第6話
9月20日の昼過ぎであった。
ところ変わって、いよてつ郡中線の踏切がある松前町内の通りにて…
(カンカンカン…ゴトンゴトン…)
踏切に、松山市駅行きのいよてつ電車が通り過ぎた。
静江と3人の子どもたちは、ぼんやりとした表情でたたずんでいた。
静江は、あのあと夫と話し合いをしたが決裂した。
ムコはんが『イヤや…』と言うてダダをこねたので、話し合いができなくなった。
その末に、静江は子どもたちを連れて家出した。
静江は、家出した際にスマホを置いて出た。
静江母子4人は、茂西の家に居場所をなくした。
静江は、家出する際にあやみに対して『アタシは、気力さえあればどこの事業所でも働けるわよ!!』とタンカきった。
しかし、ワレに返った時にはもう遅かった。
大学を卒業したあと、就職せずに家事手伝いで通した…
中学高校の時に、英検や漢検の資格を取らなかった…
高校3年生の時に、ファイナンシャルプランナー3級の講座を受けたが、試験を放棄したので資格が取れなかった…
義父母は、静江がファイナンシャルプランナー3級の資格がもらえなかったことを聞いても『静江に資格なんてネコにコバンだ…』と言うて甘やかした。
静江が
その結果、静江は社会に順応しない大人になった。
どうしよう…
どこへ行けばいいのか分からない…
実家と夫方の家と不仲になった…
おだやかに話し合いができなくなった…
もう、おしまいだ…
日付が変わって、9月21日の深夜0時半頃であった。
JR予讃線の北伊予駅の近くの踏切で、人身事故が発生した。
伊予市駅へ向かっていた回送列車が人4人をはねた…
回送列車にはねられたのは、母子4人であった。
はねられた母子4人は静江母子4人であった。
しかし、身元を証明できるものがなかった。
このため、ケーサツは身元不明者として処理した。
だから、ケーサツは灘町で暮らしている義父母に電話しなかった。
それから7時間後の朝7時過ぎであった。
家の大広間に、義父母と夫とあやみがいた。
テーブルの上には、あやみが作った朝ごはんが並んでいた。
あやみは、台所でみそ汁を温めなおしていた。
義父母は、夫に対して朝ごはんを食べようと言うた。
「紀世彦、一緒にごはんを食べよう。」
「みそ汁は、今あやみさんがあたためなおしているわよ。」
「ゆっくりとかんで食べればみそ汁は温まるよ。」
夫は、はぶてた(ひねた)声で義父母に言うた。
「その前に…話がある!!」
「話。」
「ああ。」
義母は、つらそうな表情で夫に言うた。
「それだったら、ごはんのあとにしてくれる?」
「今、話さないといかんのや!!」
「おかーさんは、朝ごはんを食べたあとにしてっていよんよ…」
「ほな、いつになったら聞いてくれるのだ!?」
夫が急に怒鳴り声をあげたので、義母はつらそうな表情で言うた。
「おかーさんは、朝ごはんを食べてといよんよ!!」
「もうええ!!…職場から11月1日付けで異動になったことを伝えようとしたけど…あんたらがあとであとでと言うから、話にならん!!」
それを聞いた義父は、夫に対してどこへ異動するのかとたずねた。
「どこへ異動になったのだ?」
「今治の支店!!」
「今治。」
「ああ!!」
夫は、ひと間隔置いて義父に言うた。
夫は、義父に対してものすごく怒った声で言うた。
「入行してから28年間、ずっと本店勤務でガマンしたからもういいよと言うことや…ファイナンシャルプランナーの資格を取得したので、ぎんほ(いよぎんの保険プラザ)で保険のプランニングがしたいと思いながら、ずっとガマンしてきたんや!!…ガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…本店で札束を数える仕事だけをずっとしてきた…やっと…自分がやりたかった保険のプランニングの仕事ができる…だから決めた…」
夫の話を聞いた義父は、おだやかな声で言うた。
「紀世彦が入行してから28年間本店でまじめにがんばっていたことは、わしらも知ってるよ…それで、今治へ異動したあとはどうするのだ?」
義父の問いに対して、夫はこう答えた。
「(今治新都市の)イオンモールの中にある保険プラザヘ移る…」
義父は、あつかましい声で夫に言うた。
「そうじゃなくて、住まいはどうするのかと聞きよんじゃ…また、従業員寮に入るのか?」
義父からあつかましく言われた夫は、あつかましい声で言い返した。
「従業員寮の他に、どこがあるんぞ!?」
義父は、よりあつかましい声で夫に言うた。
「従業員寮の他に住むあてはないのかと聞きよんや!!」
義母は、つらそうな表情で夫に言うた。
「紀世彦、職場の人に異動先を変えてくださいとお願いしてよぉ…おかーさんは心細いのよ。」
夫は、怒った声で義母に言うた。
「そんなこと言うたら、『出向せえ!!』と言われるんや!!」
義母は、泣きそうな声で夫に言うた。
「それでもいいから言うてよ…」
夫は、ものすごく怒った声で義母に言うた。
「その場合は、
義父は、おどろいた声で言うた。
「
夫は、義父母に対して理由を言うた。
「上司が川之江の支店に在籍していた時に…融資担当をしていた…その関係があるから…」
義父は、夫に対して『断れ!!』と言うた。
夫は、怒った声で言うた。
「そんなこと言うたら『オドレはクビだ!!』と言われるんだぞ!!」
「しかしだな…」
(ガーン!!)
思い切りブチ切れた夫は、立ち上がったあと右足で席をけとばした。
そして、黒の手提げを手に取った。
夫は、怒った声で義父に言うた。
「あんたらは、オレにどーせえと言うんぞ!?心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…オドレらは、なにが心細いんぞ!?」
義母は、泣きそうな声で夫に言うた。
「紀世彦、どうしておだやかに話ができんのよぉ~」
「あんたらが心細いと言い続けよるけん怒っとんや!!」
「おかーさんは、本当に心細いのよ!!(次男)と(三男)と(四男)が出稼ぎに出たまま帰ってこないので心細いのよ…」
「そのような原因を作ったのはあんたらや!!あんたらのせいで農機具を買いかえることができなかった…あんたらのせいで田畑が荒れまくった…そして…西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で全てをなくした!!…そのことに気がつけよ!!」
(ガラガラガラガシャーン!!)
義父母に怒りをぶつけた夫は、食卓をぶち壊した。
その後、家から出ていった。
困ったわね…
どうすればいいのよ…
義父母は、つらそうな表情であたりをみわたした。
(ザザーン、ザザーン…)
さて、その頃であった。
うちら4人は、川之江から国道11号線を歩いて観音寺(香川県)まで行った。
うちら4人は、
この日、海は少し荒れていた。
空は、灰色の雲に包まれていた。
アタシは、ぼんやりとした表情で海を見つめていた。
なおとは、ふみことまりよと一緒に波打ち際にいた。
アタシは、子どもたち3人にどうやってわびればいいのか分からず苦しんでいた。
ごめんね…
なおと・ふみこ・まりよ…
ごめんね…
こんなだらしないママを許して…
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