第5話 追憶《ノアside 》
瓦礫の中、死にかけの男と女が、最期に約束をした。
「絶対、世界中に名前が轟くくらい有名になってね。ちゃんと、見つけるから」
「ああ。お前もな」
男が答えると同時に、今までなんとかバランスを保っていた瓦礫が落ちてきた。
◆◇◆◇◆◇
俺はフラトル王国にある四つの公爵家の一つ、セレトキア家の四男として生まれた。
ノア・オブジーク・セレトキア。これが今世の俺の名だ。
夢で思い出すのは自らの最期の光景。
来世でも唯一の親友で、相棒で、理解者だったミケイラと会いたくて、死ぬ寸前に記憶を魂に刻み込んだ。だから、前世のことを覚えていられる。
それはミケイラも同じはずで、この時代、この世界に生まれているのなら、あいつは絶対に約束通り有名になって俺の前に現れる。
あいつが 『約束は絶対に守るわ。だって果たせない約束など最初からしないもの!』と豪語して笑っていたのはいい思い出だ。
──『世界の誰もが知る有名人になって、お互いを探す』
これは、死ぬ直前に交わした約束。
いつ、どこに生まれるか、本当に来世があるのか分からない状況で、来世また会いたいと願い、交わした約束だ。
情報伝達の劣っているこの世界で、一般人が名前も顔も分からない人を探すなんて至難の業だ。見つけられる可能性なんて、奇跡に近い。
ただ、有名にさえなれば、相手への目印にもなるし、言葉も届けやすくなるから……。
今の俺の目前の悩みはこの約束をどう果たすかだ。
そこで俺は、まず世界規模での有名人について調べることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます