。



 この校舎、ただでさえだだっ広いのに色々な場所の説明もつかないんじゃ簡単に迷ってしまう。



 こんなことになるなら、入学式は出ないにしても場所の説明くらいはしてくれても良かったのではないかと思う。



「気にしても仕方ないことだ。早く行こうじゃないか」



「だな」



 既にクラスメイトの7割以上は着替え終わって玄関の方に行っている(女子は知らないが)。最後に着いたらなんだか申しわけないので、さっさと行っておかなければ。



 更衣室を出た俺たちは、廊下の曲がり角に差し掛かった。



「……!グレン!」



 その瞬間、突然カザガネが俺を呼び止めた。



「ん?へぶっ!」



「うびゃっ!?」



 俺は反応が遅れ、曲がり角から走って来た生徒とぶつかってしまった。声的に女の子だったが、うびゃってなんだよ。悲鳴にしてももうちょいなんかあるだろ。



「あ、あの……ご、ごごごめんなさいっ!」



 目を向けた先には、きれいな水色の髪の毛の女の子がいた。背は小さいが、髪の毛は首元まで伸びていて目も若干隠れている。そして、カレナやグレースと違って出るとこが出てる。



「いや、俺も不注意だったよ。ごめんな?」



 俺がそう言うと、彼女は息を切らしながら一礼して、今度は早歩きで廊下を進んでいった。一体なんだったんだろうか。


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