第18話 青い鳥からお届け!

 あれから数日が経過した。



 今日は魔導学園の入学試験の合否判定の通知が送られてくる日である。



「あ~っ、ソワソワする~~!」



 今日はミネンは騎士団の任務で家に居ないので、家には俺1人だ。故に、この緊張を分かち合える人間がいないので、こうしてベッドの上で悶えているわけだ。



「そういや、メッセンジアバードが来るんだっけか」



 メッセンジアバードとは、ヴァルサレン王国で手紙のやり取りをする際にそれを届けてくれる鳥だ。



 テイマーと呼ばれる、魔物を使役するプロによって育てられたメッセンジアバードは非常に賢く優秀で、素早く確実に手紙を届ける。



 ただ食欲が旺盛なので、手紙を届け終えた先では餌をねだることが多く、餌をあげないと中々帰らないという事態に陥ってしまう。なので、事前に餌を用意しておかなければならない。



「餌、用意しとかなきゃな」



 それから俺は、餌の準備をしながらメッセンジアバードの到着を待った。



 ※ ※ ※



 しばらく外で待っていたら聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。



「キュイ!キュイ!キュキュイ!」



「お、来た!てか青じゃん!」



 青い羽の色をしたメッセンジアバードが、首元にポーチをかけ飛んできた。確か青色の羽をしているメッセンジアバードは、王国内には数匹しかいないレアなやつだ。



 珍しい故に、幸運を運ぶという噂も立っているほどだ。



「キュイ!キュイ!」



「ほれ」



 腕を伸ばすと、メッセンジアバードは軽快な鳴き声を発しながらそこに留まった。するとクチバシを使ってポーチの中を探り、器用に封筒を取り出した。



「よしよし、サンキューな」



 羽を撫でた後、封筒を受けとった。この中に試験の合否判定が書かれていると思うと少し緊張する。



 すると、俺が神妙な顔をしているのが気に入らなかったのか、メッセンジアバードが服の裾を咥えて引っ張ってきた。餌の催促である。



「分かった!分かったからクチバシで服を引っ張るなあ!」



 さすがに服をボロボロにされては困るので、手紙は一旦置いておき、用意していた餌を手のひらに乗せて即座に与えた。すると俺から興味が薄れたのか、服を引っ張るのをやめて、手のひらにある餌を一心不乱に食い漁った。



「キュイ!キュキューン!」



 餌を食べ終えて満足したのか、俺の腕を離れて空へと飛び立った。その際、美しい青色の羽が俺の手元に舞い降りてきた。ミネンが帰ってきたら自慢しよう。



「それより……」



 問題はメッセンジアバードではなく、この封筒の中身だ。内容次第で、俺のこれからが決まるのだ。



「開けるか……」



 焦らしてもしょうがないので、俺はすぐに封を開け書いてある内容を読み上げた。



「ええと、『グレース・アイシクルロード様宛』……ん?」



 おかしい。封の中身は確かに魔導学園からのものだ。送り元としてちゃんと名称が記載されているし間違いない。ただ、明らかに送り先を間違えている。



「あの鳥、さては間違えやがったな?」



 賢くて優秀が売りのはずのメッセンジアバードが間違えるなんてレアなケースだ。しかもよりにもよってグレースの合格通知と間違えている。



「届けなきゃだよなコレ……」



 グレースもきっと、ごれが届くのを待っているに違いない。急いで届けなくては。



 そう思った俺は手紙を封筒に戻し、すぐに出かける準備をした。


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