第9話 エレベーター
雷を怖がる人の話はよく聞くけど、私は雷の光や轟く音が綺麗だと思い結構好きでした。自分に被害が及ぶ前は。
その日は夏の夕方で雷雨が起きていて、時々雷が光っていました。私はネットで欲しい物を検索していましたが、近くで雷の音が轟くと共に画面がフリーズして、どうにもならなくなって雷の被害だということがわかりました。
携帯電話でプロバイダーに電話すると修理の人が来てくれて、幸いインターネットは復旧しましたが、翌日、雷の被害は通信回線だけではなくて、マンションのエレベーターも壊していたことがわかりました。
私は13階に住んでいるので、階段の上り下りは大変です。雷被害の翌日、エレベーターが止まる階と止まらない階があることがわかり、本格的に修理するまでは、最寄りの止まる階から利用するようにということになりました。
エレベーターは13階からは利用出来ないけど、下の12階から利用出来るということなので、階段で12階へ降りて、12階からエレベーターに乗って買い物に行こうとしました。
すると12階で1階のボタンを押したのに、人もいないのに11、9、8、7、5、3階といちいちエレベーターが止まります。
「故障でとんだ不具合が起きたなぁ」とその日は思ったものでした。
その翌日の夜遅く、小腹が空いたのに買い置きが何もなくて、コンビニに出かけました。
行きはエレベーターがまともに動いて12階から1階まで何事もなく、コンビニで軽食を買い戻ってきたのですが、帰りにエレベーターは7階で止まり、扉も開かず閉じ込められました。
非常用の連絡ボタンを押すと「ザーー」という音がしばらくして、エレベーターの灯が消え、真っ暗になり、エレベーターが上下に一往復動き、12階に止まり、灯りがつき扉が開きました。
ちょっと怖かったけど、エレベーターを降りて、階段で13階の自室に向かいました。階段を上り、13階に辿り着くと12階で止まっていたはずのエレベーターがいつの間にか13階に来て、まるで私を待っていたかのように扉が開きドキッとしました。
それ以来、怖くてエレベーターの修理が終わるまで、不便でも階段を利用しました。
電気製品の故障、ましてやエレベーターの故障は怪奇現象じゃなくても怖いですね。
今ではエレベーターの修理も終わり、日常生活が戻りました。
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