第14話 人生相談
私は有能なカウンセラー。
今日も街角で「人生相談」の看板を掲げ、悩める人の助けになればと思っている。
私の前を思案顔の学生さんが通り過ぎようとしていたので声をかけた。
「なにかお悩みがあれば相談にのりますよ」
「いえ、特にお金を払ってまで相談したいことはありません」
「相談料は必要ありませんよ」
「いえ、でもそれほどの悩みはないので……昼ご飯をラーメンにしようかカレーにしようか悩んでいただけで、たいしたことではないのです」
「いいえ、たいしたことがないなどと軽く考えてはいけません。ラーメンならば、塩、しょう油、味噌、豚骨、魚介系など様々なスープがある他、トッピングは何にすべきかという問題もあります。チャーシュー、ゆで卵、ネギ、ワカメ、もやし、コーン、その他、様々なバリエーションがあるのです。また麺は細麺、太麺、縮れ麺などがあり、どれを選ぶかであなたの人生は変わっていくでしょう。そして、カレーならばインド風、欧風、タイ風、日本風など様々なタイプがあり、甘口か? 中辛か? 辛口か? 激辛か? という問題もあります。具は野菜カレーか? ビーフカレーか? チキンカレーか? ポークカレーか? シーフードカレーか? その他か? という選択肢もあり、トッピングも様々です。決してたいしたことがないなどと言ってはいけません」
「いえ、学食で食べるつもりで、ラーメンもカレーも一種類しかありません」
「それならどちらも選ぶべきではありません」
「えっ? ラーメンかカレーかにしたいのですが……」
「でも、あなたは迷っているじゃないですか。いいですか、よくよく考えて自分の中で確かな答えが出るまで、何日でも何か月でも保留にしましょう」
「では私はどうするべきなのですか?」
「とりあえず学食ならA定食にしてみてはいかがでしょう?」
「ありがとうございます。とても参考になりました」
こうして今日も悩める人の相談に有意義な答えを出すことが出来た。
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