第3話
教室に戻ると、宇津月が俺の席を占領していた。
仕方なくも無い。
隣の席なのだから奴はよく間違える。
そして俺の机で寝る為、
俺は毎回オロオロして待つことしかできない。
今日もどうしようかと悩んでいると、
笛俣が、
『私の彼氏の机を占領しないでもらえる?』
とニコニコしながら言っていた。
嫌な予感がした。
ふと振り返ると男子が今にも涎が床に垂れそうな程に
飢えていた。
普通は俺に対して『リア充爆発ぢろ!』とか言うと思うのだが、
どうも違うらしい。
俺は男子の視線の先に自身の視線も合わせた。
『えっ?』
宇津月は泣いていた。
机は少し濡れており、それが密接による湿気かは定かではないが、
眼から雫が落ちていた。
涙を拭くこともせず、かといって声を出すわけでもなく。
ゆっくりと宇津月は自分の席に戻った。
それと同時に笛俣が俺の席に座った。
『ペッ……』と笛俣は俺の机に唾をはくと、
手でそれを全体に広めた。
その後、こちらに振り向き、ハグの体制になった。
俺はコイツが薄々ヤンデレではないかと思いはじめた。
だとすると、ここで断るのは得策ではない。
『はぁ……』と軽くため息をつき、
俺は歩を進めた。
しかし笛俣はハグをする気ではないらしく、
俺の頭を撫で始めた。
今度は何だと思うと、
『可哀想にね。こんな薄汚い女にあなたの席を占領されるなんて』
俺は思った。
『コイツは薄汚い女じゃないし、
何ならお前よりかは何億倍も良い奴だ』だ。
笛俣は、ワナワナとしながら、
『なんでそんな女を庇うわけ⁈
私たち付き合ってるよね?彼女の方が大事なんじゃないの?』
凄まじい剣幕で捲し立てる。
それにしても口に出ていたらしい。
これはうっかり。
俺はため息をして、
『ます、俺がいつ笛俣の告白を了承した?
それでなんでお前は俺の机に唾をかけた?
そしてもしお前が彼女だったとしても
お前は人間として終わってるから
俺はサラサラお前と付き合う気はないな』
俺も剣幕で捲し立てた。
笛俣は全くもって懲りていない顔だった。
『…………わかった。
私があなたにとって良い人になったら付き合ってくれる?』
恐る恐る聞いてきた。
別に俺もそれを断るほどクズじゃないので、
『検討はしてやるよ』と言っておいた。
笛俣はいつの間にか帰宅準備をして、
授業をほっぽり出して帰っていった。
何はともあれ泣いている奴をほっとく訳にもいかないので
『宇津月、大丈夫か?』と尋ねる。
言葉を発さず、ただ首を振る宇津月。
女ってなんでこんなにめんどくさいのかなと思いつつ、
『保健室………、ではないか。
早退するか?教職員室までなら付き添うが、。』
宇津月は蚊のような声で
『お願いします』と涙交じりに俺に言った。
___
すいません。
次回、話がちょっとえっになる可能性があります。
乞うご期待(?)
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