第10話

 「はぁ…」

「どうしたの?ツユ」

溜息を吐くツユの隣に、新鄭黎が座る。

「えっと、新鄭黎…さん?」

「気軽に黎で構わないよ♡」

ウインクする新鄭黎。新鄭黎は肉饂飩を食べ始める。「ずるずるずるっ!」と良い音を立てながら大きく啜る。

「うま〜♡やっぱり日本の饂飩は最っ高だね♡」

「…黎は、中国人?」

「そうだよ〜。と言うか、私実家がチャイナマフィアだから必然的に中国人になるね」

「マフィア…?!すご…」

「あ〜…でも、母さんは日本人だからハーフなのかなぁ」

「へぇ〜…」

「?定食、食べないの?」

じぃっ、と焼肉定食を見つめる新鄭黎。

「食べるよ?頂きます」

焼肉定食を食べ始めるツユ。

新鄭黎は、きょとんとしていた。

「…?」

「其の、イタダキマス、て何?」

「ご飯を食べる時に言うんだ。全ての食べ物、作ってくれた人に感謝する為にね」

「へー!私も言おっ!イタダキマス!」

パチンッ、と手と手をくっつけ、頂きますをする新鄭黎。

「!凄い!もっと美味しくなってる!」

目を輝かせ、勢い良く饂飩を啜る新鄭黎。

先程迄、人を殺めていたとは到底思えない。

「お肉とろとろ〜!と言うか、噛んだ瞬間肉汁溢れるし甘いし、これ本当に牛肉?!」

頬を押さえ、幸せそうに頬張る 新鄭黎。

「…ふふ」

ツユも、少し気持ちが楽になった。

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エージェント・レイン、参ります! 中太賢歩 @YAMI_SAKURA

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