第20話 クリスの世界
「く、狂ってんのか?このメンヘラ作者が!」
とアノンは汗を垂らしながら罵倒する。
「……はあ。お前達アンチは直ぐに作者を貶し、一体何が目的だ?
もう僕もお前も前世で死んでいると言うのにな。
何の因果か僕は自分の書いた世界に……主人公の勇者として転生してしまった。
しかし僕は自分がクリスとして転生したのを悟った時に思った。ここは僕の作った世界だから、何でも僕の思い通りに事が進むはずだと思っていた……。
でも違った。僕の理想の女の子は全く違うもので予想を超えていた。
思い通りになんかならなかった。
何でもできると過信していた」
とクリスは語る。
それは私の事に違いない。別人の魂がエレアとして転生していた事。
「そして物語通り、僕は勇者として生きる事に苦痛に感じている!
普通に魔王を倒すのが面倒だ!!
そして自分が作者だからこそ、この世界を知り尽くしている!結末もな。書く前に死んだが、僕の中では最後の章は完成している」
「だから!お前の世界を俺が代わりにぶっ壊してやるって言ってんだろ!?」
とアノンはクリスに敵意を向ける。
「ほう、面白い。この世界を壊して、人を殺しそれで何が残る?お前が邪神となりこの世界を統治するか?
生き物がいない世界をどうやって統治する?一人ぼっちで孤独でお前は不死身の様だから死ぬこともないだろう?」
とクリスはアノンを挑発する。
「ま、魔物たちがいるだろ!?そ、そうさ!あいつらは皆俺の仲間だ!!
人間がいなくなっても魔物にも美女はいる!!いなければ俺が生み出してやる!俺は闇の勇者だ!!くくく!」
ひえええ、魔物の美女を作る!?とんでもないこと言い出した!!
「なるほど。そこまでしてこの世界を自分の思い通りにしたいと言うのか…。
ありがとうな」
とクリスはいきなりアノンにお礼を言う!
「く、クリス!?」
「は!?何だそれ!?何故礼を言う!?本気であたおかか!?」
とアノンも引いている。
「そんなに僕が作ったこの世界が好きなんだなー…と思って」
「いや、話聞いてたか!?俺はこの世界を壊して……」
「好きにしてくれ。そんなにこの世界を壊したくて女と遊びたいのならな」
「は、はあ!!?」
「ちょっとクリス!どう言うことなの!?」
私にももう訳がわからなかった。
するとクリスは
「僕とエレアはこの世界から出て行く」
と信じられない一言を放った!!
「「え!?」」
思わず私とアノンがハモるくらいには信じられない一言だ!!
「何を言ってるのか、わからねぇ」
とアノンが当然な事を言う。
「だからこの世界はお前にくれてやると言ってるだろ?お前はダークヒーローなんだからこの世界を闇に染め、後は壊すなりなんなり好きな様に改変すれば良い。
僕とエレアはこの世界から出て、今度は新しい世界に行くつもりだ」
えーーーーー!?
どゆことーーー!?
「エレア、安心してくれ。新しい世界にもちゃんとエレアの親や俺の親、他にも必要な人は新しい世界でやってくからね」
するとアノンがキレた。
「てめえ!ふざけんな!!何言ってやがる!?そんなテラフォーミングみたいなこと言ってんじゃねぇよ!!
新しい世界ってなんだよ!?」
「いや、お前には関係ないだろう?お前はこの世界で暮らすんだから、それでいいじゃないか?
だからこの世界の事はお前に任せたよ!!さあ、行こうエレア」
するとアノンは震えながら剣を抜く。
「おい、待て!何勝手にフェードアウトしようとしてんだ!?ふざけんじゃねぇ!!」
するとクリスは
「これ以上、話す事はない。僕は女神を呼び出し他の世界へ行く。
君が僕を殺そうとしたらこの世界の女を殺す様に分身に命令を下す」
と言う滅茶苦茶な言い分にもはや絶句である。いや、これではアノンもクリスに一切の手出しができなくなる。
クリスからはもはや「やってみろよ」と言う冷たい視線が向けられていた。アノンは剣を握る手が震え、汗をかく。
「くっ!!こんな奴が作者なのに!!どうして俺は何もできない!?」
するとクリスは言った。
「何もできない?それはそうだ。お前達アンチは僕じゃない。お前なら上手くこの世界を作れる?お前の好きな様に?
だったらやればいい。好きな様に。二次創作の作者として!!」
「!!?」
ガシャンと剣がアノンから滑り落ちた。
「オリジナルを超える事は誰にもできない……。僕の世界は僕の世界。お前の世界はお前の世界。
それぞれの世界で生きようじゃないか。所詮はお前の世界は僕の元下にあるパクリ世界だろうけどな」
クリスは背を向け歩き出して私の手を取る。
「くっ!!ち、畜生が!!畜生がああああ!!」
アノンは剣を引き抜き投げた!ていうか私の方に飛んでくるんですけど!??
ガキン!!
と光の剣が弾いた。
するとクリスの全身が光った!!
眩しい!!
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