第2話

 「私を本部に連行?何で?!」

ツユは混乱していた。

誰だって突如連行すると言われたら混乱するだろう。

更に、アキは警察手帳に良く似た物を掲げていた。

「つべこべ言わずに来い。ボスがお呼びだ」

「はー?!」


 「来たか」

ツユ、アキは『本部』に来ていた。

ごくり、とツユは喉を鳴らす。

ツユ達の前には、高級な机に手を置き、大きくふかふかな椅子に座る‘ボス’が居るからだ。

「ボス、この小娘を如何なさいますか」

「アキ、お前も小童になるぞ。…其の娘、五月雨ツユは入隊させる」

「「は?」」

アキとツユの声が被る。

「ちょっ、私の意思は?!」

「また命を狙われ、容易に友達と遊べなくなるが良いのか?」

「う…」

ツユは反論出来なかった。

(確かに友達とストバ行けなくなるのは嫌だ…抹茶フラペ飲めなくなるのは…うぅ…)

「さぁ、如何かね?」

スッ、とボスの目が鋭くなる。

ツユは、ひゅうひゅうと呼吸が浅くなるのを感じながら答えた。

「なり…ます……」

そう答えればボスは先程の鋭さは何処へ行ったのか、満面の笑みで拍手をした。

「うんうん、助かったよ。此処で入る、と言わなければアキの手を汚す所だったから」

アキの手を汚す―其れは、血で手を汚す、と言う意味。

ツユは其れが分かったのか、顔を真っ青にさせた。

「では…五月雨ツユ、君には入隊式に参加して貰うよ」

「入隊式は明々後日だ。くれぐれも、遅れるなよ?」

「はい…」

どくどくと心臓が大きく、まるでサイレンのように鳴る。

其れ程怖かったのだ、ツユにとって。

「…はぁ」

ツユはこっそり、溜息を吐いた。

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